2006年10月31日

海外投資を楽しむ会(2005.3)『小富豪のための上海<人民元>不思議旅行』東洋経済新報社

 乙が読んだ本です。
 出だしからいきなり「中国の銀行はこんなに面白い」ということで五つの体験談が載っており、引き込まれてしまいました。
 本書は、人民元口座を作った体験談と、その使い方を書いたもので、登場する銀行は中国銀行とHSBC中国です。
 もっとも重要なことは、日本円を人民元に両替することは簡単にできるけれども、人民元を外貨に両替することは、普通の個人にとって不可能だということです。まあ、香港に持ち出して両替するという道もありますが、かなり手間がかかります。そもそもそういうことは中国が認めていないのが現状です。
 人民元は、切り上げの方向にあることが明らかですし、そうならないにしても金利が高くなるでしょうから、人民元投資は魅力的なものです。しかし、人民元のこういう性質を考慮すると、普通の日本人にはちょっと手が出せないと思います。
 となると、それを乗り越えて人民元口座を作り活用する人というのは、どういう人なんでしょうか。中国にしょっちゅう出かけている人でしょうか。でも、何のために、……。もしかして中国でビジネスを展開している人でしょうか。本書を読んだ人で、本書の内容を活かすことができる人は、いったいどういう人なのか、乙には想像ができませんでした。
 例によって解説は丁寧で、この本だけで口座開設などはできそうに思えます。現地での行動を考えると、ある程度は中国語の知識が必要なのではないかと思いますが、著者たちの中国語のレベルはどんなものだったのでしょうか。書いておいてほしかったですね。
 一読し終わった後、普通の個人にとっては、この本を読んでもしかたがないのではないかと思いました。
 少なくとも、乙には、この本は不要でした。



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2006年10月30日

FCJ-トラスト-上場期待日本株ファンド

 乙は、2005年5月ころ、このファンドを見つけ、購入するかどうか、迷いました。
 このファンドも、未公開株に投資します。ファンド・オブ・ファンズであり、未公開株ファンドいくつかに分散投資するといえばいいでしょう。
 しかし、乙はSBI未公開株組入ファンドV
http://otsu.seesaa.net/article/25983122.html
を購入したので、似たようなファンドに投資することは問題だと考え、こちらは購入しないことにしました。
 アイザワ証券が販売しています。販売手数料は 3.15% です。
http://www.aizawabtc.com/zinvest_detail.html?serial=97&category1=26&a=0
を見ると、2006.10.13現在の基準価額が 9,264 円となっており、1万円を割り込んでいます。未公開株ファンドと聞くと、ついつい期待してしまいますが、なかなか好成績は得られないといったところでしょうか。乙は、1年半前に「買わない」判断をして、結果的によかったと思います。もっとも、正確な判断は、償還時まで待ってみなければわからないわけですが、少なくとも、新規設定時(2005年5月)に購入するよりは、今購入するほうがいいことは明らかです。
 今は、2006.10.13 のレポート
http://www.aizawabtc.com/upfiles/invest_pdf/repo_up/97/5445.pdf
を読むことができます。9月30日段階で、純資産総額が33億円であることがわかります。一応それなりの金額が集まっていることがわかります。しかし、基準価額は運用開始から下がる一方です。
 目論見書は
http://www.aizawabtc.com/upfiles/invest_pdf/plan_up/97/253.pdf
で読むことができます。特に気になる手数料のところを見てみると、次のようなコストがかかることがわかります:管理報酬 0.3%、投資顧問報酬 0.1%、受託会社報酬 0.1%、代行協会員報酬 0.2%、販売会社報酬 0.5%。
 これらの合計は 1.2% です。
 この他に、子ファンドにおいて、各種報酬 0.2%、ベンチャーキャピタルへの投資顧問報酬2ないし3%、成功報酬として増加分の 20% がかかります。
 ファンド・オブ・ファンズ形式では、どうしても報酬の占める割合が高くならざるを得ません。
 まだ1年半しか経っていないのですから、あれこれいうことは時期尚早のようにも思いますが、それにしても元本割れを起こしているというのは意外です。10年間の信託期間ですから、そういう長い目で見ないとファンドの正当な評価はできないと思いますが、SBI未公開株組入ファンドVと同様に未公開株関連ファンドはけっこう投資家の我慢が続くものなんですね。
 改めて、新規設定のファンドに手を出すべきでなく、3年程度の運用成績を確認してみないと何ともわからないということを痛感しました。ということは、ファンドは、ユニット型(単位型)を購入するべきでなく、オープン型(追加型)を購入するべきであるということになるわけです。ユニット型としては、オープン型とは違った投資スタイル(投資方法や投資対象など)をとることで投資家に訴えようとしているのでしょうが、さて、どうなのでしょうか。
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2006年10月29日

海外投資を楽しむ会(2003.12)『小富豪のための香港金融案内』東洋経済新報社

 乙が読んだ本です。
 出だしに「本書は2000年8月に発売された『ゴミ投資家のための金融シティ香港入門』の新版にあたります。」と書いてあります。それなら、乙は、前著
http://otsu.seesaa.net/article/25920504.html
は読む必要がなかったということです。
 目次が
http://www.panrolling.com/books/alt/hongkong2.html
http://www.alt-invest.com/pl/book/hongkong/index.htm
にあります。後者は “金融シティ香港”の基本知識FAQ や 香港豆知識 があって、便利です。
 本書は、香港上海銀行とシティバンク香港の口座開設からその口座の使い方を解説したものです。例によって非常に詳しく丁寧な書き方がされていますが、乙は、ここまで丁寧な書き方が必要なのか、疑問に思っています。香港上海銀行が pp.65-207、シティバンク香港が pp.209-320 で、両者ともに相当のページ数です。特に、香港上海銀行の話はかなり詳しく、本書を一読するだけで、どんなサービスがあるか、一通りカバーできそうです。ただし、p.86 あたりでは、債券の手数料の話がきちんと書かれていないようです。
 シティバンク香港についても、本書だけでほぼその全貌がわかります。p.211 で、シティバンクでは、インターネットで送金できる金額の上限が1日1万香港ドル(約15万円)と書いてあります。また、p.220 では、「株式売買とFX取引を除いて、インターネットで売買することはできません。」と書いてあります。投資信託がネットで買えないというのには驚きました。この2点を考慮すると、乙は、シティバンク香港を利用する気はしませんでした。逆にいうと、乙が HSBC 香港で口座を開設したことは正解だったということです。
 pp.22-64 は「“金融シティ”香港FAQ」という部分ですが、ここはけっこうおもしろかったです。
 p.46 「香港では、ファンドは銀行の投資口座を通じて購入するものと考えられています。地場証券やネット証券は株式しか扱わないところがほとんどです。」と書いてあります。なるほど。こう考えれば、証券会社を利用するメリットはあまりないことが納得できます。
 p.62 チャールズ・シュワブの話が新鮮でした。米国株、米国債、オフショアファンドを扱うとのことです。
http://www.schwab.com.hk/
がホームページです。ここは、けっこう手数料が高そうなので、乙は、たぶん、利用しないと思います。
 本書は、厚さはあるものの、記述内容は薄くなっているように思います。まあ、口座を開設する前に、どんなものか、手に取るようにわかるという点が本書の売りでしょう。各自にとって、口座開設の必要性・利便性があるのかどうか、事前に検討する場合には、かなり有用な本かもしれません。



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2006年10月27日

SBIブロードバンドキャピタル投資事業匿名組合

 2005年3月ころに、イートレード証券でSBIブロードバンドキャピタル投資事業匿名組合の募集があり、乙は申し込もうかどうしようかと迷いました。結果的に、申し込まないことにしたのですが、ふと気が付くともう1年半も経っているんですね。時間が経つのは早いものです。
 これは、ひとことでいえば、匿名組合方式によるベンチャー投資ファンドといったところでしょう。匿名組合は、厳密にいえばファンド(投資信託)ではありませんが、みんながお金を出し合って「何か」をして、利益をみんなで配分するということを考えれば、ファンドと同様なものと考えてもいいと思います。
 この仕組みについては、磯崎哲也氏が書いています。
http://tez.com/blog/archives/000171.html
また、そのブログの記事のコメント欄で募集内容がある程度わかるようになっています。
 この匿名組合は、どれくらい出資金を集めたのでしょうか。
http://www.sbigroup.co.jp/business/assetmanagement/fund.html
によれば、簿価純資産は200億円とのことです。ずいぶん出資金を集めたことがわかります。それだけ魅力的だったといえましょう。
 乙が投資を見送った理由は、三つありました。
(1) 出資金がやや高めなこと
 1口100万円からとのことですが、実績が何もないところに出すには、ちょっと高めだと思いました。
(2) 手数料が高いこと
 申込み時2%、毎年3%の固定報酬に加えて、成功報酬が資産増加分の20%かかります。運用資産が当初出資金の2倍を超えたら成功報酬は30%になります。これはファンド一般に比べると相当に高い手数料です。特に、固定手数料部分が高いと思います。
(3) 非常にハイリスクであること
 「目的及び事業の内容」として「主にブロードバンド・インターネットに関連する事業を行っている中長期的に高い成長が見込まれる国内外のIT関連未公開企業に投資」するとありますが、未公開株に投資するということですから、うまく行けば相当にハイリターンが期待されますが、一方では、ブロードバンドの環境がこれから激変する可能性もあり、それぞれの企業がどういう方向性を持っているかで、結果の良し悪しが大きく変わってしまうと考えられます。

 さて、現在 WWW を見てみると、この匿名組合に関する記事がいくつか見つかります。
 http://www.morningstar.co.jp/j_p/f_news/04_08/f_n0820.htm
は、2004.8.20 の記事ですが、ワールド日栄フロンティア証券 専務取締役 中尾征雄氏が次のように述べています。
 「確かにベンチャー企業に対する投資には大きなリスクがあります。一般的に、ベンチャーキャピタルが投資をした未公開企業が上場を果たし、大きなリターンを得ることのできる確率は3割程度で、5〜6割はトントン、残りはゼロになってしまうといわれます。しかし、リターンの得られた3割の企業の株価は、投資額に対して数十倍にも上昇することもあり、ファンド全体のリターンはかなり高いものとなるのです。」
 ということで、ハイリスクであることを認めた上で、ハイリターンを予測しています。販売する側のセールス・トークである以上、こう述べるしかないと思いますが。
 http://plaza.rakuten.co.jp/sekifumi/diary/200609090000/
では、出資している人の意見が書いてあります。「1. 大手証券会社が関係しているファンドで安心 2. SBI系のIPOは人気化しやすい 3. ネット関係のIPOは人気化しやすい」とのことです。乙には、これらの理由はあまり根拠にならないように思えます。
 これらに対して、この匿名組合に否定的な声があちこちに見られます。
 http://million.exblog.jp/446717/
では、いろいろ考えて、結局、申し込まないようになったようです。
 http://zillionaire.sblo.jp/article/1199079.html
では、SBIブロードバンドキャピタル2号投資事業匿名組合ですが、2006年8月29日段階で進捗率が遅いことを憤慨しています。
 http://zillionaire.sblo.jp/article/800507.html
では、同じく、SBIブロードバンドキャピタル2号投資事業匿名組合ですが、2005年10月13日段階でIT関連企業ではなさそうな企業に投資していることに疑問を呈しています。
 http://blog.mag2.com/m/log/0000051074/105178111
では、カン・チュンド氏が「1.客観的な「時価」を把握できない 2.中途解約に制限あるいはペナルティーがある 3.売り買いがしにくい」の3点をあげて、「一般の公募ファンドの表も裏も知り尽くした(いわゆる)セミプロの方が、より高いリスクを取って投資される運用商品だとわたしは思います。」と述べています。
 乙は、投資初心者の考え方がナイーブで危険すぎると思われる場合もあり、カン・チュンド氏の言い方には、半分納得するものの、一面では、初心者でもセミプロでも、実際の投資段階では金融商品を買うという行動面は同じになるので、投資には(プロも)セミプロも初心者もないという考え方も成り立ち、全面的に賛成ともいえません。
 http://d.hatena.ne.jp/ecodrive/20040826
では、2004.8.26の記事ですが、「投資家が負うリスクについて重点を置いて書かれている一方、投資の内容は表面的な説明に終始しています。予定される配当の利率や、具体的な投資対象企業名が明らかにされている訳でもなく、お任せコースでお願いするしかないようです。【中略】分別保管なし、投資実績なし、マネージャの手腕不明の商品に投資することが躊躇われたので、見送りました。」ということです。乙が不安に思ったことがここに明確に書いてありました。
 乙がこのファンドの購入を見送ったのは正解だったかもしれません。
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2006年10月26日

