乙のブログに対するファン様からのコメント
http://otsu.seesaa.net/article/58933195.htmlで、大阪証券取引所に上場予定の中国上海A株の ETF
http://www.ose.or.jp/stocks/sy/1309.pdfをどう思うかという質問がありました。
せっかくの機会なので、乙の意見をまとめて述べておこうと思います。(実は、この件は、わざわざブログでコメントするほどのことでもないので、無視しようかと思っていたのでした。)
第1に、上海A株の ETF といえば、今まで中国株の口座を持っている人なら、普通に買うことができた iShares FTSE Xinhua A50 China Tracker(銘柄コード:2823)
2007.2.8
http://otsu.seesaa.net/article/33176294.html(こちらは香港に上場する ETF です)と同じではないでしょうか。運用会社が違えば(また、上場する市場が違えば)、違った ETF だという見方もできますが、同じ指数に連動するなら、事実上、同じものに投資していることになるわけで、新鮮味がありません。要するに、中国株口座で(香港ドルで)買えたものが日本株口座で(日本円で)買えるようになるというだけのことです。今回の ETF の話は、新しく投資先が広がったということではありません。
第2に、今回の大証への上場によって、ETF の売買手数料が安くなることが期待できます。中国株として売買すると、けっこう売買手数料がかかります。それが日本株と同じ手数料で売買できるようになりますから、手数料が安くなるわけです。このこと自体は投資家にとってありがたい話です。
しかし、若干手数料が若干安くなったからといって、本当におトクかということになると、そうでもありません。ファン様がお考えのように、インデックス投資として購入したあと長期に保有を継続しようという考え方なら、売買手数料の差なんて、どうってことない程度の問題になります。
頻繁に売買するときは、売買手数料の違いは大きいのですが、それはインデックス投資ではありません。タイミング(と株価の上昇/下落の方向)で勝負しようとする場合は、手数料が安いことが大事です。要は、個人投資家としてどういうスタンスで臨むかという問題です。乙はインデックス投資を中心として考えていますので、(一部アクティブな投資を楽しみますが、)今回の ETF の上場による売買手数料の低下のメリットはさほど大きいとは思えません。
ただし、毎月の積立投資をする場合は売買手数料の多寡が効いてきますから、今回の話によって積立投資がやりやすくなったということはいえるでしょう。(乙は、積立もしていませんので、関係ありませんが。)
第3に、上海A株に投資するかどうかという基本的問題です。
乙の個人的見方では、
2007.2.8
http://otsu.seesaa.net/article/33176294.htmlで述べたように、上海A株はバブル状態だと思います。
なぜバブルかということについては、また別稿が必要になりますが、中国が輸出の急増で外貨を獲得していること、その結果、中国の外貨準備高が日本の外貨準備高を追い越してしまうほどになったこと、その結果、人民元が中国国内にあふれていること、人民元が国際化されていない(中国から外国に投資できない)ために、中国人の持つ人民元が中国内の不動産や株式(A株)などに大量に流れ込んでいることあたりが原因でしょう。(テレビ番組でよく見かけますが)上海の証券会社に集まる多数の中国人を見ると、まさにバブルだと感じます。
したがって、今後、上海A株では大きな下落があるものと予想しています。行き着くところまでいったら起こるでしょう。これがいつ起こるかはわかりません。
また、もう一つ、中国株のAH格差の解消という問題があります。
2007.4.14
http://otsu.seesaa.net/article/38671971.htmlこれも、まもなく「直通車」によって、中国本土の投資家が香港市場に投資可能になるものと思われます。
2007.9.4
http://otsu.seesaa.net/article/53855485.htmlこの点からも、(中国人以外は)割安な香港H株に投資するほうがずっと安全だと思います。
もっとも、逆説的になりますが、バブルは一番儲かるものというとらえ方も可能です。ですから、あえて上海A株に投資しようという考え方も理解できます。これからも(どれくらいの期間かわかりませんが)上海A株は上昇を続けると思います。しかし、きっと大きな下落があるでしょう。その場合は、飛び降りる(株を売る)タイミングが最も大事です。乙は、自分の日々の仕事を抱えていて、毎日、株式市場の動きを追いかけているわけにはいきませんから、都合よく飛び降りることができません。したがって、上海A株には手を出さないことにしました。
第4に、上海A株をインデックス投資の対象にしていいかという問題です。インデックス投資は、日本株やアメリカ株などの先進国株でこそ行うべきもので、中国株でインデックス投資の考え方が成り立つのかどうか、疑問に思っています。中国では資本主義が貫徹されているわけでもなく、いざとなれば、中国政府の方針の大変更があるかもしれません。言い換えれば、中国はカントリー・リスクが大きいということです。そんな国で、インデックス投資ができるものでしょうか。インデックス投資は20年とかの長期間にわたって制度が変わらないことを前提にして成り立っているものです。中国の諸制度がそんなに長く変わらないとは思えません。
日本のバブルがはじけたあと、日本株に投資していた人はみんな損失を出したに違いありません。でも、じっと待っていれば、これから日経平均が4万円を越えることはあるだろうと思います。(それまでに超長期間がかかるとは思いますが。)株価は、基本的には上昇するものです。あと20年〜50年くらい経てばそうなるのではないでしょうか。この点から、バブルのピーク時に買った株でも、長期間持っていれば、損失は発生しないという考え方ができるように思います。
では、上海A株も同じでしょうか。そうではないような気がします。株価が下がったら下がりっぱなしということがありそうです。日本のバブルもすごかったけれど、中国のバブルはそれ以上だと思います。中国政府がバブル退治に本気で乗り出せば、バブルの押さえ込みは可能でしょう。(今は中国政府としてそういうことはしないという方針です。)バブル退治による株価の大暴落があれば、次の最高値更新は数十年以上にわたってないかもしれません。中国バブルの回復は、日本のバブルの回復よりもずっと長い時間がかかるのではないかと思います。(そのうち、中国の経済成長が「少子化=一人っ子政策」の影響で今まで通りではなくなるかもしれません。)そんなことで、乙は上海A株でインデックス投資をしようという考え方には賛成できません。
以上、述べてきたようなことから、乙は、今回の上海株の大証への ETF 上場を冷ややかな目で見ています。自分で買う予定がないものについて、あれこれ考えるのは、それ自体がムダなように思います。
上述のように、上海A株に投資しようという考え方も理解できますので、投資したい人は自分の責任で投資すればいいでしょう。大きく儲かる可能性もあります。大損する可能性もあります。吉と出るか凶と出るか、それは何ともわかりません。
ブログでは、この ETF に関してたくさんの人が意見を述べています。
http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/2007/10/post_a5f9.htmlhttp://fund.jugem.jp/?eid=461http://mo-maga.sblo.jp/article/5727369.htmlhttp://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-574.htmlhttp://ameblo.jp/happy-retire/entry-10049854941.htmlhttp://victoriousystemtrade.blog58.fc2.com/blog-entry-272.htmlhttp://layup.blog88.fc2.com/blog-entry-147.htmlhttp://kaeru.orio.jp/blog/2007/10/_etf_2.htmlhttp://renny.jugem.jp/?eid=372http://haisyatosyosyanogame.10.dtiblog.com/blog-entry-379.htmlhttp://tohshi.blog61.fc2.com/http://fund-senki.way-nifty.com/blog/2007/10/etf_4231.htmlhttp://401k.sblo.jp/article/5731298.htmlhttp://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/etf_a655.htmlhttp://fundstory.blog87.fc2.com/blog-entry-159.html