2012年04月28日

中町敏矢(2012.1)『あんしん・お気楽! 年金15万円のゴージャス生活』ぱる出版

 乙が読んだ本です。著者自身が月15万円の年金受給者ということです。そして、年金15万円だけでどれくらい生活が楽しめるか、本書中で具体的に書いています。
 乙が特におもしろいと思ったのは、5章「今、知らないと絶対損する「税金と保険」」でした。世帯分離の効果、その具体的な方法など、乙が知らないことがたくさんありました。
 5章の細目次は以下の通りです。
1 税金をタダにする
2 子供の税金を安くする
3 健康保険料をタダにする
4 日本一の名医に診てもらう方法
5 高額療養費制度のうまい使い方
6 医療費・介護費が半減する「世帯分離」とは何?
 知識の有無で損したり得したりというのが日本の現状のようです。
 著者がなぜこのような知識が豊富なのかというと、奥付の著者紹介を読んで納得しました。「1948 年大阪府生まれ。団塊の世代だが、学生運動の経験ナシの高校卒。大阪と京都で小企業を2回転職、経理マンとして定年まで勤め上げる。」なるほどといった感じです。会社でもっぱら経理を担当していたならば、税金や保険に詳しくなることもわかります。
 本書を読んで、老後に海外で生活するよりも、国内で生活したほうがいいかもしれないなどと考えてしまいました。それくらい、日本という国は、老後に豊かな生活ができる国なのです。
 60歳前後の定年を迎える(た)人に読んでもらいたい好著です。


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2012年04月21日

岩松正記(2011.2)『個人事業、フリーランス、副業サラリーマンのための「個人か? 会社か?」から申告・節税まで、「ソン・トク」の本音ぶっちゃけます。』ダイヤモンド社

 乙が読んだ本です。極端に長いタイトルで、その中に句読点などの記号がちりばめられています。副題はありません。
 税理士が書いた本ですが、ところどころに「ぶっちゃけ税理士のBCG判定」というコラムが出てきます。こんなことをしていいのかという問題に対して、回答を Black(×)、Clear(◎)、Gray(△)に区分しています。とてもわかりやすい記述です。
 内容は、税金の問題が大半を占めます。
 特に長いのは Part 01 で、「「個人か? 会社か?」会社をつくる「ソン・トク」ぶっちゃけます!」というタイトルがついています。ここは、個人事業主と会社とで課税がどう違うか、その結果税金がどう変わるかを具体的に詳しく記述しています。個人で起業する人などは、ぜひ、こういう知識を持っておくべきです。
 Part 02 の「経費に関する「ソン・トク」ぶっちゃけます!」もおもしろかったです。ホンネがたくさん出てきます。たとえば「個人的に使ったお金はどこまで経費にねじ込めるのか」などということは、回答を知りたいと思う質問の第1位ではないでしょうか。
 乙が気になったところですが、p.241 で「実調率」(じっちょうりつ:税務調査の割合)が書いてあり、2006年度の数値ですが法人 4.9%、個人 0.8% と書いてありました。こんな低いとは知りませんでした。個人では一生税務調査と無縁の人もけっこうたくさんいることでしょう。言うまでもなく、全国民がまじめに所得を申告し、税金を払っていれば、税務調査は無用です。現実はそうでもなさそうですが、……。