海外投資を楽しむ会(2003.8)『小富豪のためのタックスヘイブン入門』東洋経済新報社

 乙が読んだ本です。
 この本では(これ以降もそうですが)「ゴミ投資家」が「小富豪」に昇格しています。きっと、資産運用がうまくいって、資産が増加したのでしょうね。まずは、著者の方々に「おめでとう」と申し上げます。
 本書は、ページ数からいうと、オフショアバンク一つの紹介とオフショア・ファンドの検索サイト三つ(それに一つのオフショアファンド会社)の使い方がメインです。
 詳しい目次は
http://www.panrolling.com/books/alt/taxhaven.html
にあります。
 例によって、記述は大変詳しく、本書を読むだけで、オフショアバンクの口座開設とオフショア・ファンドの購入ができそうに思います。
 しかし、乙は、ここまで詳しく書く必要があるのだろうかという疑問を感じました。本書の紹介部分に書いてある内容は、WWW にアクセスすれば(そして英語が読めれば)すぐわかりそうなことばかりです。残念ながら、本書は外形的な厚さはあるものの、内容的には比較的薄いといわざるを得ませんでした。
 ただし、詳しく書いてあるだけに、本書によって、オフショアバンクやオフショアファンドが自分にとって必要なものか否かを判断するには充分です。乙の場合、アビーナショナル・オフショアに口座開設する必要性はほとんどないということがわかりました。それ以上に、HSBC 香港がかなり使いやすい銀行であることが再認識されました。
 Part 1(オフショアバンク編)でいうと、
 pp.49-116 口座概要・開設編 アビーナショナル・オフショア
 pp.117-161 口座活用編 アビーナショナル・オフショア
の2箇所は、オフショアバンクの紹介です。さっと斜め読みしてもいいところだと思います。
 Part 2(オフショアファンド編)でいうと、
 pp.233-264 スタンダード&プアーズ・ファンドサービス
 pp.265-296 フィナンシャルタイムズ・コム
 pp.297-330 モーニングスター(イギリス版)
 pp.331-352 インベステック・アセット・マネジメント
の4箇所は、オフショアファンドの検索サイトおよびファンド会社の紹介です。ここもさっと斜め読みしてもいいところだと思います。
 そうすると、本書で残るところ(読むべきところ)はかなり少なくなります。
 pp.16-39 海外投資の基礎知識
 pp.41-45 オフショアバンクの選び方
 pp.162-202 日本からの海外送金、個人小切手、海外投資の税金FAQ
 pp.204-232 オフショア資産運用FAQ
 あちこちにあるコラム(目次で調べられます)
だけを読んでもいいのではないでしょうか。これらの箇所は読む価値があると思います。
 以下、乙がおもしろく思ったところを3ヶ所ほどピックアップしておきます。
 p.36 オフショアの銀行はシンプルで、普通預金と定期預金だけがあり、インターネット取引に適しているとのことです。オフショア銀行がインターネット専業バンクに似ているという指摘はおもしろいと思いました。
 p.63 コラムですが、「単独名義の口座で本人が死亡したら」があります。これは大変重要な問題です。これに関しては、インターネットの普及で、この問題がかなり改善されたとのことです。ログインIDとパスワードを相続人に渡せばいいということで、乙もこれを意識しています。
 p.202 「将来、日本国内で使う予定の資金は海外に出さず、国内で運用したほうが合理的です。」とあります。海外投資の解説書にこういう文言が出てくるとは思いませんでした。この点に関しては、乙は若干違った意見を持っています。15年ほど海外で運用した後、国内に一部戻すつもりですが、かなりの部分は戻さずに、子どもに譲ることを考えています。子どもも国内に戻すことなく海外での運用を続けるでしょう。それでいいと思います。本当に必要になったときに一部を国内に戻す程度でよくて、大部分は海外に置いたままにしようと考えています。まあ、これは「日本国内で使う予定の資金」ではないといえますかね。

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2006年10月25日

投信スーパーセンター

 500種類以上の投資信託が買えるというサイト、「投信スーパーセンター」があります。
http://www.toshin-sc.com/
 サイトをのぞくと、ホントにスーパーマーケットのようなイメージで作ってあります。サイトの作り方が上手で、身近に感じるし、若者に取っつきやすいようにできています。
 このサイトは、昨日のブログ
http://otsu.seesaa.net/article/26058455.html
で描いた乙のイメージ(ロングテールをねらう Web 2.0 的な売り方)にやや近いかなと思います。しかし、扱っているのは日本で購入できる全部の投信ではなく、「たった」500種類だけなんですよね。この数倍扱えればいいのにと思います。とはいえ、よそではこんなにたくさん扱っていないので、「日本最大」のサイトということになるのでしょう。
 スーパーマーケットのような感覚で投信が買えるところはいいと思います。最低投資金額は1万円ですが、これは当面しかたがありません。しかし、運用報告書を電子メールで送る(あるいは WWW に掲載して、どこそこをみよということだけを電子メールで送る)ことにして、郵送を一切省略すれば、経費が節約でき、1000 円からでも購入可能になるかもしれません。これがホントの安売りスーパーマーケットです。あれこれの投信を 1000 円ずつ買うようなことも楽しいかもしれません。こうすればもっと投信に対する理解が深まるでしょう。だって、投信の理解は、買ってみてはじめて分かる場合が多いのです。投信をあれこれ 100 種類も購入すると、管理が大変になるということも分かって、顧客側で自粛するでしょうから、個人の保有種類数は、まあそこそこのところに落ち着くだろうと思います。
 あとは、中身の充実(商品の品揃え)ですが、投信会社が、あまり発達していない(銀行や証券会社の子会社が多く、独立系の投信会社はごく少ない)日本では、もう少し時間が経たないと「充実」まではむずかしいかもしれません。ともあれ、500種類といわず、1000種類を目指しましょう。
 この投信スーパーセンター、実は、中身は日興コーディアル証券なんですね。宣伝がうまいと思いました。きっとどこかの広告代理店がからんでいるのでしょう。
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2006年10月24日

森健(2006.9)『グーグル・アマゾン化する社会』(光文社新書)光文社

 乙が読んだ本です。
 投資に関する本ではありません。タイトルからわかるように Web 2.0 に関する本です。
 普段からアマゾンで本を買うことが多い乙としては、何となく買って読んでみました。
 本書によれば、アマゾンは、ロングテールをねらって大きく成長したとのことです。書店に並ばないようなほとんど売れない不人気本でも、ネットなら扱えるというわけです。インターネットが普及することで、とんでもないところにビジネスチャンスが出現するんですね。
 ところで、ネット証券などでもロングテールがねらえないものでしょうか。今は、各証券会社が扱える投資信託の数が限られていて、したがって、場合によっては投資家が複数の証券会社に口座を設ける必要があるわけですが、ネットだったら、たくさんの投資信託を扱っても、証券会社側の手間が増えることはあまりなさそうです。ですから、数十種類の投資信託を扱うのでなく、数百種類ないし数千種類(日本で買える全部?)を扱って、投資信託のスーパーマーケットのようにするというのはいかがでしょうか。ネット証券ですから、もちろん販売手数料は格安にできます。こういうスーパーマーケットは、ネット証券ならできます。というか、窓口販売では、手間がかかりすぎてとうていできません。
 p.108 アマゾンでは、一般人の書いたカスタマー・レビューがプロの書評を駆逐してしまいました。
 アマゾン流の(一般人による)レビューは、カカクコムなどでも見られます。こちらも大変有意義です。
 これと同様のことが投資信託の世界でもできないでしょうか。それぞれの投資信託を購入している人が何でも書き込めるような掲示板のようなものを設置します。Yahoo の個別株の掲示板みたいに、変な書き込み(失礼!)が集中すると意味がないのですが、そこは運営側が判断して適当なものだけを掲載するようにします。場合によっては、その投資信託に関して書かれた(ブログの?)記事にリンクを貼るようなことでもいいでしょう。そういうのがあったら、投資信託の購入者は大いに参考になるでしょう。購入者によっては、運用報告書などを丹念に読んで、当該の投資信託の問題点などを鋭く指摘するような記事を書く人も出てくるでしょう。そうやって、多くの個人投資家の声を反映させるようなサイトができたら、それを参考に投資信託を選ぶようなことも可能になるのではないでしょうか。
 投資信託は、本のように複雑な内容のものではありません。それに、本は何百万点もあるのに、投資信託はせいぜい数千種類程度しかないでしょう。しかも、投資信託の購入者の数は本の読者の場合に比べて圧倒的に少ないということもあります。これらの諸事情を考えると、うまく行かないかもしれませんが、乙はちょっと夢想して一人で愉快になっていました。
 p.177 情報とマネーは親和性が高いという話です。どちらもものとしての実体がなく、データにたやすく変換できるからというわけです。証券市場や為替市場はもともとネットに適していたことになります。乙としては、このあたりで、さらに一皮むけた新しい(投資に関する)サービスがネット上で起こることを期待しています。ネットを使わない高年層の個人投資家が減少しつつあり、個人投資家の株取引はすでにネットが中心になっていることを考慮すると、その可能性はあると思います。



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2006年10月23日

SBI未公開株組入ファンドV再論

 乙は、SBI未公開株組入ファンドVに投資しています。
http://otsu.seesaa.net/article/17401418.html
 最近の運用状況を見てみると、今は、10月17日付の報告書が読めます。
https://search.etrade.ne.jp/fsearch/fmrep/fr_X0738000_02.pdf
それによると、9月末の時点での資産配分は米国債券 54.1%、上場株 14.8%、未公開株 12.9%、現金等 13.0%、円金利商品 5.2% となっています。目論見書によれば、本来、未公開株は3割くらいを占めるはずですが、現状ではとてもそこまでは届かず、現金の比率がやや多めなように思います。円金利商品が何かわかりませんが、まあ今の時代のこの低金利では、こういうもので資産が増えることはほとんど期待できません。このファンドは未公開株の部分が主目的なのですから、もう少し積極運用してほしい(未公開株の比率を高めてほしい)ところです。
 しかし、上記報告書(p.8)には「未公開株については、現在組み入れ決定している銘柄はありません。」と書いてあり、どうにも乙の期待は空回りのようです。
 基準価額もほとんど上昇しておらず、高い手数料を取る割には、平凡な成績です。投資対象として米国債が多くを占めますから、それでは上昇の余地は限定的でしょう。手数料が高いから成績が伸びないという見方もできるでしょう。
 いつでも購入・解約ができるオープン型(追加型)のファンドと比べると、SBI未公開株組入ファンドVのような、特定の期間だけ購入でき、数年間解約できないユニット型(単位型)のファンドは、運用会社にとっては、インセンティブが働かないという面もありそうです。うまく運用して資産を増やそうが、じっとしていようが、固定手数料(信託報酬)部分は確実に入ってくるわけですからね。成功報酬 10% をもっと多くして(固定部分を減らして)ファンド・マネージャーをもっと叱咤激励するのがよさそうです。すでに、販売してしまったものに対しては、今さら変更するわけにはいきませんが。
 投資家から見ると、このファンドはまだまだ我慢が続きそうです。
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2006年10月22日

海外投資を楽しむ会(2000.8)『ゴミ投資家のための金融シティ香港入門』メディアワークス

 乙が読んだ本です。
 香港の三つの銀行と一つの証券会社に口座を開設する手順を解説した本です。
 しかし、内容がすっかり古くなってしまいました。出版されたときは、有用な面が多かったようにも思いますが、今は読む価値はほとんどないというべきでしょう。テレフォン・バンキングのことがいろいろ書いてありますが、今はこういうのを使う人はいないでしょう。インターネット・バンキングが一般的です。乙は、一読して、こんなにも苦労して香港の銀行を使ってきた人がいたんだなあと感慨を覚えました。逆にいえば、今の私たちが大変恵まれているということです。
 乙としては、ところどころにはさまっている「金融シティ香港Note」というのがおもしろかったです。香港についていろいろ勉強できました。
 ところで、三つの銀行の記述を読むと、それぞれはだいたい似たような感じです。それはそうでしょう。お互いの間でサービスの種類や手数料に大きな差があるようでは競争に負けてしまいますからね。だとすると、三つの銀行のそれぞれについてさまざまな情報を載せる意味はどこにあるのでしょうか。利用者からすれば、一つの銀行に口座を開設すればそれで充分なように思うのですが、……。本書の記述方針に疑問を感じました。
 記述内容は、大変詳しいです。まさに手取り足取りです。そこがこの本の売りなのかもしれませんが、乙は、もう少し簡略でもいいだろうと思ってしまいました。
 乙は、HSBC香港に口座を持っていますが、本書を一読して、他の銀行に口座を開く必要はないと思いました。一番ショックだったのは、各銀行・証券会社の送金手数料が高いということです。今は安くなっているのかもしれませんが、ちょっと足踏みしたくなる金額です。p.307 にはマンションハウス証券からの送金手数料が書いてありますが、何と HK$230もするのです。日本円で 3500 円相当です。これでは資金を他に持ち出すのを躊躇しますよね。
 また、株式の売買をするとなると、その手数料も高いです。もっとも、p.279 を読むと、香港での株式取引は完全に自由化されていないと書いてあります。だから、日本のネット証券のような格安の手数料が実現されていないのでしょう。事情はわかります。
 HSBCインターナショナルでは、英ポンドで運用する場合はいろいろ安くできるけれども、その他の通貨に関してはもろもろの手数料が高くなっています。英ポンドを運用するためだけにここに口座を開設するのもどうかなあと思いました。その手間(トラブルへの対応を含む)をかけたくないのです。
 結論からいえば、本当のゴミ投資家としてはいくつもの銀行に口座を開設するのは好ましくありません。ある程度まとめて運用するようにしないと、コストがかかりすぎます。多額の資産を運用する場合は、これらの手数料も大きな問題ではなくなるかと思いますが。
 p.337 によれば、著者の中には女性もいるとのことです。乙は、先入観から「海外投資を楽しむ会」は男性ばかりかと思っていました。偏見を持ってはいけませんね。


