第1章「金融リテラシーの必要性」では、全員が金融リテラシーを持つべきだという主張が展開されます。
p.22 では、お金を定期預金に預けることは、安全資産を多く持っているということであり、それはつまり運用益が小さいから、労働による収入が必要になり、長時間労働になるとしています。これが少子化にもつながっているということで、日本の現状を批判的に述べています。だから結論は「お金は銀行に預けるな」ということになるわけです。
乙はこの発想を大変おもしろいと思いました。勝間氏の議論は、広い視野からお金の世界を見ようとしている点に特徴があります。つまり、本書は単なる投資本の域を越えたものになっています。金融リテラシーという見方は、人生をどう生き抜いていくかという大きな問題につながるものだと思います。
第2章は「金融商品別の視点」ということで、さまざまな金融商品を取り上げてそれをどう見るべきかを述べています。
p.74 から「株式」の話が出てきます。単純に「プロが得して個人が損する」としています。きちんとしたデータを示して述べているので、これは納得できる議論です。p.77 には、機関投資家と個人投資家の違いを比較した表が出てきますが、こうやってみてみると、やはり、機関投資家が勝つものだということが納得できます。乙は、一部の資金を日本の個別株に投じていますが、全体として、あまりうまくいっていません。こんなものかもしれません。今後は順次、個別株から撤退しようと考えています。
勝間氏は、投資信託が万人にオススメだとしています。また、コモディティ(商品)を今後の注目商品だと見ています。そうかもしれません。
第3章は「実践」ということで、段階を踏んで投資について学ぶような形で解説しています。納得できる内容です。
第4章は「金融を通じた社会責任の遂行」という章で、再度、金融リテラシーという見方を説いています。
p.209 からは社会責任投資(SRI)について述べており、乙も、こういう態度で投資に臨むのがいいなあなどと思ったのでした。乙が投資している市民風車ファンド
2007.6.23 http://otsu.seesaa.net/article/45659163.html
などは、その一環だろうと思います。まだまだごく一部しか投資していませんので、乙は SRI について語れるほどではありませんが、今後は、こんな考え方もしていきたいと思いました。
全体として、まじめに書かれた良書です。投資に関わるものとして知っておきたい内容の本です。
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