 本書は良書です。

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2012年03月31日

出井康博(2008.6)『年金夫婦の海外移住』小学館

 乙が読んだ本です。新書サイズで手軽に読めます。
 マレーシア・タイ・フィリピンで増えている「裕福でない日本人老年層」を取材した結果です。こういう国では生活費が安いからということで、あまり多くの預貯金を持たない日本人が退職後に英語も現地語も話せないまま長期滞在している例が多いという話です。
 本書は、海外移住を勧めるスタイルではなく、むしろ、騙されたり詐欺に遭ったりしている日本人高齢層の例がたくさん書かれています。つまり、トラブル集のようなものなのです。現地人にやられる例もあるし、日本人にやられる例もあります。こういう本を読んでいると、ホントに海外移住していいのかというような感覚になってきます。
 まあ、どこに住むのであれ、イヤなことがいろいろあるものでしょう。地球の上では、どこに行っても誰かがいるし、また他人なしでは生きていけないのが人である以上、地上には楽園がないようなものなのです。
 本書のタイトルの「年金夫婦の」は、ちょっと言い過ぎかもしれません。マレーシア編では確かに年金夫婦がでてくるのですが、タイ編では、タイ人妻と暮らす年金受給者(騙されているのかどうなのかよくわかりませんが)がメインですし、フィリピン編でも介護を受ける老人の話題ですから、ちょっと違います。
 いざ、海外で暮らすことを考える際には、本書のようなものも一読しておくとよさそうです。


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2012年03月19日

日経ヴェリタスに登場

 乙は、日経ヴェリタスの第209号(3月11日〜17日)の61ページ「個人投資家 七転び八起き」欄に登場しました。
 先日、喫茶店で日経の記者さんと会って、2時間ほどお話ししたのですが、それを記者さんがまとめてくれたというわけです。いろいろ話したことのうち、ごく一部しか扱っていませんでしたが、まあいいでしょう。
 大きな失敗談も載っています。
 話した内容は、このブログの記事と重なります、当然ですが。
 ということで、このブログを読めばわかるようなことばかりです。しかし、簡単に過去7年ほどの足取りを見るにはいいかもしれません。
 新聞記事ということで、このブログで伏せている情報が載っています。
 一つは乙の上半身のイラストです。けっこう似ているように思います。
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2012年03月17日

安達誠司(2012.1)『円高の正体』(光文社新書)光文社

 乙が読んだ本です。
 第1章「為替とは何か?」は、為替の基本的な考え方の解説です。通り一遍的に感じました。
 第2章「円高・円安とは何か?」も、まあまあ常識的な内容です。
 第3章「「良い円高」論のウソ」は、円高なんていいことはないということで、このあたりからおもしろくなってきます。円安は輸出企業に有利で、円高は輸入企業に有利と考えたくなりますが、そう簡単な話ではなく、輸出企業と輸入企業を併せて日本全体として考えると、円高は良くないことになるという話です。50ページほどの章ですが、図表で具体的な数値を示しながらの記述ですので、説得力があります。
 なお、p.94 から変動相場制の下では通貨の暴落が起こらないということを論じています。この議論もおもしろいものでした。ヘッジファンドが通貨アタックを開始した場合でも、円安になるだけで、景気が回復してしまうとのことです。したがって、日本への通貨アタックはないとしています。
 平常時には、この議論が成り立つと思いますが、しかし、非常時にも同様なのか、乙は自信がありません。非常時というのは、財政破綻・日本国債暴落が起こった場合です。
 第4章「為替レートはどのように動くのか?」もおもしろかったです。p.133 によれば、為替レートは2国における将来の物価についての予想の格差の変動によって動かされているとしています。データで示されているので、説得力があります。「修正ソロスチャート」というのは、初めて見ました。おもしろい話です。
 第5章「為替レートは何が動かすのか?」は第4章の続きのような感じです。
 第6章「円高の正体、そしてデフレの“真の”正体」は、今の日本ではマネタリーベースが不足だとして、日銀があと 28.8 兆円を追加すればいいとしています。こんな簡単な話なのか、こういう結論でいいのか、乙はよくわかりませんでした。納得しがたい面があるということです。こんな簡単な話なら、政府なり日銀なりがちょいと政策を変更すればできてしまう話です。そんな話なのでしょうか。円高にしても、デフレにしても、いろいろなことがからんでいて、簡単に割り切れるものではないように感じているのですが、どうなんでしょうか。
 著者のようにすっきり考えられたらうれしいのですが、……。
 いずれにせよ、円高問題に興味のある人は読んでも損はしないと思います。