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2006年10月21日

「WOWOW、スカパーに番組供給」というニュースによる株価の変動

 日経新聞10月20日朝刊13面に「WOWOW、スカパーに番組供給」という記事が出ていました。
 WWW を探すと、その記事は、10月19日 20:00 に掲載されていました。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20061019AT1D1907N19102006.html
この記事は、20日の朝刊の記事の前半だけを収録したものです。
 NIKKEI NET の中を探すと、IT PLUS 欄に10月19日 18:22 に掲載されていました。
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITea001019102006
 この話は、WOWOW にとっては、好都合な話であり、契約者減が続く WOWOW としては、一気に多数の契約者が見込め、増収となる話でしょう。
 さて、WOWOW とスカパーの提携の話が公になって、WOWOW の株価はどう動くでしょうか。たいていの人は、たぶん、上昇すると予測するでしょう。だって、WOWOW の増益が見込めるニュースなんですから、当然です。
 乙が最初に WOWOW の話を知ったのは、10月19日 15:02 発信の News Delivery Mail というメールニュースでした。このメールは、株式市場が閉まった後に送信されました。
http://post.tokyoipo.com/mail/infofile.php?brand=1322&info=118698
 まあ、この手の(株価に影響を与えそうな)ニュースは株式市場が閉まってから発信されるのが常識です。
 では、実際の株価はどう動いたか。WOWOW(4839)の過去1週間を見てみましょう。単位は千円です。

10月13日(金)始値=252 高値=255 安値=250 終値=255
10月16日(月)始値=255 高値=263 安値=250 終値=259
10月17日(火)始値=274 高値=277 安値=271 終値=273
10月18日(水)始値=270 高値=300 安値=270 終値=294
10月19日(木)始値=290 高値=297 安値=284 終値=286
10月20日(金)始値=288 高値=289 安値=279 終値=279

 先週末の13日は、それ以前と大きく異なることはなく、まあ、WOWOW の株価はこんなものでしょう。とはいえ、10月に入ってから WOWOW の株価はじりじりと上げる方向にありました。
 16日は、やや上昇しています。17日も上昇しています。18日は、いよいよ上昇し、高値では30万円の大台に乗せています。19日も高値圏で推移しています。そのころ、乙は、なぜこんなに上昇するのか、まったくわからず、不思議に思っていました。
 10月20日、朝一番に日経新聞朝刊を読んで「それっ」とばかりに WOWOW を買いに行った人は……残念ながら、高値づかみで購入したことになります。20日は基本的に下げ相場でした。(もっとも、これから反転して上がる可能性もありますから、単純に損をしたとはいえませんが。)
 今回の件で儲けた人の典型は、事前に(1週間ほど前に)ニュースを知り、その時点で WOWOW の株を(成行で)買い、ニュースが一般に流れた直後に(成行で)売った人です。おそらく、255,000 円(13日終値〜16日始値)くらいで買い、288,000 円(20日始値)で売ったことでしょう。13% ほどの儲けです。
 このことから、(たった一つの事例だけで断定してはいけませんが、一事が万事ということもあります)乙は、次のようなことを感じました。
(1)新聞で報道されたニュースをもとに(短期的な)株の売買の行動をしても遅すぎます。
 新聞だけでなく、他の(若干早い)メディアを利用しても同様です。
(2)現実には、数日前から、その後のニュースをもとにした株の売買が行われています。
 ですから、メディアに出るよりも前に情報を入手して、それで売買しなければ、うまく立ち回れません。
(3)インサイダー取引が行われている可能性が高いようです。
 ニュースになる直前にこのような株価の値動きがあるのですから、そういうことを見ると、やはりインサイダー取引を考えるしかありません。WOWOW か、スカパーの関係者からどこかに情報が漏れ、それでこういう動きが起こったのではないでしょうか。あるいは、メディア関係者かもしれません。
http://otsu.seesaa.net/article/21454300.html
ですでに乙が書いたことですが、過去にもこういう事件は起こりました。
(4)一般の投資家は、株で大きく儲けることはできません。
 情報の事前入手ができない一般の投資家は、それを利用した株取引はできません。したがって、大きな(しかも確実な)儲けはねらえません。

 というわけで、株では、個別銘柄の売買で儲けようとするのは大変です。特殊なコネ(ニュースソース)を持たないとダメでしょう。かつ、かなりの資金をすぐに動かせるようになっていなければなりません。サラリーマンは、機動的な売買をする時間もカネもないですから、圧倒的に不利です。
 こういう事例を見て、乙は、個別株の取引がちょっと恐くなってしまいました。少なくとも、短期勝負では、一般の個人投資家が、情報を持っている人に勝てるわけがありません。逆にいうと、株で勝てる人は確実に勝てるし、つまりは大儲けができる仕組みがあるということになります。
 一般の個人投資家は、長期で勝負するか、個別銘柄よりはインデクス・ファンドがいいということになるように思います。

 余談ですが、この件に関して、日経新聞が8月31日(夕刊)段階で報道したことに対して、WOWOW はそれを否定するコメントを出しています。
http://post.tokyoipo.com/mail/infofile.php?brand=1322&info=110752
 WOWOW としては、スカパーへの番組提供は、検討してはいるものの、正式に決定していないというわけです。それはそうでしょう。その後の段階で話がつぶれる可能性もあったと思います。しかし、今から思えば、日経新聞の報道が正しかったという見方もできます。こう考えると、企業が出す情報も、うさんくさい面がありそうです。

 ところで、WOWOW がスカパーと提携する場合、(両者にメリットがあると考えれば)スカパーも株価が上昇すると思われます。どうでしょうか。
 スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(4795)の1週間の株価を見てみましょう。

10月13日(金)始値=63600 高値=64200 安値=63000 終値=63700
10月16日(月)始値=63800 高値=64200 安値=63100 終値=63900
10月17日(火)始値=63800 高値=63800 安値=63000 終値=63500
10月18日(水)始値=63500 高値=63500 安値=62200 終値=63200
10月19日(木)始値=63000 高値=64200 安値=62900 終値=64200
10月20日(金)始値=69200 高値=69200 安値=65700 終値=66700

 こちらは、事前の株価の上昇は見られず、ニュースが流れた後の20日の始値がピーク(前日から8%の上昇)で、1日かけて株価はだら下がりでした。20日は、出来高がそれまでの8倍程度に急増しました。
 ということは、スカパー側では事前の情報漏れはなかったともいえるわけで、漏れたとすれば(メディア関係者は無関係で)WOWOW 関係者からという線が強くなってきます。
 それとも、実は、インサイダー取引などは一切なく、日本市場は公平で、単に乙が疑り深いためにそう見えただけなのでしょうか。乙は、そうであってほしいと願っています。
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2006年10月20日

海外投資を楽しむ会(2000.1)『税金のいらない投資信託』メディアワークス

 乙が読んだ本です。
 本書は、内容が薄く、今となってはあまりオススメではありません。
 本書は『ゴミ投資家のための税金天国入門』
http://otsu.seesaa.net/article/25298702.html
『ゴミ投資家のための海外ファンド入門』
http://otsu.seesaa.net/article/25672040.html
に続くもので、オフショア・ファンドについて一通りの解説がなされています。
 目次は、
http://www.alt-invest.com/book/sintaku.html
http://www.panrolling.com/books/alt/iranaitoshishintaku_contents.html
に掲載されています。
 乙がおもしろく読んだのは第1章だけでした。
 pp.10-14 では、海外ファンド、ヘッジファンド、オフショア・ファンド、ミューチュアルファンドなどがお互いどう違うのか、明確に書いてあります。とてもわかりやすいと思いました。
 p.37 「オフショア・ファンドこそがもっとも有利な投資信託であるとは主張しない。」とあります。ちょっと「あれれ」と思ってしまいますが、著者たちの良心の表れと見るべきでしょう。いろいろなファンドの特性を知り、それぞれの投資家が一番いいと思ったやり方でそれぞれに商品を選べばいいというわけです。
 第2章(pp.42-75)は、Micropal を使ってオフショア・ファンドを検索する話ですが、今やマイクロパルは本書で書いているようには使えません。
http://www.micropal.com/
という URL はありますが、本書の記述とはまったく異なっています。というわけで、第2章は、今はほとんど役に立ちません。
 第3章は「オフショア・ファンドを購入する」章です。申込書の書き方などを具体的に書類の形式と記入例を示して教えてくれますが、さて、こういう記述は必要でしょうか。
 本書で説明されている書類は、みんなやさしい書類で、英語もむずかしくないと思います。本書を見なくても記入できるようでなければ、オフショア・ファンドでの資産運用なんてどだい無理な話でしょう。実は、申込書よりも、目論見書(Prospectus)のほうがはるかに重要です。それぞれのファンドについて詳しく説明されているのですからね。申込書に使われている英語がわからないような人は、とうてい目論見書が読めないでしょう。それで大切な資金を投資して大丈夫なのでしょうか。
 そう考えると、第3章は、一体誰(どういう人)に向けて書かれてるのか、乙には理解できませんでした。ここに出てくる英語が読める人には、翻訳も解説も不要ですから、この章が不必要なわけですし、このレベルの英語が読めない人は、オフショア・ファンドに手を出すべきでないと思うからです。
 第4章以降も同様で、今となっては、あまり有用な情報といえないように思います。
 本書が刊行されてからたった6年ですが、この間に海外投資に関する環境は激変してしまいました。今ならば、インターネットを使って投資する方法を詳しく書くべきで、FAXなどはもう書いてもしかたがないでしょう。


posted by 乙 at 04:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月19日

火災保険と地震保険

 乙は、自分の住宅を建てたとき、住宅金融公庫から借金をしたので、そのときに火災保険と地震保険に強制的に入らされました。火災保険が25年、地震保険が5年の保険期間でした。その後、借金を返済したので、保険に入っている必然性はなくなったのですが、そのままにしていました。
 それからしばらくして、地震保険の期間5年が過ぎたので、継続するかどうするかという問い合わせが保険会社からありました。そのとき今後のことを考えましたが、地震にはあいそうもないと思いました。実際のところ、乙が生きている間は東京に大地震はないだろうと思っています。あったらあったで死ぬだけです。生き残っていれば、適当な場所に引っ越すとかするでしょう。大地震があれば、どうせ建物には大きな被害が出るでしょうから、地震保険に入っていてもムダです。それ以上に、日常生活のインフラがやられますから、その面での被害は免れません。だいたい、保険金額からして、地震保険は火災保険の半額でしかありません。
 というわけで、地震保険は継続しないことにし、今は火災保険だけに入っています。
 実は、乙は、火災保険もやめようと思っていました。ローンがあるときは、貸し主の債権の保護のために、保険は必須だと思いますが、そうでなければ、実際のところ、火災の被害にはあいそうにありません。
 だいたい、火災保険の内容からして不透明で、いくらの保険に入ったらいいかをきちんと事前に説明してもらっていません。それなのに、いざ火災が起これば、被害金額を算出するとともに建物の時価を計算して、保険でカバーしているのがどれくらいの割合かを計算し、それに比例して保険金が出ます。保険を時価よりも少なくかけていれば、被害金額のうちのその分しか支払われません。では、保険を建物の時価以上にかけていた場合はというと、それは100%が出るだけで、それ以上にはなりません。つまり保険加入者はムダなカネを払ったことになるわけです。だったら、加入者としては、事前に建物の時価をきちんと算出し、保険金額をその何%にするかをはっきり意識したほうがいいと思いますが、保険会社はそういうことをまったくしてくれません。(手間がかかりすぎるということでしょうか。)これだけを見ても、火災保険の契約は実にいいかげんです。
 乙は、こういう変な契約は納得できないから、契約しないほうがいいと思います。
 しかし、妻が「住宅金融公庫の特約保険は、一般の火災保険よりもトクだから継続したほうがいい」というので、乙のほうで妥協して、火災保険だけは継続しています。でも、内心、ムダだなあと思っています。
posted by 乙 at 04:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 保険 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月18日

