一つのファンドを購入して、2年くらいで乗り換えていくのと、10年くらいで乗り換えていくのとでは、影響が違ってきます。乗り換えするたびに、利益が出ますから、その中から税金を支払わなければなりません。短い期間で乗り換えると不利になることは当然ですが、その影響はどれくらいなのでしょうか。
ちょっとこれを計算してみましょう。
初期資産 10000 円でスタートしましょう。税率が 20%、利回りが毎年 5%、2年ごとに乗り換えるとしましょう。
1年目の資産額は、10,000×1.05=10,500 円です。
2年目の資産額は、10,500×1.05=11,025 円から、上昇分 1,025 円の2割を引かれて、10,820 円になります。
3年目の資産額は、10,820×1.05=11,361 円です。
4年目の資産額は、11,361×1.05=11,929 円から、上昇分(11,929-10,820)=1,109 円の2割を引かれて、11,707 円になります。
これを繰り返して30年経つと、32,614 円になります。
乗り換え期間の間隔にかかわらず、30年後の解約の時点で税金がかかると考えます。
まず、税率が 20% として、利回りと乗り換えまでの期間(間隔)をいろいろ変化させて30年後の資産額を計算してみました。
間隔 | 利回り | |||||
5% | 6% | 7% | 8% | 9% | 10% | |
1年 | 32,434 | 40,817 | 51,276 | 64,306 | 80,509 | 100,627 |
2年 | 32,614 | 41,139 | 51,820 | 65,184 | 81,882 | 102,717 |
3年 | 32,792 | 41,456 | 52,354 | 66,045 | 83,227 | 104,766 |
4年 | 32,944 | 41,726 | 52,806 | 66,774 | 84,365 | 106,494 |
5年 | 33,140 | 42,074 | 53,391 | 67,716 | 85,833 | 108,726 |
10年 | 33,961 | 43,521 | 55,803 | 71,571 | 91,804 | 117,745 |
15年 | 34,713 | 44,827 | 57,947 | 74,952 | 96,969 | 125,443 |
20年 | 34,912 | 45,155 | 58,457 | 75,713 | 98,068 | 126,990 |
30年 | 36,576 | 47,948 | 62,898 | 82,501 | 108,141 | 141,595 |
同様に、税率が 10% として、計算してみました。
間隔 | 利回り | |||||
5% | 6% | 7% | 8% | 9% | 10% | |
1年 | 37,453 | 48,442 | 62,517 | 80,509 | 103,460 | 132,677 |
2年 | 37,569 | 48,654 | 62,884 | 81,116 | 104,432 | 134,192 |
3年 | 37,682 | 48,861 | 63,240 | 81,703 | 105,369 | 135,648 |
4年 | 37,778 | 49,034 | 63,538 | 82,193 | 106,147 | 136,852 |
5年 | 37,901 | 49,257 | 63,919 | 82,817 | 107,137 | 138,382 |
10年 | 38,404 | 50,157 | 65,438 | 85,276 | 110,989 | 144,264 |
15年 | 38,850 | 50,936 | 66,726 | 87,317 | 114,125 | 148,959 |
20年 | 38,962 | 51,120 | 67,012 | 87,745 | 114,743 | 149,829 |
30年 | 39,897 | 52,691 | 69,510 | 91,564 | 120,409 | 158,045 |
利回りが高い場合、あるいは税率が高い場合は、間隔の長短によって30年後の資産額がかなり変わってきます。
このことを言い換えると、バイ・アンド・ホールド戦略をとるときは、ひたすら30年間保有するべきであって、数年ごとに乗り換えているとそのたびに税金を取られて大きく増えないといえます。
利回りが低い場合、あるいは税率が低い場合は、間隔が短くてもさほど運用成績が悪化することはないので、どんどん乗り換えてもいいのかもしれません。(ただし、実際は、販売手数料がかかったりするので、どんどん乗り換えると損をします。ノーロードの投信ならこの問題はありませんが。)
正直いうと、乙が事前に予想していたよりも、税金の影響は小さかったように思います。
何といっても利回りごとの結果の違いの差が大きいです。30年といえば、複利効果がかなり働きますから、利回りが高ければ、大きく資産が増やせるということがわかります。
また、ずっとファンドを保有し続けようとしていたところ、運用会社の都合で早期償還されてしまうような場合は、予想以上に投資家は損失を被っているといえそうです。
税金が 10% というのは、今後続くとも思えないので、20% を覚悟するべきでしょう。となれば、何はともあれ、一度ファンドを買ったら、短期間で乗り換えなどせずに、ひたすら保有し続ける態度が必要ですね。
今日は、当然の結論でした。