「「金融商品取引法」施行の衝撃」という副題が付いています。特集は pp.32-45 ですが、なかなか読みごたえがありました。
単純にいえば、今まで投資ファンドは法令の空白の部分に入っていて、特に規制がなかったのですが、金融商品取引法の施行によって、各種の金融商品がすべて規制されるようになるということです。
これだけ聞くと、いい話のように思いますが、話には両面があります。ちょっと裏側をのぞいてみましょう。
不動産業界は、金融庁の行政処分におびえているのだそうです。すでに、不動産ファンドの主要4社の株は規制強化を嫌気して大暴落しているということです。
p.41 では、「これは金融取引“禁止”法だ」ということばまで飛び出しています。規制内容が細かく、商品パンフレットのリスク説明文はフォント級数まで決まりがあるため、営業員がパンフレットの縮小コピーを配ったら、それだけで法令違反になるというのです。こうなると、コスト増が避けられません。
同じく p.41 には、ラブホファンドも危機だと書いてあります。今までは匿名組合として運営されてきたのですが、今後は自社で販売できなくなるとのことです。自社販売をするためには第二種金融商品取引業者としての登録が必要になるわけですが、これには大変コストと時間がかかるわけです。その結果、利回りが低下してしまうとのことです。
乙は、レジャーホテルファンドを解約したのですが、
2007.6.26 http://otsu.seesaa.net/article/45923010.html
もう以前のような 8.4%-12% の利回りは実現できないのでしょうね。
ところで、金融庁がこんな規制をすることで、投資家が保護されるのでしょうか。日本は役所の規制が多く、したがってファンド運用にはコストがかかるのではないかと思います。p.35 では、ファンドを優遇するシンガポールの例を出していますが、日本で規制強化することでファンド類は海外に逃げ出す可能性があります。投資家も、海外投資を心がけるかもしれません。結果的に、日本は置いてきぼりを食らわされるわけです。
p.42 にはシンガポールに移転した投資ファンドの話が出てきます。日本のルールはどうにも変なようです。
こんなことを考えると、規制強化は、単純に投資家保護のためとは言い切れないように思います。まあ規制も程度問題ということでしょう。
p.43 では、割安になった J-REIT の銘柄が書いてありますが、特集全体の流れを読むと、投資する気にはなれません。
この話題に関連して乙が書いた記事としては
2007.6.27 http://otsu.seesaa.net/article/46002779.html
があります。
また、ゆうきさんが「ラブホテル・ファンドの危機」という記事をお書きです。
http://fund.jugem.jp/?eid=455