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2012年03月07日

スティーヴン・D.レヴィット/スティーヴン・J.ダブナー(2010.10)『超ヤバい経済学』東洋経済新報社

 乙が読んだ本です。
 必ずしも従来は経済学的に考えるとは思われなかったようないろいろな問題について、考えてみたというお話です。しかし、単なるエッセイ集ではなく、巻末に詳しい参考文献があります。本文中のすべての出典がわかるのではないかと思われます。つまり、本書の記述には具体的な裏付けがあるということです。このあたり、意外にしっかりしています。
 扱われる議論の中身はさまざまです。乙は、p.23 からの売春婦の話がおもしろいと思いました。いったいいくらで体を売るのか、その値段を売春婦の側でつり上げたら、客の反応がどう変わるかということが書いてあります。実際に、町で商売をしている売春婦にインタビューをして書いているようです。
 p.176 からは、障害を持つ人を雇うかという問題が出てきます。アメリカでは、障害を持つ人を差別しないように作られた法律があるそうです。しかし、そういう法律があるために、経営者は、障害を持つ人を簡単にクビにできないと考えて、最初から雇用しないようになってしまったというのです。法律は、意図通りには機能しないのですね。
 p.267 からは終章ですが「サルだってひとだもの」がおもしろいと思いました。疑似コインを使うようになったサルの実験です。疑似コインがエサの代わりになり、それをオスがメスにプレゼントすることでサルがセックスをする、つまり、売春が行われるというあたり、実に興味深い記述でした。
 ともあれ、気楽に読めるスタイルで、さまざまな問題を常識とは異なる側面から読み解いてくれます。読んでいて楽しい1冊です。
 ま、しかし、読んだからといって経済学に詳しくなるわけではありませんので、ご注意を。


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2012年02月29日

若林栄四(2011.7)『デフレの終わり』日本実業出版社

 乙が読んだ本です。「2012年に「千載一遇」の買い場がくる」という副題がついています。
 タイトルに引かれて読み始めました。
 読み始めてすぐに、驚きの説明が出てきます。序章ですが、「相場は「黄金分割」で定められている」ということです。で、チャートなどは、水平線に対して36度の角度をもつラインが重要だとのことです。相場が急上昇するときは72度だそうです。(p.21)角度なんて、縦軸/横軸に何をとるか、どれくらいの間隔で目盛りを振るかで変わってくるものです。そんな説明なしで、いきなり36度といわれても、まったく無意味です。
 各種サイクルについても、27(年)とか162(ヵ月)などという数字が重要だとのことです。(p.31)
 なぜこの数字が重要か、なぜこのような数字に従って経済が動くのか、まったく説明ができていません。
 著者は、本気でこんな数字に頼って投資を考えているのでしょうか。
 第1章の50ページほどを読んで、説得力がまったくないことで、乙はこの本を読むことを止めました。
 巻末の著者紹介を見ると、1966 年、京都大学法学部卒業です。金融畑一筋で 1996 年に退職したとのことです。この業界には、こんな人がいるのだと知って、ちょっと恐くなりました。


