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2006.4.22 http://otsu.seesaa.net/article/16876491.html
では、このファンドの一般的な説明に終始しています。
最近、第48期から第53期までの運用報告書が送られてきました。
いろいろ眺めていると、おもしろいなあと思いました。(それにしても、運用報告書をおもしろがって読む人は、どれくらいいるのでしょうかね。)
毎月決算型ですので、半年分をまとめて6期分の報告書としています。過去6期のパフォーマンスを見ると、-3.47% ということで、あまりかんばしくありません。なぜこういう結果になったのでしょうか。
半年の運用経過を見てみると、p.2 に次のように書いてありました。
公社債損益 -139 円
公社債利金 349 円
短期利金 10 円
為替 -560 円
信託報酬等 -67 円
─────────
収益合計 -407 円
前期末(半年前)の基準価格は 11,928 円でしたから、それを基準にすると 407/11,928×100=3.41% の下落ということになります。3.47% とは差がありますが、算出期間のずれとか、分配金の繰り込みとか、ま、いろいろあったのでしょう。
公社債損益というのは、債券の価格の上下のことです。損失が出たということは、債券の利率がこの半年間で上がり、それによって債券価格が下がったということです。p.3 には、オーストラリア準備銀行が、この間 0.5% の利上げを実施したとのことですから、つじつまが合います。(損益への影響はそれだけではありません。社債などは個別の企業の事情などの影響があったはずです。)
公社債利金というのは、債券の利息のようなものです。利回りを計算してみると、349/11,928×100=2.93% になります。半年でこの結果ですから、年利回りは2倍の 5.85% になります。p.3 にあるオーストラリア10年国債の利回りによれば、だいたい 5.8% から 6.3% の間で上下しています。まあこんなものでしょう。
短期利金というのは、現金部分を普通預金にしておいたら利息が付いたというようなものでしょう。
為替が 560 円ものマイナスになったということは豪ドル安・円高が進んだためということで説明できます。p.5 の豪ドル/円レートの説明では、前期末 102円64銭だったのが、97円70銭になったということですから、(102.64-97.70)/102.64=4.81% ほど円高になったわけです。11,928×0.0481=574円ということで、560円とは差がありますが、ま、こういう細かいことには目をつぶります。
信託報酬等は 67円かかっています。これが半年分ですから、1年では(単純に2倍して)134円に相当しますので、1年あたり 134/11,928×100=1.123% となります。あるいは今期末の基準価格 11,175 円から考えれば、134/11,175×100=1.199% です。このファンドの信託報酬は 1.3125% ということでしたが、実績との差はちょっとした誤差でしょう。
さて、こうやってみてくると、このファンドの場合、為替の損益がかなり大きいことがわかります。為替は、債券投資で得られる利息の金額を大幅に越えて全体の成績をマイナスにしてしまうくらい、運用を左右するということです。外債ファンドは為替が重要だということが実感されます。
ところで、乙は、この半年の純資産総額の変化にも注意しました。前期末 124,445 百万円が、当期末 109,806 百万円になっています。(109,806-124,445)/124,445×100 で計算してみると、11.76% の減少です。3.47% が運用結果のマイナス分ですから、11.76-3.47=8.29% も純資産総額が減っています。このことは、この半年間にけっこう解約者がいたということを示しています。ちょっと心配です。ただし、まだまだ純資産総額は十分に大きいので、ファンドの将来を心配するほどのことはないと思います。
運用報告書を読むと、ファンドの実際の動きなどが手に取るようにわかるものなんですね。その意味で、運用報告書はたいへんおもしろいと思いました。
信託報酬 67 円を公社債利金 349 円と比べると、約2割ということになります。債券の儲けの2割が手数料として取られてしまうということで、けっこう高いですね。今だったら、こういうファンドは買わないだろうと思いますが、2年半ほど前にはそんなふうには思わず、買っていたのです。一度買ってしまったら、すぐに売却するのももったいない(購入手数料分の 2.1% がムダになる)ので、もう少し保有したままにしますが、ホンネは早く売却したいというところです。
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