タックスヘイブンを楽しむ会(1999.2)『ゴミ投資家のための海外ファンド入門』メディアワークス

 乙が読んだ本です。
 http://www.panrolling.com/books/alt/kaigaifund.html
に詳しい説明があります。
 本書の中心は pp.160-243 のファンド一覧でしょう。本書は全体で約300ページありますから、その約3割がファンド一覧にあてられていることになります。しかし、ここは、実際のところ、すっかり古くなってしまったと思います。ファンドの成績はどんどん変わるし、新しいファンドができる場合もあれば、償還されて消えるファンドもあります。ということで、ここでは、このような実用的な記事ではなく、本書中に流れる思想のようなものについて述べたいと思います。
 まず、考え方としては、今でもけっして古くなっていないということをいっておきましょう。乙がとりわけおもしろく読んだのは、PART 1「ファンドの仕組みを1時間で理解する」です。ファンドについて、実にいろいろなことを教えてくれます。貴重な情報源です。
 p.31 ファンドは30億円以上の資産のあるものから選ぶようにというアドバイスがあります。ファンド運用会社の運用報酬は 0.4% くらいだそうですから、これでやっと利益が 1200 万円となり、何とか運用していけるというわけです。
 p.32 一方、日本の大半のファンドは資産が30億円もないから、赤字だということになります。
 p.43 スポット型投信(いつでも自由に売り買いができるわけではないユニット型のファンド)の成績が振るわないのは、固定手数料制のため、モチベーションが生まれないからと説明します。納得できる話です。
 p.43 証券会社のゴミ箱として使われているファンドがあるとのことです。これがどういうものかを説明すると長くなるので、本書をお読みください。乙は驚きました。日本の投信の成績がよくないことの理由の一つがこれだったんですか。
 p.47 おかしくなってしまったファンドを安楽死させるやり方が述べられます。なるほど、こういうことだったんですか。さらには回転売買も(会社側にとって)好都合ということになります。昔はこんなこともあったんですね。まさか、今はもうなくなったと思いますが、……。
 p.63 野村證券のボンド・セレクト・トラスト(BST)が有利な商品として紹介されています。
 乙は、本書を過去に一読していたのですが、このことはまったく覚えていませんでした。
http://otsu.seesaa.net/article/24380821.html
で述べたように、別のブログで BST について書いてあることを知って、「あ、そうか」と思ったのでした。自分が興味がないと、本で読んでも頭に入らないことを痛感します。
 p.78 「一国の金融機関の優劣は、その国の投資家の質によって決まります。」とあります。なるほど、そうですよね。ということは、やはり優れた投資家が多い海外で資産運用をしたほうがいい結果になるといわれているようなものです。海外投資の意味の一つはここにあるというわけですね。
 p.103 日本企業の PBR の数値は信用できないとのことです。時価会計でないということが、企業の資産価値を不透明にし、つまりは PBR にも影響を与えていたんですね。今は時価会計が導入されているので(どの範囲まで導入されているのか、乙は知りませんが)、さすがに違っているのでしょうね。
 p.104 バリュー効果はアメリカ株だけに見られるという話です。しかし、この話は角山氏の本
http://otsu.seesaa.net/article/21894584.html
とは矛盾する記述です。角山氏は日本株でもこの現象が見られたとしています。
 p.106 なぜ各種大手金融機関が LTCM の破綻に際して LTCM を助けるようなことをしたのか。それは、自らが LTCM に巨額融資をしていたり、LTCMのマネをして資金を運用していたからだと説明します。大手は、ここまで運用能力をなくしていたのかと、信じられない気分になります。
 p.142 オフショア・ファンドの販売手数料が高い(約5%)のは、これが実はアドバイザーへのコミッションになるからだと説明されます。なるほど、そうなんですか。だとすると、ネットの発達により、販売手数料が下がることがあるでしょう。(乙が経験した「販売手数料の割引」もこういうことだったのかもしれません。)
 p.280 『ゴミ投資家のための税金天国入門』
http://otsu.seesaa.net/article/25298702.html
で述べていた「ケイター・アレン銀行では両替手数料が無料」というのは間違いだったと書いてあります。それはそうでしょう。それが当たり前です。
 とにかく読んで楽しい本です。オフショア・ファンドの購入を試行錯誤しながら行っていくわけですが、その過程が克明に書かれている点に感心します。こういうのを知ると、自分でもできそうな感じになります。
 しかし、本書を今読むべきかどうかは人によって意見が分かれるところでしょう。


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2006年10月17日

Zenith resources の Diversified Option Program

 乙が今後購入しようかなあと思っていたファンドです。
 会社のホームページは http://www.zenith-resources.com/ です。
 Diversified Option Program は、商品ファンド(managed futures)で、
http://www.cta.visionlp.com/pdf/Zen/diversifiedoptionprogram.pdf
に運用成績が出ていますが、2005年2月から11ヶ月の成績を見ると、1.42%, 1.31, 1.75, 1.97, 0.57, 2.14, 2.10, 1.17, 1.77, 1.38, 1.82 となっていて、11ヶ月間の通算で 18.83% となっています。また、2006年の成績は8月までしかわかりませんが、2.22%, 0.97, 2.17, 1.14, 2.87, 3.90, 0.82, 1.50 で、8ヶ月間で 16.65% です。今までの運用成績は約1年半しかわかりませんが、マイナスになった月がないのですから、こういう成績は立派です。
 乙がすでに解約してしまった商品ファンド「オプション・マスター」
http://otsu.seesaa.net/article/17568213.html
の成績(2006年9月)
http://www.unicom.co.jp/fund/PDF/0609OM.pdf
と比べると、雲泥の差です。国内と国外の差なのでしょうか。だとしたら日本が劣っているといわれてるようで、悔しい気持になります。また、投資家の立場で考えると、日本国内で投資先を探すよりも、海外で探したほうがいいのではないかということになります。個人としては、何も日本に義理立てする必要はないのですから。
 上記文書によると、このファンドの出資者は 346 人しかいないようです。また、運用資産総額は2716万ドルで、十分あります。販売手数料は 3%です。業者によっては 6% 取るところもありそうですが、乙が接触したブローカーは 3% でした。さらに、成功報酬として増加分の 25% がかかります。この25%分を引いたあとで上の成績だとのことですから、充分申し込む手があると思いました。
 しかし、乙がすぐに申し込まなかったのは以下のような理由からです。
(1) 最低投資金額がちと高いと思いました。
 実のところ、最低投資金額は5万ドルです。あちこちに分散して投資する人間から見ると、この金額では1箇所に集中してしまうように思いました。
 なお、業者によっては、もう少し少額からの申し込みができる場合もあるようですが、それにしてもハードルが高そうです。乙の感覚では、1万ドルくらいが買いやすいように思います。
(2) 乙の場合、資金が商品ファンド(managed futures)にやや集中しすぎる傾向がありました。
 乙は、他のファンドでも、managed futures を購入していますので、同様のものに投資すると、資金がその分野に集中することになってしまい、分散投資の観点からはよくないことになります。
(3) 目論見書を読む時間がありませんでした。
 PDF ファイルをもらいましたが、プリンタに出すと 7mm くらいの厚さになりました。数十ページでしょうか。暇なときに読もうと思っていましたが、なかなか乙の時間が取れずにいました。
(4) 1年半の成績では、やや短すぎて、実績として不十分だと思いました。
 過去の実績を見ると、確かにいい成績ですが、もう少し(合計で3年くらい?)ようすを見てからでもいいのではないかと思いました。

 というようなことで、乙は、1年後くらいに購入するつもりでいました。まあ、そう思ったからこそ目論見書を早く読もうと思わなかったという面もあります。
 で、乙がうじうじしていたところ、運用資産が予定金額に達したということで、新規募集が打ち切られてしまいました。あまり大きな金額では運用がむずかしくなるということでしょう。これは理解できます。
 ある意味で残念ですが、今さらあわててもしかたがありません。探せば他の類似商品があるでしょうし、金融商品では、どうしてもこれでなくてはならないというようなことはありませんからね。
posted by 乙 at 04:57| Comment(0) | TrackBack(1) | 海外ファンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月16日

坂爪一郎・立木信・溝上憲文(2004.6)『メガバンクがコンビニに負ける日』光文社

 乙が読んだ本です。
 『ゴミ投資家のためのビッグバン入門』
http://otsu.seesaa.net/article/25174202.html
に書いてあったことで、銀行とコンビニを比べる話があり、本書を思い出しました。乙は、刊行直後に本書を一読していました。
 ショッキングなタイトルです。pp.10-11 では、「いま、日本の銀行は、不良債権を抱え、貸し渋りを続け、預金者のお金を国債買いに回しているだけで、ほぼ何もしていないに等しい」といっています。つまり、銀行はコンビニ以下だということです。
 pp.20-22 で、銀行がコンビニ化し(コンビニの接客術などを学び)、一方でコンビニが銀行化している(ATM を置き、振込や各種税金の納付ができ、銀行の諸手続きも(銀行に取り次ぐ形で)できるようになりつつある)ことが指摘されます。銀行の将来像は、本当にコンビニなのでしょうか。そうかもしれません。しかし、銀行員がコンビニの店員に(低給料に耐えて)なれるでしょうか。なれないとしたら、銀行はどうなるのでしょうか。つぶれるしかないのでしょうか。
 p.26 役所の業務もコンビニが窓口になってきています。しかし、p.28 でいうように「本来なら、役所が24時間オープンするのが筋である。」が正しい考え方です。
 p.29 郵便局までコンビニ化を目指しています。今は24時間営業の郵便局がだいぶ増えてきました。そういえば、乙は、先日ドイツで見かけた Deutsche Post を思い出します。ドイツの「郵便局」ですが、民営化したため、本当にコンビニ化していて、文房具や雑貨などを店内で販売しており(というか、それがメインで)、一番奥のレジのところでおまけ程度に切手の販売や郵便の受付を行っているのでした。おもてに掲げられた黄色い看板がなければ、コンビニと何ら変わりません。日本の郵便局も、間もなくそうなるのでしょうか。
DeutschePost.JPG
 p.36 日本の銀行には、給料は高いが能力は低く横並びの銀行員がたくさんいるとのことです。これからは彼らはコンビニの店員のように扱われるだろうとのことです。つまり低賃金で働くということですね。銀行員も受難の時代になったというべきでしょう。
 p.40 銀行以上に信用金庫が危ないという話です。それはそうでしょう。地域密着型とはいえ、銀行とコンビニに挟まれているわけですから、将来は大変です。
 p.104 ここでも銀行員がコンビニ店員になれるのか、意識の問題だとしています。今の銀行員にはできないでしょうね。つまり、銀行がコンビニに負けて没落するというわけです。
 pp.132-134 銀行の合併には意味がないことが説かれます。でも、さらに銀行の合併は続くんですね。関係者は、ものがわからないのか、わかっていてあえてやっているのか、どちらなんでしょう。
 p.159- Chapter 6 は「金融社会主義の罠」という題で、今の日本はまるで社会主義国のようだといいます。公的資金を注入するというのは、国が銀行を国有化するようなものですから、まあ、金融社会主義というのも当然でしょう。こうして、銀行問題は、実は、日本社会が抱えている問題そのものだという見解が述べられます。この章はおもしろかったです。でも、読んでいると、日本に明るい未来はないように思えてきて、残念です。
 p.171 では、日本では間接金融(銀行を経由して預金者のお金が企業に流れること)が直接金融(企業が社債や株式を発行して資金を得ること)にシフトしてしまったことを指摘しています。こういう中では、間接金融の担い手である銀行がうまく機能しないのは当然であると思えます。
 本書を読むと、大手銀行(とくにりそな銀行)が腐っていることがよくわかります。不良債権問題も、銀行が悪いというよりも、お役所がそういう事態に至らしめた面が強いように思えてきます。その意味では、日本の暗い未来を象徴する本だといえるでしょう。
 p.201 Chapter 6 の最後は、こう終わります。「あなたは、それでもメガバンクにお金を預け続けますか?」乙の答えは決まっています。「いいえ」です。自分の資産は自分で運用していきます。メガバンクにお世話になる部分は、ゼロではないにせよ、ほぼゼロみたいなものです。
 乙は、提供されるサービスを考えて、自分のメインバンクを変更しました
http://otsu.seesaa.net/article/14604306.html
が、メガバンクの問題点は、もっと深いところに巣くっているようです。


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2006年10月15日

ディープリサーチ・チャイナ・ファンド 愛称「翡翠探訪」

 最近、乙は、「ディープリサーチ・チャイナ・ファンド」というファンドがあることを知りました。「翡翠探訪」という愛称が付いています。
http://www.unitedinv.co.jp/unitedinv/html/hisui/index.html
に商品の説明があります。10月から募集開始で、ユナイテッド投信投資顧問が設定・運用するファンドです。
 この商品の説明を読んで、乙は驚きました。「主に大中華経済圏の株式に投資する「SAM Greater China Equity Fund J unit(ケイマン籍、円建て、為替ヘッジなし)」とわが国の公社債に投資する「ユナイテッド日本債券ベビーファンド(適格機関投資家向け)」の受益証券を主要投資対象とします。「SAM Greater China Equity Fund J unit」の組入比率は、原則として純資産総額の90%以上を保つこととします。」とあります。
 このファンドはファンド・オブ・ファンズというわけですが、それにしても、単一のファンドに 90% 以上投資するということは、ほとんどそのファンドへの丸投げに近いということではありませんか。日本の公社債への投資が申し訳程度に付いていますが、どうせ、低金利の今では、こんなものはほとんど運用益ゼロでしょう。つまり、このファンドは丸投げファンドなのです。
 丸投げファンドでありながら、このファンドは、1.3125% の信託報酬を取るのです。「SAM Greater China Equity Fund」でも1%の管理報酬(それに加えて成功報酬として増加分の15%)を取ります。ま、SAM 側としては当然でしょうね。
 こういうファンドだったら、投資家としては「SAM Greater China Equity Fund」を直接購入したほうがいいに決まっています。乙はさっそくWWW で検索してみましたが、今は見つかりません。もしかすると、日本側のこのファンドが設定されてから運用を開始するのかもしれません。あるいは、個人投資家ははじめから買えないようになっていて、だからWWWでは一切の説明をしていないのかもしれません。
 ちなみに、上記のファンドの説明書によれば「SAM Greater China Equity Fund J unit」は、大中華経済圏の株式へのバリュー投資を専門とするバリュー・パートナーズ・グループ(拠点:香港)が運用します。バリュー・パートナーズ・リミテッドの投資助言に基づき、同社の完全子会社でありますセンシブル・アセット・マネジメント・リミテッドが運用を行います。」とあり、バリュー・パートナーズがいかに優れているかが述べられています。だったら、投資家としては、「SAM Greater China Equity Fund J unit」を購入しなくても、バリュー・パートナーズのファンドを直接購入すればいいのではないでしょうか。
 「ディープリサーチ・チャイナ・ファンド」の存在価値はどこにあるのでしょうか。1.3125% の手数料を払う価値があるのでしょうか。ファンドの説明書の中に、このあたりをきちんと書いてほしいものです。
 当然、乙は、こういうのを購入する気は起こりませんでした。こういうファンドを購入する人の気持ちも理解できません。
 乙は、また、こういうファンドを売り出す会社の考え方も理解できません。いや、会社としては、単純に「儲かればいい」と考えているだけなのでしょうか。だとすれば、乙は理解できます。でも、そういう会社の方針は単に「えげつない」だけではないですか。そういう会社で働く社員の方々がかわいそうに思えます。こういう言い方は言い過ぎでしょうか。
posted by 乙 at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内投資信託 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月14日

