サブプライム問題について、とても丁寧に説明されている本です。
第1章「住宅バブルを生んだ社会的な背景、時代的理由」では、アメリカ全体を眺める視点で書かれています。たとえば、p.26 では、アメリカの住宅優遇税制に触れていますが、持ち家推進ということで住宅所有者にはものすごい優遇ぶりで、アメリカにはこんな仕組みがあるなんて、乙は全く知りませんでした。
第2章「サブプライムが略奪的貸付に変質した理由」では、各種住宅ローン全体を見ながら、サブプライムローンがどのようにその特徴を変えていったのかが説明されます。
第3章「サブプライム問題の露呈」では、今回の問題の始まりのころを回想しています。大変な事件だったわけですね。
第4章「サブプライム問題への対策と現実」では、証券化によって住宅バブルが後押しされ、現実にどうなっていったかがリアルに描かれます。p.125 では、住宅ローンの支払いが滞るとすぐ立ち退きになってしまう理由が書いてあり、今回の問題が低所得者に対して厳しい現実を迫るさまがわかります。
第5章「サブプライム問題の今後」では、金融技術が発達したことで今回の問題が起こったことを述べ、解決はそう簡単ではないことをうかがわせます。
第6章「終わりのはじまり」では、アメリカ帝国主義が崩壊することも見据えて、世界的な視野から今回の問題を位置づけています。
本書を一読して、今回の問題の大きさが理解できました。アメリカにたびたび訪問して現状を肌で感じ取っている春山氏ならではの記述だと思いました。お勧めできる本だと思います。
これに比べると、乙のアメリカ不動産に関する見方・考え方
2006.3.28 http://otsu.seesaa.net/article/15592713.html
は、何と甘いのでしょうか。
本書を読んだ後では、アメリカ株への投資も、やはりあまり集中しないようにしようかなあなどと思いました。
著者のブログ「おかねのこねた:春山昇華の賢楽投資生活」(旧名は「おかねのこねた:日中米に、賢く投資しよう!」)
http://www.doblog.com/weblog/myblog/17202/
は、乙も参考にしていますが、更新が非常に多いブログです。