タグ:若林栄四
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2012年02月26日

佐々木融(2011.10)『弱い日本の強い円』(日経プレミアシリーズ)日本経済新聞出版社

 乙が読んだ本です。
 日本経済はダメダメだといわれているのに、円高です。円高ということは、円が強くなっているということです。なぜ、こんなことになるのでしょうか。これを説明したのがこの本です。
 新書サイズで読みやすく、しかし、中身はしっかりしていて、読んでいて納得感があります。
  第3章 国力が為替相場を決めるわけではない――長期的な為替相場変動の要因――
 ここでは、長期的に購買力平価が成り立っていると説きます。
  第4章 円に買われる理由などいらない――中期的な為替相場変動の要因――
 ここでは、投機筋がどうこうという話ではなく、貿易収支が重要だと説きます。
  第5章 強い雇用統計で売られるドル――短期的な為替相場変動の要因――
 ここでは、円がどうこうという話よりは米ドルが(アメリカが)どうなっているかで相場が決まると説きます。
 これら三つの章で為替の問題がクリアーに説明されます。とても納得できます。
 関連しておもしろかったのが
  第8章 介入で「円安誘導」などできない――介入のメカニズムと効果――
です。日銀が為替相場に介入して、円安にしようとして、円を売ってドルを買っていますが、そんなことにはまったく効果がないと説きます。むしろ、外貨準備として大量のドルを積み上げる結果になっています。その資金は、国債を発行して、いわば借金しているわけです。
 日本は、こうして大量のドルを積み上げて、円高/ドル安で大損をしているわけですから、結果的にアメリカに貢いでいるようなものです。日本はアメリカの植民地か属国なんでしょうか。
 介入しても円安にならないならば、ドルを売って円を買って(円安介入の反対をして=円高介入(?)をして)も効果がないはずで、そんな大量に積み上がったドルはさっさと取り崩すべきだと思いますが、どんなでしょうか。
 本書では、pp.220-221 で、円売り介入は円買い介入より楽であると述べ、数十兆円程度の大量の円買い介入をすると、資金が尽きてくるので、投機的な円売りが始まって円の下落がさらに加速してくると説きます。
 なかなかむずかしいものですね。

 何はともあれ、為替問題を明確に説いている点で、本書は読むに値する本だと思いました。


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2012年02月24日

鈴木亘(2010.9)『財政危機と社会保障』(講談社現代新書)講談社

 乙が読んだ本です。
 今の時代にぴったりの本です。
 日本の財政危機と社会保障とが関連する問題であることがよくわかります。
 いくつか、特におもしろかったところを抜き出しておきましょう。
 p.80 では、菅首相のいう「強い社会保障が成長戦略だ」が間違いであることが明確に書かれています。2010年当時、こんなにはっきり間違いを指摘した人がいたでしょうか。いたかもしれませんが、乙は知りませんでしたので、とても興味を持ちました。
 p.141 では、技術的に年金は破綻しないこと、一方、p.145 では、政治的に年金が破綻しうることを述べています。なるほどと思いました。今の政治家たちのアホさ加減を見ていると、これこそが日本の危機であるという思いを強くします。これから日本がどうなるのか、心配が募ります。
 本書は、全体として、日本の財政危機と年金・医療・介護・保育所などの問題をわかりやすく説くものです。一読することで、日本のこれらの問題をどう考えるべきか、正しい視点を得ることができます。

 それにしても、本書は、2010年9月刊行の本なのに、「菅首相」などが出てきて、古さを感じさせます。たった1年半前なのにです。日本では総理大臣がころころ変わっていて、日本という国は、なんて安定感のない国なんだろうと思います。


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2012年02月12日

石角完爾・田代秀敏(2010.12)『日本国債暴落のシナリオ』中経出版

 乙が読んだ本です。
 日本国債がデフォルトすることを予測しています。なぜそうなるかといえば、日本国債を買う人がいなくなるからです。そして、第4章では、国債が暴落することで、日本国民の生活がどうなるかを描いています。円安、インフレになり、政府、企業、金融機関、農業、年金、公的サービスがどうなるか、変化を予想しています。
 記述はおおむね妥当でしょう。
 一番の問題は、このような日本国債の暴落に備えて、では何をすればいいかということです。本書では第5章で若干の記述がありますが、大したことは書いてありません。基本的には、それを受け止めるしかないというスタンスです。
 投資の観点からは、分散投資をすすめています。まあ当たり前でしょう。しかし、p.203 では「損切りのルールを守る」などということが出てきて、「あれ?」と思ってしまいます。
 それにしても、国債が暴落するとは、一体、いつごろの話なのでしょうか。もしも、今のままの日本のあり方が継続するとして、数年先でしょうか。10年先でしょうか。あるいはまた20年ほど先なのでしょうか。それによって影響が全然異なります。しかし、本書にはそういう時期の話は一切出てきません。なぜなのでしょうか。
 p.18 では、他の記事の引用で「今から50年以内に……」というようなことがちらっと書いてあるのですが、50年後ならば、乙は当然死んでいますから、どうでもいい話です。少なくとも心配するような話ではありません。
 本書を読んで、わかったような気になる一方で、どうにもわからなくなりました。


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