城繁幸(2006.9)『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)光文社

 乙が読んだ本です。副題として「年功序列が奪う日本の未来」というのがついています。
 タイトルに引かれて買ってしまいました。
 本書全体を一読して、今の日本でいわれている数々の問題が全部つながっているような感覚になりました。城氏は、それらを関連付けて解きほぐしています。新卒者が会社に入ってたった3年で辞めることは、会社のあり方の問題だし、またそれは日本の社会のあり方の問題とつながっているということです。若者はどうにも未来の展望が持ちにくいようです。少子化はその一環だというわけです。ということは、少子化の解決はそう簡単ではありません。
 一番の問題は、日本では若者が中高年層に押さえつけられているということです。そもそも若い人の数が少ないから選挙でも力にはなれないのですが、若い人が選挙にいかない(投票率が低い)こともそれに輪をかけています。そうやって、若い人が将来の展望が持ちにくい状態になっているのです。
 各企業のリストラや採用方針の変更で新入社員が(正社員として)入って来なくなっていますが、その結果、派遣社員などの非正規雇用が増えています。労働組合も年功序列です。政治家だって、いわば老人代表で、社会の設計がうまくできません。そうして老人とともに日本は沈んでしまうというわけです。国債の発行残高の膨張も、結局は後の世代に任せようというだけの話ですから、そういう発想をする政治家も、それを何とも言わないマスコミも、みんなどうしようもありません。年金も同様の問題です。城氏は「年金も国債も火のついた爆弾を次世代にリレーしていくようなものだ」と書いています。
 少子化はますます進んでいますから、近いうちに再度年金改革がいわれるでしょう。城氏は、年金に関して、すでに受給している人を含めて、支給額を即日大幅カットすることを提案しています。これが一番公平だというわけです。そうかもしれません。しかし、それをいうなら、さらに一歩進めて年金制度自体を廃止することが一番いいのかもしれません。(実際のところ、こんなことをすると、年金をたっぷりもらって、もう死んでしまった人たちが一番おいしいところを食べたことになりますが。)
 投資家としては、年金などをあてにせず、資産の運用益(と取り崩し)だけで暮らしていくことができるようにする必要があります。乙は、15年後の退職を考えていますが、今の調子で資産運用を続けることができれば、そのころは年金なしでも暮らしていけそうに思います。
 p.152 から、東大生の国家公務員離れが進んでいる話が出て来ます。なるほど。今や国家公務員は不人気産業なんですね。天下りがなくなれば、国家公務員はおいしい商売ではないし、それを見越した若い人は国家公務員を希望しなくなっているとのことです。ということは、逆に、本当の意味での天下り規制が(数年から10年くらいのうちに)行われるのかもしれません。新卒者の動きはそれを先読みしていると見られます。
 この本は、若い人にこそ読んでもらいたいものです。そして、若い人が自分の将来を明るいものとしてとらえるようにならなければ、日本の再生はあり得ません。今は社会システムが変貌しつつある時代です。是非、若い人が、今までの考え方を捨てつつ、がんばってくれることを期待したいと思いました。


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2006年10月13日

香港への資金流入

 日経新聞10月11日4面の記事で、乙がおもしろいと思ったことがありました。
 アジア圏の投資信託残高を調べた図が載っているのですが、1位=日本(55兆円)、2位=香港(54兆円)、3位=韓国(23兆円)、4位=台湾(数兆円)、5位=インド(数兆円)ということです。
 一方、その隣には、米メリルのアジア調査の結果が載っていました。アジアの国・地域の富裕層(100万米ドル以上の純金融資産を持つ人)の数です。1位=日本(140.6万人)、2位=中国(32万人)、3位=韓国(数万人)、以下、4位=インド、5位=香港、6位=台湾、7位=シンガポールと続きます。日本が突出して多いことになります。また、富裕層の保有資産総額では、日本はアジア全体の46%を占めます。
 乙は、両者の違いに興味を持ちました。
 二つの記事は、アジアだけを調べていて、それ以外の地域について調べているわけではないのですが、投資信託残高を見る限りでは香港が非常に伸びています。香港の富裕層の数が少ないのですから、アジア各地から香港に資金が流入していると考えられます。そのかなりの部分は中国本土からではないか(中国の富裕層32万人が投資するとすれば香港)と想像します。しかし、それを考慮しても、なお、香港の投資信託残高の大きさは説明できません。たぶん、欧米各国からの資金流入があるのでしょう。歴史的経緯を考慮すると、特にイギリスからの投資が多いだろうと思われます。
 吉井崇裕氏は、2006.5.29 現在ですが、
http://www.morningstar.co.jp/fund/anl_view/06_2q/0529.htm
において、次のように述べています。「人民元変動幅拡大への期待から、香港株式市場に海外からの投機資金が流入しています。香港証券取引所の2月の月間売買高は6,564億香港ドル(約9兆 8,000億円)となり、香港の中国返還以来の過去最高を更新しました。人民元先高感に伴う香港への資金流入にも理由があります。実は外国人投資家の多くは、中国本土市場への投資が規制されています。そこで、資産の大半を人民元建で保有しているH株企業(香港に上場している中国本土に法人登記している企業)に注目が集まりました。米ドルに実質的にペッグ(為替レートを固定)している香港ドル建のH株企業は、米ドル安・元高が進むと資産価値が高まるので株価も上昇するのではないかという思惑が広がったのです。さらに4月に入り、中国人民銀行がQDII(適格国内機関投資家)制度を通じて、外国の有価証券への投資を解禁する方針を発表しました。これを受け、本土の投資家に身近な中国企業が上場する香港株式市場が本土マネーの受け皿となる期待が高まり、H株指数は7,000ポイントの大台まで上昇しました。」
 この記事によれば、香港は中国本土からの投資が多いとのことです。
 投資信託協会の記事「投資信託の世界統計」を見てみましょう。
http://www.toushin.or.jp/result/index.html
によれば、香港の投資信託残高が多いのは、何も今だけの傾向ではないようです。ちょっと前の時期を見てみると、2004年3月末現在では、
http://www.toushin.or.jp/info/w_resultbackno/w_result041.pdf
日本の 3740億ドルに対して、香港は 2750 億ドルで、かなり差が付いていました。(それ以前は、日本の数字はあっても、香港は圏外で数字がわかりませんでした。香港での投資信託はこの数年で急増しているようです。)

 以下は、乙の勝手な独断(勘ぐり)ですが、日本の富裕層の多さにも着目すると、香港で投資している日本人が意外に多いのではないでしょうか。中国株も(H株に投資する例がほとんどでしょうから)基本的には香港での運用になるでしょう。投資信託の残高が多いということは、もしかして、日本から香港へのキャピタル・フライトが始まっているということを意味しているのではないでしょうか。
 こう判断していいかどうか、迷うところもあります。二つの調査のしかた(統計の取り方=数字の計算のしかた)にもよるのですが、そこが記事にはきちんと書かれていないのです。
 乙は、こういうところにも注目していきたいと考えています。
 このような点に関して、ご意見のある方は、コメント欄にでも書き込んでいただけると幸いです。
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2006年10月12日

タックスヘイブンを楽しむ会(1998.9)『ゴミ投資家のための税金天国入門』メディアワークス

 乙が読んだ本です。
 とってもおもしろい本です。やや記述が古くなった面もありますが、基本的な考え方は今でも有効であり、今読んで損はないと思います。乙は、以前一読していて、もちろん、そのときもおもしろいと思いましたが、今読み直しても、やっぱりおもしろいと思いました。
 pp.6-22 の Prologue を読むだけでも、著者たちの意気込みが伝わってきます。
 pp.16-18 国際分散投資がなぜ必要かを明確に物語っています。これを読んでも海外投資をしたいと思わないひとはへそ曲がりなのではないでしょうか。
 p.19 ケイター・アレン銀行では両替手数料が無料だそうです。驚きました。乙は世界中どこでも有料なのだと思っていました。(だって、銀行も儲けなければならないわけですから。)
 PART 1 (pp.24-41)「税金天国の基礎知識」と PART 2 (pp.44-90)「タックスヘイブンに銀行口座をつくる」は、今の乙にとってはあまりおもしろく思いませんでした。しかし、これから海外投資をしようとする人には有用な知識だと思います。
 p.78 で円を海外送金しようとして、めんどうであるとともにコストが高いことを述べています。それはそうでしょう。そうしなかったら、多くの日本人が海外口座で円を運用するでしょうからね。
 PART 3 (pp.92-132)「海外投資と税金の基礎知識」あたりから本書の本領発揮です。類書にはあまり書かれていないことがいろいろ出てきます。
 p.100 タックスヘイブンでは、ファンド(投資信託)に投資するべきで、株や債券には投資しないものだと説きます。税金の問題が一番大きいようです。
 pp.113-120 ゴミ投資家は合法的に税金を払わないことが可能だと述べます。運用金額が大したことないから、収益が年間20万円以下になることが多く、したがって課税対象にならないというわけです。所得税を払うことになっても国内投資より有利だそうです。
 pp.120-122 1億円の資産がたまったら、永遠の旅行者(Perpetual Traveler)になろうといいます。乙は、これは考えていません。
 PART 4 (pp.134-208)「タックスヘイブンで利回り400%のファンドを購入する」は、ファンドの具体的な選び方と購入のしかたを書いたもので、アドバイスの具体性が光ります。乙には、この章が一番おもしろかったと思いました。
 p.136 タックスヘイブン籍のファンドの有利さを述べ、「みんなが通信販売でオフショア・ファンドを購入するようになると国内の金融機関が儲からなくなるので、それはお金持ちだけの秘密にしているわけです。」と述べています。乙が、以前疑問に思っていたこと
http://otsu.seesaa.net/article/22528723.html
(「既に海外投資をしている富裕層と呼ばれる人たち」はオフショア投資がメジャーになっては困るといわれますが、それがなぜかわかりませんでした)は、ここに答えが書いてありました。もっとも、よく考えてみると、「国内の金融機関が儲からない」ことと「お金持ちだけの秘密」は論理的につながらないように思いますが。
 p.147 日本でもオフショア生命保険の需要があり、すでに代理店があるということです。そういうのを利用する富裕層が多いことがわかります。
 pp.164-170 オフショアファンドはハイリスクであることが示されます。3年で2倍になるようなファンドがいくつもある一方、オフショアファンドの4割は元本割れしているとのことです。
 p.172 五つ星の記号でファンドの評価が行われますが、その計算法が書いてあります。乙は、その意味を初めて知りました。
 pp.197-199 オフショア・ファンドの販売手数料は 5.9% ほどかかるという話です。まあそんなものでしょう。国内の投資信託よりも高いんですね。しかし、長期に保有すれば、大した問題ではないし、利回りが国内よりもいいことが多いので、このくらいは無視してもいいと思います。

 本書では、オフショア・ファンドで利回り400%のものを購入することができたということですが、過去の成績のいいものを選べば、こういういい成績のものは必ず見つかるものです。問題は、このファンドが、これからもこういう成績をあげ続けるとはいえないことです。こればかりは誰にもわかりません。したがって、本書は著者たちがオフショア・ファンドで資産を何倍にもしたということではないことをきちんと理解しなければなりません。この点で、どうも誤読をする人がたくさんいそうな気がして恐いです。


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2006年10月11日

ラップ口座は問題がありそうです

 ラップ口座というものがあります。セパレートリー・マネージド・アカウント(SMA)ともいいます。
 個人投資家は大まかな投資方針だけ決めて、あとはプロに「投資一任」とするものです。プロに任せるという意味では投資信託に通じるものがありますが、投資信託は多くの人から少額の資金を集めて合同運用するイメージであるのに対し、ラップ口座は、個人が数千万円以上出して、個人ごとの希望を聞きながら(個人別に資産を管理しながら)プロが運用するというものです。
 価格.com
http://kakaku.com/article/money/premium/p2.htm
によると、現在は次のようなものがあるそうです。
証券会社      サービス名    最低契約金額
野村証券       野村SMA    3億円以上1000万円単位
三菱UFJ証券  プライムアカウント 1億円以上1000万円単位
大和証券       大和SMA    5000万円以上500万円単位
新光証券       Long AP    2000万円以上100万円単位
日興コーディアル証券 日興SMA  1000万円から
日産証券      ラップ口座    500万円以上1万円単位

 上のリストでは、最低契約金額順に並べ直しましたが、野村證券の3億円と日産証券の500万円ではだいぶ性格が違ってくるでしょうね。投資する人も違うでしょうし、方針や考え方も違うでしょう。
 さて、最近の台風の目は野村證券でしょう。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/reuters/20060929/110863/
http://www.sankei.co.jp/news/060929/kei019.htm
http://wakaru.biz/000058.html
などが伝えるように、野村證券は10月から最低契約金額を1000万円とするとのことです。
 さらに、銀行も参入をねらっています。
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200609290026a.nwc
によると、東京都民銀行も10月から参入して、新光証券に取り次ぐそうです。また、5月からみずほ銀、三菱UFJ信託銀行が銀行として初めて取り扱いを開始したようです。「最低預かり額はみずほ銀が2000万円、三菱UFJ信託が3000万円。一方、三井住友銀行は07年3月末までに大和証券、SMBCフレンド証券と提携して参入する。最低預かり額はそれぞれ10億円、2000万円に設定する。各行がラップ口座に参入するのは、個人金融資産が預貯金から投資に移行する中で、富裕層向けの投資商品としてニーズが高まっているため。特に、2007年から始まる団塊世代の退職金の受け皿として期待をかけている。日本証券投資顧問業協会が集計した契約状況によると、3月末時点で契約総額は3441億円、契約件数は2万3550件で、1件当たりの平均契約金額は約1460万円。」とあります。
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/finance/3980/
では、「証券各社、ラップ口座に照準 顧客争奪戦で体制強化」と題して、競争の始まりを予言しています。「証券業界では、「岩盤のように不動だった大口預金などの資金が証券投資へと流れ始めた」(大手幹部)との手応えがあり、今後、担当者の増員など一層の体制強化に踏み切ることになりそうだ。」ということです。
 さて、このように、今後伸びるといわれるラップ口座ですが、乙は、こういうのはまったく契約する気が起こりません。(乙が運用している資金を寄せ集めれば、金額的にはラップ口座に申し込める程度にはなりますが、そんなことはしないと思います。)
 その理由を二つ書いておきましょう。
 第1に、何といっても、ラップ口座は手数料が高いことです。手数料については、各社のホームページなどを見ても明確に書いていないので、WWWでの第三者による記事から引用します。この点で正確ではない可能性もあります。
 読売新聞の記事
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/m_guide/20040511.htm
では、「日興コーディアルグループの場合、【中略】手数料は残高によって異なり、3000万円以下だと、1.785%で、売買のたびに手数料を払うより割安という。大和証券も【中略】手数料は2-3%程度とする方向だ。」とあります。
 また、「ラップ口座入門」
http://ow.arehi.com/comp.html
では、日産センチュリーの場合、「手数料は税込で1億円以下で3.15%。1〜3億円で1.575%。3億円超で0.84%の固定報酬制」とのことです。
 「ラップ口座(三菱UFJ信託のSMAサービス)」
http://www.fin-bt.co.jp/comment330.htm
では、「MUTBのラップ(SMA)は、【中略】手数料は、投資顧問料と残高手数料で、売買手数料は不要としています。手数料テーブルは公表されていませんが、他の資産運用口座の料金が売買手数料別で、預り資産時価評価の0.8から1.5%程度ですから、2%以上なのでしょう。ノーロード型投信が増えていることを考えると、顧客にとって手数料面のメリットはなさそうです。」とあります。
 このように、ラップ口座の手数料は、投資信託と比べてもずいぶん高いように思います。手数料が高くても、それなりの運用をしてくれればいいのですが、扱っている商品は、株や債券、それらの投資信託がメインですから、投資家がどういう指示を出しても、それによってほぼ決まったリターンしか得られないでしょう。オフショアファンドが組み込めるのかどうか知りませんが、常識的には組み込めないでしょう。たとえ組み込めても、そういうのは資産のごく一部でしょうから、ラップ口座のリターンが全体として高くなることはどうもなさそうです。
 自分で運用する場合、株や債券のインデックスファンドならば国内でも国外でも手数料(信託報酬)が1%以下で済みますし、外国債券も(口座管理料が)1%以下で済むことが多いと思います。日本の国債は手数料ゼロです。これらを適当に組み合わせるのならば、手数料の合計は運用額の1%で充分です。5000万円を運用する場合、1%と3%の手数料では年間で100万円違ってきますから、これが長期にわたって積もり積もれば相当な大差になります。
 手数料の高さを指摘する声はWWWにたくさんあります。
http://frog.blog.ocn.ne.jp/toadstone/2006/09/post_e38f.html
では「単に投資信託パッケージを勧めるだけの一般の団塊世代退職者狙った手数料稼ぎという気がしないでもないような。」と述べています。
 http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1685951
の回答欄で、mrmk さんがラップ口座の経験上のアドバイスをしています。「少し前に簡単にシュミレーションしてみたら未だに全然マイナスでした。相場がいいときだけ取り出せば良いですし現在はその可能性は有りますが、ラップの維持費が高すぎます。プロが運用しているといっても競争相手もプロですしね(^^ゞ【中略】余程の才能がないと債権でも株式でも結局そんなに儲かりません。結果、少ない儲けを手数料が食ってしまいます。」というわけで、やはり問題は手数料だということです。
 ゆうきさんは
http://fund.jugem.jp/?eid=54
で、ラップ口座を「手数料の割高なバランス型ファンド?」とみなしています。個人ごとのニーズに合わせているのでなく、いくつかのパターンの組み合わせでしかないからだそうです。そして、新光証券は資産額に対して年間2〜3%程度の手数料が取られると述べています。結論として、インデックスファンドなど手数料の割安な投資信託を組み合わせて資産運用をすることをすすめ、ラップ口座を否定的に評価しています。
 乙の感覚としては、バランス型ファンドというよりは、ファンド・オブ・ファンズのほうが近いのではないかという気がしますが、まあ似たり寄ったりですね。

 第2に、ラップ口座を使うことで資産運用を他人に任せることの不安があります。債券でも株でも、自分で投資先を決める方が安心できます。ダメならダメで、自分で判断したことですから、納得できます。しかし、ラップ口座はそうではありません。投資信託も「他人任せ」という意味では同じですが、目論見書などで事前に運用方針などが説明されていますから、それである程度判断することができます。では、ラップ口座では、いったいどこまで丁寧に説明してもらえるのでしょうか。個人ごとに運用方針が異なるということは、そういう説明は個人ごとにするしかなくなります。しかも、個人ごとに投資経験から投資目的まで全部違っているのですから、説明する側は大変です。たかだか数千万円の運用で、そういう個人向けの説明ができる(そういう手間がかけられる)のでしょうか。もしかすると、そういう説明が(時間のムダであり)不要だと考える人がラップ口座を持つのかもしれません。
 似たような意見は WWW の中でも見つかります。
 ゆうきさんは
http://fund.jugem.jp/?eid=164
で、「運用担当者が自由にアセットアロケーションを変えられる割合は小さくならざるを得ない。」としています。どうしても「できあい」色が強まるだろうということです。また、「株式と債券の値動きも説明しないで、一任勘定を持たせることが、本当に顧客のためになるのだろうか?」という疑問も投げかけています。乙も賛成で、投資は自己責任であり、自分で勉強することが必要なのではないでしょうか。ラップ口座はここを省略することで効率を上げようとするのですが、この結果、どうも、資産運用の大切な部分をなくしてしまったように思います。
 ririo2002さんは
http://blog.goo.ne.jp/ririo2002/e/dd28c8cdaaf67f9e841413fd3cfc0202
で、ラップ口座の運用者がそれなりの成績をあげられるかは疑問だとして、「これら金融機関による“個人資産争奪戦”の思惑にまんまと巻き込まれないようにすることが、皮肉にも家計の資産防衛につながる」とまでいっています。
 ririo2002さんの挙げるラップ口座の問題点は以下の4つです。
●運用マネージャーは大組織の会社員であって、その実績や経験を調べるすべはなく、たとえお願いしたい人がいても指名・選択できない可能性が高い
●そもそも自分の大切な資産をその証券会社のどんな立場の人が運用判断しているか分らない?〜特に最低投資金額のハードルが下がり小口に広がるほど・・
●運用=資産配分や売買の中身やタイミングについて証券会社から開示されない(開示義務がない)
●特定のファンド商品を証券業者自らが開発・販売しており、預かった資産を自分の商品へ我田引水する懸念が大きい
 そして、日本人の資産運用の実態は売る方も買う方もまだまだ未熟だとしています。それを改善するためには、自分で投資経験を積むことが必要になるでしょう。この点で、ラップ口座はまずいわけです。
 山崎元氏も、
http://www.ohmynews.co.jp/OhmyColumn.aspx?news_id=000000000865
で、売り手側が実質的に追加的な手数料を抜く(つまり儲ける)ことができることを指摘した上で、「そもそも、自分のお金の運用内容を自分で決めないという形は望ましくありません。ラップ口座は、顧客にとって良い商品ではない、とはっきり言っておきましょう。」と述べています。

 この他に、乙の場合は、すでに海外に持ち出した資産がかなりあり、これは国内に戻すと為替手数料がかかって不利になることから、当面国内に戻す予定がないということも、ラップ口座を利用しない理由になると思いますが、これは本質的な問題点ではありません。

 なお、村田雅志氏は、ラップ口座が伸びない理由として
http://www.gci-klug.jp/klugview/06/06/09/post_3187.php
において、最低利用金額が高額なことを挙げていますが、乙は、これはちょっと違うのではないかと思いました。1000万円は、投資金額として高額すぎるわけではないでしょう。日本には資産家はたくさんいます。
http://www.orix.co.jp/grp/ps_naru_mail/mail/137.htm
http://www.jma-jp.net/mm/bno.asp?bfile=196
http://www.taxlabo.com/keizaikiji_no_yomikata.htm
などによれば、メリルリンチの調査結果で、100万ドル(1億円)以上の資産を持つ日本の富裕層は134万人もいるとのことです。これに比べたら、ラップ口座の契約件数(2万件少々)ははるかに少ないということになります。やはり、ラップ口座自身が持っている問題点を多くの人が感じているのではないかと思います。
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2006年10月10日

海外投資を楽しむ会(1998.5初版、1999.12三版)『ゴミ投資家のためのビッグバン入門』メディアワークス

 乙が読んだ本です。
 最初に読んだのはずいぶん前なのですが、ふと思い起こして、再度読んでみました。
 実際に読んだのは三版ですが、初版からの追加の記述がいくつかあり、著者たちの良心を感じました。ただし、さすがに現在の目から見れば古くなった記述が目につきます。
 本書の趣旨は、1998年の金融ビッグバンによって、個人投資家はどう影響を受けるのかを明らかにし、どのように投資をしたらいいかを考えるというものです。
 しかし、調べはじめると、実は衝撃の事実が明らかになります。数十万円からせいぜい200-300万円しか金融資産を持っていない人は、金融市場では「ゴミ」と呼ばれ、まともに相手にされないということです。そこで、著者たちは、自力でオフショアに口座を作ることになります。
 この経験の過程で、いろいろ調べた資産運用法の問題点や税制の問題点などを述べ、オフショア投資がいいという結論に到る道筋を克明に描いています。本書の記述は、かなり冗長に感じるところもありますが、初めて投資をするような人にはこういう本がむいているでしょう。
 本書は、PART 1 (pp.18-75) 基礎知識編、PART 2 (pp.78-122) 外貨預金編、PART 3 (pp.124-172) 外債編、PART 4 (pp.174-208) 投資信託編、PART 5 (pp.210-268) 海外預金編に分かれています。
 pp.10-15 のプロローグは、ショッキングな内容です。ビッグバンによって、少額の投資家は(金融機関にとってコストがかかりすぎるから)切り捨てられ、損をするということが述べられます。これだけで、本書を読もうという気になります。
 pp.26-30 なぜ日本の証券会社系列の(子会社の)投資信託がいい成績を残せないかが説明されます。乙は納得しました。この話は p.176 でも繰り返されます。
 p.38 株も短期売買よりは長期保有が有利だといいます。売買のたびに証券会社に手数料を取られるからです。それはわかりますが、最近のように、ネット取引によって売買手数料が非常に低額になってしまった場合でもこの理屈が成り立つのかどうか、知りたいところです。
 pp.39-40 投資信託は国内のファンドよりも海外のファンドが有利であるといいます。それはファンドマネージャーの給与体系の違いが原因だということです。最近は、国内のファンドでも成功報酬制でファンドマネージャーに報いようとするところが出てきていますから、日本も変わりつつあるといったところでしょうか。
 p.79 シティバンクには支店がないということです。逆に、日本の銀行は支店中心主義でオカシイということになります。乙はシティバンクに口座を持っていませんが、なるほどと思いました。日本の銀行の体質の古さを見事についています、
 p.84 シティバンクのテレフォン・バンキングは24時間営業とのことです。乙は、新生銀行で同様の体験をしました。深夜に問い合わせの電話をしたところ、ごく普通に応対されたのです。こういうのに比べると、日本の他の銀行はどうしようもないと思えます。
 p.85 銀行はコンビニと同じようなものだということです。そうです。コンビニには ATM があり、24時間やっているではありませんか。わざわざ銀行の支店に出かけていってお金をおろすよりも、自宅近くのコンビニでお金をおろすほうがはるかに便利です。(乙は、自分の金をおろすときにコンビニの ATM を使うと手数料を取る銀行が多いことにも憤慨しています。新生銀行はかかりませんが。)このままでは、銀行はコンビニに負けます。
 p.152 外債は、口座管理料を取るが、それは不当だとのことです。そして、外債の売買には為替レートの疑惑もあるとのことです。本当に公表されている為替レートが用いられているのかということです。う〜ん。そんなことがあるんですか。
 pp.204-208 米ドルMMF は優れものであると説きます。最もシンプルで優れた海外ファンドとのことです。乙も注目しています。
 pp.214-222 海外預金の利息には課税できない(利子収入を申告せずに脱税してもそれを税務署が追求することはない)という話です。ここまで書いてしまっていいのでしょうか。事実だとは思いますが。
 p.243 オフショアに会社を作るとトクだということです。しかし、p.247 で述べるように、個人投資家には不要だとのことです。

 読み終わってから、乙は、はじめて『地球の歩き方』に出会ったときのショックのようなものを本書に感じました。パックツアーで経験する海外旅行もいいけれど、自分で自由に作る個人旅行もいいものです。安くいけます。いろいろな経験ができます。しかし、個人旅行には危険がいっぱいで、できれば具体的に書かれた信頼できるガイドブックがほしいと思います。そういう場合に役立つガイドブックが本来の意味でのガイドブックなのでしょう。資産運用への旅にはいろいろなスタイルがあります。あまりお金のない人は、ぜひ優れたガイドブックを手に、余計な費用のかからないやり方を採用するべきです。それが本書です。
 乙は、自分をゴミ投資家だと思っていましたが、p.11 に出てくる定義を考慮すると、ゴミ投資家にはあたらないので、個人投資家と自称してもいいかなと思うようになりました。


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2006年10月09日

外国債券への投資

 乙は、外国債券への投資をどうしようかと迷っていました。
http://otsu.seesaa.net/article/12496477.html
http://otsu.seesaa.net/article/23106205.html
 債券に投資する投資信託は手数料が高いので良くないと思います。ですから、直接債券を購入する方がいいのですが、口座管理料などを考慮すると、ためらいがありました。
 その後、外貨MMF
http://otsu.seesaa.net/article/24103836.html
さらには、ボンド・セレクト・トラスト(BST)
http://otsu.seesaa.net/article/24380821.html
などを調べ、さらにゼロクーポン債
http://otsu.seesaa.net/article/23106205.html
などを調べて、一応、乙の方針が決まってきました。次のようなことです。
(1)円高のときをねらって、野村證券でドルやユーロに両替し、BSTに投資する。
(2)欧米の金利が上昇しているころを見計らって、アメリカ・フランス・ドイツの国債(ゼロクーポン債)に投資する。
(3)それらを売却した後は、外貨MMFに入れ、金利の動向を見て、再度アメリカ・フランス・ドイツの国債(ゼロクーポン債)に投資する。
 こんなことにしようかと思います。
 HSBC 香港での債券投資は、口座管理料が高いので、考えないことにします。
 上の方針での問題点は、円高・円安をどう判断するかということと、国債を購入するときの金利をどう考えるかの二つあります。
 まず、為替の問題ですが、今の1ドル120円や1ユーロ150円というのは、ずいぶんな円安だと思います。数ヶ月前には1ドルが 110 円、1ユーロが140円だったこともあるのですから、今後も、そのくらいまで円高になることはあるでしょう。このあたりを境にしてBSTに資金を(両替して)移動させようと思います。
 BST(および外貨MMF)は短期債券ですから、金利の変動の影響を受けます。そこで金利の上昇を見て長期国債に資金をシフトさせます。どのくらいの金利を考慮するかといったあたりが問題なのですが、6% くらいあれば充分でしょうね。あるいは、今後金利が低下しそうだと見込まれるときをねらいます。資金を BST や MMF にずっと入れておくよりはマシだろうという判断です。海外の国債に投資するときは少なくとも1万ドル(1万ユーロ)以上購入するようにします。さもないと口座管理料が高いものになります。
 今は、円安だし、欧米も比較的低金利だしということで、外国債券も今ひとつ魅力がないように思っています。そのときがくるまで日本円の現金でじっと保管するつもりです。数ヶ月〜2年くらいのうちにはチャンスがめぐってくるでしょう。
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2006年10月08日

橘玲(2005.7)『永遠の旅行者(上・下)』幻冬舎

 乙が読んだ本です。
 本書も、投資関連本というよりは、金融情報小説というべきでしょう。
 本書は、死期が近づいた老人が税金を払わずに孫娘に20億円の財産を譲るという話です。コンサルタントがそれを請け負うのですが、具体的にどうするのかは本書を読むとわかります。ここでネタバラシをしては著者に失礼でしょうからこれ以上いいません。
 これまたすごい話です。フィクションですから、何とでも書けるという面もありますが、いやはや、世の中にはこんな話もあるんですねえ。それにしても、橘氏はすごい人です。本書は、合法と非合法の境界をきちんと心得て書かれているので、単なる非合法の社会の裏面を描く一般のお話ではありません。乙には(そんなにカネがないので)無縁の世界ですが、非常に興味深かったです。
 本書は、小説だとはいいつつも、読むことで、日本の税制などの社会の仕組みの勉強も同時にできるという意味で、いわゆる「小説」とはずいぶん違うように思います。
 2冊分の分量があって、ちょっと長いのですが、とてもおもしろいので、充分読み切れます。




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2006年10月07日

ネットで買える投信

 日経新聞10月5日夕刊に「ネットで買える投信」という記事が出ていました。手数料ゼロ(いわゆるノーロード)で買えるものが増えているとのことです。
 この記事で示された各証券会社(銀行)の「ネットで売買できる投資信託の取り扱い」は以下の通りです。
  証券会社(銀行)名  取扱本数
  カブドットコム証券  208(64)
  マネックス証券    130(19)
  SBIイー・トレード証券 250(41)
  楽天証券        47(25)
  日興コーディアル   約500(30)
  野村證券        239(0)
  イーバンク銀行    16(2)
(注)取扱本数のカッコ内はノーロード
 この数字は、なかなかおもしろいと思いました。
 ノーロード投信が取扱本数に占める割合を計算してみると、以下のようになります。(ノーロード比率順に並べ替えておきます。)
  証券会社(銀行)名  ノーロード比率
  楽天証券        53.2%
  カブドットコム証券  30.7%
  SBIイー・トレード証券 16.4%
  マネックス証券    14.6%
  イーバンク銀行    12.5%
  日興コーディアル   約6%
  野村證券        0%
 これで明らかなように、楽天証券のノーロード比率が一番高くなります。ノーロードのほうが手数料がかからない分、購入者を優遇していると見られますから、楽天証券が一番顧客重視であるといえそうです。スーパーでいえば激安販売している店といったところでしょう。野村證券が0%というのは、野村證券の販売姿勢を象徴しています。顧客には資産家が多く、たかだか数%の販売手数料のことを気にする人はいないし、そういう人は当社を使ってくれなくてけっこうだといっているようなものです。
 一方では、販売している投信にたくさんの種類があるほうが、客の選択の幅が広がって便利だという見方もできるでしょう。そうすると、日興コーディアルグループが最多です。スーパーでいえば、品揃えで勝負している店です。
 乙は、複数の証券会社に口座を開き、いろいろ調べて最適な投信を選択し、その販売手数料を各社で比べて買うというようなことをすればいいのではないかと思います。家電製品を買うとき、たとえば kakaku.com で値段を調べながら機種を絞り込み、それが決まったら、近所の店も合わせて価格を調べて購入する店を決めます。これとおなじことを投信についてもやればいいのです。
 乙は、国内での運用は、当面増やす予定はないので、投信の比較すら行う気はないのですが、もし購入を考えるなら、こんな手順を経るかと思います。
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2006年10月06日

橘玲(2003.4)『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)幻冬舎

 乙が読んだ本です。もともとは2002年5月に刊行されたもので、この本が橘玲氏の作家としてのデビュー作だとのことです。
 この本は、小説(フィクション)であり、投資関連本というのとちょっと違います。
 あらすじとしては、次のようなものです。香港に住むコンサルタントのところに女が訪ねてきて、「5億円を日本から海外に送金し、損金として処理してほしい」といいます。つまり、脱税です。そして、女は消えますが、動いた(消えた)カネは実は5億でなく50億だったというわけです。
 本書は、金融情報小説とでもいうべきもので、乙にはとてもおもしろく、一気に読んでしまいました。普段、小説などは読まない乙としては異例のことです。タイトルに偽りなしです。
 冒頭に出てくる HSBC香港での口座開設の話などは、乙の経験とダブって見え、ホントにリアルに思えました。その後の本筋の話は、実話ではなく創作でしょうが、読んでみると、こんなことで多額のカネを処理するのかと驚くばかりでした。あたかもコンサルタントは橘氏のことのようです。もっとも、これを真に受けて、実際に行動に移してはいけません。(ま、たいていの人はそんなにカネがないでしょうが。)
 著者の橘玲氏は、「海外投資を楽しむ会」の創設メンバーの一人であり、金融関係の著書があり、その道に詳しい人だと知っていましたが、こんな小説を書くとは、ホントに驚きました。久しぶりに上質のエンターテインメントを堪能しました。

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2006年10月05日

円、実効レートで21年ぶり安値

 「円、実効レートで21年ぶり安値」というのは、日経新聞10月4日朝刊5面の記事です。
 一部引用します。
 「円の総合的な価値を示す日銀の実質実効為替レート(1973年3月=100)が9月に101.3となり、日米欧がドル高是正で合意した1985年9月の「プラザ合意」時点(94.8)以来の水準まで低下した。長引く低金利によって円から資金が流出し、ユーロやアジア通貨など幅広い通貨に対して円安が進行したためだ。
 実質実効為替レートは日本の主要な貿易相手国・地域との為替レートを貿易額に応じて加重平均し、物価水準を加味して算出する。為替の面から輸出環境をはかるのに使われる。
 実際の円相場はドルに対しては1ドル=117円台とプラザ合意当時(240円程度)と比べて大幅な円高水準だが、対ユーロで1ユーロ=150円前後の最安値圏で推移するなどドル以外の通貨に対して大幅に下落した。国内の個人投資家が高金利を求めて海外の金融資産への投資を進めたほか、海外のヘッジファンドが低金利の円を借りてドル資産などに投資する「円キャリー取引」を増やしたためだ。【後略】」
 「実質実効為替レート」というのは、上の記事中に説明がありますが、より詳しく知りたい場合は、日銀の解説を読むのがいいでしょう。
http://www.boj.or.jp/type/exp/stat/exrate.htm
 こういう面で円安だというのは、乙はあまり気にしていませんでした。21年ぶりといわれて、「おや、そうか」と思う始末です。
 WWWの中を探すと、これに関する記事がいろいろあります。
 吉田恒氏は
http://www.shinseibank.com/fx_info/y_report/051121.html
http://www.gaitame.com/gaitame/w_rep/ot051124.pdf
で、2005年11月現在ですが、実質実効為替レートでの円安傾向を指摘しており、今は過去数年の変化の延長上にあることが見て取れます。吉田氏は「20年間の底値を円が割り込むには、20年間になかったことが起こっている必要があるだろう。私はそれについて、日本の財政破綻、債券暴落に伴う円資金の逃避を注目しており、それは2〜3年以内に起こる可能性があると思っている。」と述べています。そして、この記事が書かれた1年後(つまり現在)は、20年間の底値を割り込んでいるというわけです。
 日経新聞の記事では、二つの原因を挙げていますが、どちらがどれくらい大きな影響力を持っているのかがわかりません。乙の勝手な意見では、海外のヘッジファンドの運用する資金量といっても、そんなに大きなものではないと思います。しかもそのほとんどはドル建てだと思われます。ですから、ヘッジファンドの資金量を基準にすれば、そのごく一部に「円キャリー取引」があるわけで、大したことはないのではないでしょうか。とすると、やはり個人投資家の行動が原因だということになります。
 この点では、日経新聞の記事も、吉田氏の記事も、円資金の海外へのキャピタル・フライトに言及しており、ある意味で一致しています。
 乙も外貨での投資をしていますが、こういうのは、今や当たり前になっており、多くの人が同じ方向にカジを切り始めているということです。
 外貨投資を考えないわけにはいかない時代になったと感じます。
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2006年10月04日

安間伸(2005.7)『ホントは教えたくない資産運用のカラクリB錬金術入門』東洋経済新報社

 乙が読んだ本です。
 錬金術を題名に入れたのは、利益が生まれるメカニズムを体系化し、投資とビジネスに応用することをねらっているためだとのことです。
 実際、なかなか興味深い部分をたくさん含む本だと思います。
 pp.31-41 マンション投資の本当の恐怖はマンションが売れないことだと説きます。
 p.61 なぜ都会のほうが物価が高いか。都会ではビジネスチャンスが大きいので、時間のほうが貴重だが、地方では時間が余っているので、どちらかといえばカネのほうが貴重である。だから都会のほうが物価が高いと説きます。おもしろい説明です。都会のほうが人件費が高いのですが、この説明なら、それも同じ原理で説明できます。
 p.64 錬金術とは、裁定取引のことであるといいます。ズバリ、ひとことで本質を表現してしまいました。
 p.78 国が保証することで銀行の劣後債の利回りが普通社債の利回りまで低下してしまったことがありました。そのとき、その銀行の「劣後債買い・普通社債売り」の裁定ポジションを取ると良かったとのことです。乙は、いわれて「なるほど」と思いました。こういうのが確実に儲かる方法なんですね。
 pp.98-110 ワイロなどが横行する社会は経済効率が落ちるし、計画経済を延々と実施している国は、突然死するとのことです。前者は中国が当てはまりますね。(安間氏はそうはいっていませんが。)後者にもある程度当てはまりますかね。そういう国の危うさを具体的に指摘してもらったように思いました。
 p.117 新紙幣発行は、結局、「紙幣識別機オーナー」から「紙幣識別機メーカー」への所得移転にすぎないと述べます。ほうほう。そして、このニュースに対する正しい態度としては「紙幣識別機メーカーの株を買う」あるいは「同時に株価指数を売ってヘッジする」という裁定取引を行うことになるというわけです。なるほど。プロはそのように運用するのですね。プロはこういう動きをするのですから、株でアマチュアがプロに勝つなんて、とても難しいことのように思えてきます。
 p.122 ある業界がダメージを受けるようなニュースが流れたときは、それによって儲かる業界(あるいは会社)はどこかと考えることが必要だと説きます。なかなか難しい問題です。これができるのがプロだとすれば、個人投資家はなかなかそのレベルに達しないように思えます。
 pp.152-156 なぜ世界の市場が連動するかを説明しています。ここもおもしろいです。わかったという気になります。
 p.192 コンセンサスを追いかけると、オッズが下がるので、良くないと説きます。投資では、他人と同じ行動をするなとのことです。いわれていることはわかるのですが、いざ、これを実行しようとすると大変です。
 本書はオススメできます。プロがどのように儲けるのか、知っておくといいでしょう。まねすればよいというような単純なものではありませんが、世の中の仕組みが一段と深く理解できるように思えます。


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2006年10月03日

金融商品の手数料

 乙は、いろいろな投資をやってみましたが、それでもよくわからないことがあります。
 各種金融商品は、購入時やその後の保有時、さらには解約時に手数料がかかるわけですが、もちろんこれは安い方がいいに決まっています。しかし、手数料が高くても、それに見合ったリターンがあればいいのかどうか。これがわかりません。
 典型的には、各種ヘッジファンドです。乙が購入した金融商品で一番手数料が高いのはクアドリガのスーパーファンドです。
http://otsu.seesaa.net/article/20948293.html
 購入時の 4.5% の他に、保有時にかかるのが年6%、それに加えてインセンティブフィーが(上昇分の)25〜35%というものですから、超高額の手数料体系です。
 手数料が高くても、それなりの実績を上げてくれれば、投資家の側の実入りが多いことになり、それはそれでいいのではないかと思っています。しかし、そのような実績をこれから上げることができるのかどうか。ここがまったくわかりません。
 コスト重視の考え方は、いろいろな人の本に書いてあり、それはそうだと思うのですが、こういうハイリスクな商品の場合、どう考えたらいいのか、わからないのです。収益を上げるだろうと考えて、投資の決断をするのですが、未来のことがわかるはずもありません。
 では、仮に5年ほど運用してみて、実績を見たらどうでしょう。それでも「わからない」のではないでしょうか。乙のたった一人の、しかも特定期間の5年間の経験でしかありません。そこまでの成績が良くても、次の期に破綻することさえあり得ます。
 では、15年経てば実績がわかるでしょうか。さすがにわかると思います。しかし、それではもう乙の投資予定期間15年がすぎてしまいます。15年前の判断が正しかったかどうか、わかっても、その時点ではもう遅いのです。
 というわけで、ハイリスクな商品の場合、いろいろな本を読んで調べてみても、最終的に判断はつかないし、一種の「賭け」のような気持で投資するしかないように思います。年率で5割を越えるリターンがあることもあるだろうし、破綻することもあるだろうというようなことです。リスクが高いということはそういうことです。
 だとすると、そういう金融商品で運用するのは、資産のごく一部にとどめておくべきだということになります。また、そうであれば、こういう商品に投資するのも「あり」ではないかと思うのです。
 ちょっと違う観点ですが、手数料については、期待利回りと比べて考えることもいいことです。
 グロソブの 1.3125% という信託報酬は高いでしょうか。債券で運用するので、リターンは低めになります。3% とか、4% とかでしょうか。だから、それを基準に考えたら信託報酬は相対的に高いといえます。
 また、多くの株式投信の信託報酬 1.5% も、株式の期待利回り(8%くらい?)を考えると高いかもしれません。しかし、値上がり分の2割と考えるとこんなものかとも思います。
 そして、ヘッジファンドの場合は、期待利回りがよくわからないということになり、これが手数料が高いかどうかの判断を難しくしています。
 ホントに悩ましい問題です。
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2006年10月02日

ジェームズ・オーウェン(2002.9)『ヘッジファンド投資入門』ダイヤモンド社

 乙が読んだ本です。
 350ページもあって、情報量が多く、とてもおもしろいです。
 ヘッジファンドは保守的なファンドだと説きます。これだけでも「へ〜」という感じです。
 pp.14-15 多くの伝統的な資産運用が通用するのは計画対象期間が無限の大手機関投資家であるといいます。なるほど。個人は寿命がありますからね。乙も、たった15年しかないので、その中でどうやったら最適な行動が取れるかを模索しているわけです。機関投資家は、視点が違いますね。
 p.56 最近は代替投資を小分けにして販売しているということですが、それでも25万ドル以上なのだそうです。いやはや、ちょっと手が出ませんねえ。
 p.59 機関投資家(企業年金など)が投資できるのは数千億ドルの規模なので、ヘッジファンドではすべてを吸収することはできないそうです。5億ドルまでの小規模な(!)ヘッジファンドが成果を上げられるのだそうです。
 p.77 ヘッジファンドは1990年代に急激に成長したことが図で示されます。ということは、それ以前は(あったはずですが)大したものではなかったのでしょうね。
 pp.80-81 ヘッジファンドの投資金額は50万〜100万ドルが一般的だとのことで、1000ドルから受け入れるミューチュアルファンドとは大違いです。しかし、ファンド・オブ・ファンズの仕組みを使えば、少額の投資家もヘッジファンドへの投資が可能になります。ファンド・オブ・ファンズの意味はまさにここにあります。
 p.91 ヘッジファンドの統計はないといいます。それぞれのファンドが勝手なことをするわけですし、それぞれが個性的ですから、「統計」には馴染まないのでしょう。
 p.111 ヘッジファンドの破綻はそんなに多くないとしています。しかし、年間7%とか、1990年代を通じて(つまり10年間に)10% とか聞くと、乙はけっこうな比率だと思いました。
 p.124 ヘッジファンドは市場平均以上の成績を上げますから、個人富裕層に向いているとのことです。
 p.156 で、オーウェン氏は年平均 15%で、マイナスになる年がないようなヘッジファンドを選んでいます。すると、p.160 のようにロング/ショート=ジョーンズ・モデルが一番良い成績だったとのことです。
 pp.198-199 で、個人投資家と機関投資家の違いを述べています。機関投資家は、25年以上の期間で投資を見るけれども、個人投資家はそうでなく、長年の低迷期を根気よく耐えられる個人投資家は少ないといいます。若い投資家は忍耐がないし、高齢の投資家には時間がありません。期間投資家はアセットアロケーションを遵守することが大事ですが、個人投資家は、そういう配慮がいらないというわけです。
 p.205 ヘッジファンドはポートフォリオの 25% くらいを占めるのが良かろうとのことです。具体的なアドバイスです。
 pp.209-238 会費が数千ドルの投資クラブがいろいろあるようです。富裕層はそういうのを利用するというわけで、乙は「ずいぶんリッチだな」と思いました。ゴミ投資家とは関係ない世界が広がっているんですね。
 p.227 ヘッジファンドのコンサルタントの手数料は、投資金額の0.1%から1%で、最低投資金額は10万ドルとのことです。なかなかハードルが高いですね。
 p.229 ファンド・オブ・ファンズは、投資金額は比較的少額で済むといっても、その最低が25万ドルなのだそうです。pp.80-81 を読んだときには期待してしまいましたが、これはちょっと手が出せません。
 p.232 ファンド・オブ・ファンズなら、ロー・リスク、ハイ・リターンが可能だと説きます。それはそうでしょう。
 p.244 ヘッジファンドとオフショアファンドは別であると書いてあります。米国籍の投資家はオフショアファンドへの投資ができないので、ヘッジファンドの場合もその半分は投資できないのだそうです。だからこそ、アメリカではヘッジファンド投資が盛んなんですね。乙はようやく秘密の一端がわかりました。
 p.261 オーウェン・レシオという独自の数値が出てきます。年率換算収益率と最悪月収益率の比率が4対1以上でないヘッジファンドには投資しないということです。たとえば、ファンドの最悪月収益率が-15%である場合には、年率換算収益率が(手数料などを差し引いた後のネットで)60%以上ないと投資対象にならないというのです。なかなかおもしろいアイディアだと思いました。ハイリスクな投資のときの一つの考え方を教えてもらいました。
 pp.297-317 では、「投資を継続してフォローする」ということで、投資後のフォローを述べています。ここに書かれている方法を読むと、ずいぶん手間がかかるやり方だと思います。ま、多額の資金を投資する場合はこういうことも必要なんでしょうが。
 本書は、実際のヘッジファンド投資に即して具体的に書いてある本であり、その意味でおもしろい本です。ヘッジファンドについて書かれた本の中では、オススメできる本でしょう。乙は、本書でいわれているようなヘッジファンドに投資するほどの資金がありませんので、絵に描いた餅なのですが。


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2006年10月01日

タイのクーデターと株価の動向

 9月19日に起こったタイのクーデターは、もうニュースとして知らない人はないでしょう。首相が外国にいる間に軍が首相府やテレビ局を占拠してしまったわけです。
 ところで、乙は、ファンドを通じてタイの株に投資しています。
http://otsu.seesaa.net/article/20603063.html
タイ株は、今回のクーデターでどういう影響を受けたでしょうか。
 8月末には、乙が HSBC GIF - Thai Equity (Class AD) に投資した1000ドルは、898ドルまで下がっていました。では、9月末ではどうだったか。920ドルになっていました。ごくわずかですが、この1ヶ月で上昇したことになります。毎日基準価額をチェックしているわけではありませんが、今回のクーデターの影響はなかったといっていいのではないでしょうか。
 ファンドが、クーデター直後に株の売却に動いて損失を回避したという可能性もありますが、ちょっと考えにくいと思います。大量の売りはそれこそ株の暴落を招きますし、ファンドの目的がタイ株への投資なのですから、それから一気に逃げ出すというのは、ファンドの目的に合いません。(このあたりは、今後の運用報告書を読めばわかります。)
 ファンドの動向については、
http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/2006-09-20T185927Z_01_NOOTR_RTRJONC_0_JAPAN-229098-1.html
が、こんな記事を載せています。「【香港 20日 ロイター】タイで19日発生したクーデターについて、海外ファンド勢の間では、タイ関連資産の投げ売りは始まっておらず、割安感が出れば押し目買いを入れる可能性がある、との声が多い。ただ、軍による政権運営が長期化するなど、政局の不透明感が強まった場合や、資本規制が導入された場合は、大量の売りが出る可能性があるという。20日のタイ市場は休場。海外のファンドマネジャーの間では、21日の同市場は下落して始まる公算が大きいが、下げは一時的ではないか、との見方が出ている。」
 ということで、今回のクーデターはタイの株価にあまり影響しなかったと思います。
 どのくらいの影響なのか、ちょっとタイ株の指数で見てみましょう。
http://excite.co.jp/News/economy/20060921140110/JAPAN-229233-1_story.html
によれば、「[バンコク 21日 ロイター]クーデター発生後初の取引となる21日のタイ株式市場は、急落して始まった。アナリストによると、クーデター発生を受け、株価指数に占めるウエートの大きいエネルギー会社や銀行の格付けが引き下げられることが懸念されているという。SET指数は、取引開始直後の0300GMT(日本時間正午)現在、前営業日(19日)終値比28.25ポイント(4.02%)安の674.31と、7月以来の安値をつけた。」とあります。急落とはいえ、たった4%でしかありません。
 クーデターが起これば、法律による保護がなくなりますから、自由な経済活動が制約され、人々も外出を控えるでしょう。外国人は国外に逃げ出すことも多いでしょう。結果的に経済が停滞し、それを予測して株価は下がるというのが普通の見方です。
 しかし、それほど悲観的である必要はありません。
 今回のクーデターは、一発も銃弾が飛び交うことはなく、むしろ、プミポン国王はクーデター賛成のようでしたし、市民もそれを歓迎する雰囲気が強かったようです。つまり、経済的なダメージはそれほど深刻ではなかったということです。
 株価に影響しないクーデターもあるんだという点で非常に興味深いものでした。(乙は、内心、株価がどれくらい下がったのだろうと戦々恐々だったのですが。)たった1000ドルで、いい経験をしました。
 もっとも、タイは、クーデターが頻発する国のようですから、カントリーリスクが大きいということは変わらないと思います。タイ株に多額の資金を投入しては危ないといえます。

 ところで、日本では、タイのクーデターがどういう影響を与えたでしょうか。
http://www.asahi.com/special/060921/TKY200609200168.html
には、「東証、大幅安 タイのクーデターで買い控え」という記事があります。一部引用します。
「20日の東京株式市場は、前日の米国株安などを受けて全面安となり、日経平均株価は一時250円を超す下げ幅となった。午前の終値は、日経平均が前日比177円78銭安い1万5696円50銭。東京証券取引所1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は同22.37ポイント低い1569.61だった。
 米国景気が減速するとの見方が強まっていることに加え、タイでは前日夜にクーデターが発生。20日のアジア市場も軒並み下落したことで売りが広がった。クーデターについては、軍事衝突までは至っていないことから「今のところ市場への影響は限定的」(大手証券)との見方もあるものの、タイの混乱がアジア全域の経済停滞につながるとの懸念から、タイに進出している自動車メーカーの株は軒並み売られている。」
 ということで、この記事では東証が大幅安ということになっていますが、比率でいえば1%程度の下落で、そんなに「大幅」とはいえないと思います。これくらいの変動は当たり前にあるものです。
 http://stock22.seesaa.net/article/24035763.html
は、1991年のタイのクーデターに言及し、日本の株価に大きな影響はないと述べています。
続きを読む
posted by 乙 at 09:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンドの運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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