内容は、タイトルが明示しています。2年前の本ですが、その記述は今に通じるように思います。
日本がまもなく破産するということで、その道筋などを示しています。
序章「日本国破産の読み方」では、なぜ日本が破産に至るかを書いています。国債60年償還ルールなどを読むと、「その通りだなあ」と思わざるを得ません。
第1章「国家破産で甦る日本経済」では、日本の現状ではおかしなことがいろいろあるけれども、一度破産してからでないと、日本経済は甦らないと読めます。厳しい現状認識です。
第2章「いよいよ「2008年」まであと2年」が一番おもしろかったところです。p.90 から、日経新聞が2008年8月8日に郵貯等の不良債権をスクープし、そこからどんな過程で「破産」に至るかが書いてあります。日付は単なる予測に過ぎませんが、しかし、ここに書いてあることは、実際にあり得る話だと思います。
p.97 から、韓国での破産処理について書いてあります。こちらは最近現実に起きたことですから、迫力があります。現在の韓国では、1割が貧困層だということで、経済運営はなかなか大変なようです。これを踏まえて日本に対する予測を書いているので、それなりにもっともらしく思いました。
第3章は「国債の魔力と郵政民営化の落とし穴」で、歴史的に見て日本の国債がどんなふうに出現し、どうなったかを述べています。今に至るまでの歴史を知ると、国債地獄はなかなか抜け出せないものだと思います。さらに、消費税の益税の問題やサラリーマンに対する懲罰税制の問題点を指摘し、所得税は、課税最低限を引き下げ、一律 10% の税率にするというような過激な策も提案されます。今の政治家(およびそれを選挙で選んでいる日本の国民)を見れば、こんなことは通らないと思いますが、興味深い話です。
本書の最後の部分(p.177 以降)は郵政民営化の問題点を述べるところですが、特に p.200 からの「郵政民営化に内包する三つの時限爆弾」がおもしろかったです。いつ爆発するのか、わかりませんが、こういう恐いものを抱え込んでの「民営化」なのですね。郵貯・簡保・郵便のそれぞれが問題を抱えているということが書いてあります。
この本は、日本の今後を財政の観点で考える上で有意義だと思います。ただし、乙は、森木氏が 2008 年にこだわっていることが引っかかります。いつかは起こるにせよ、「いつ起こるのか」は、結局、誰もわからないのではないでしょうか。もっとも、そんなあいまいなことでは本は売れませんから、「執筆時の3年後」というのが、この手の常套文句です。乙は、個人的には、日本国破産は2008 年よりももう少し先の話のように思います。今が 2008 年だから「今を基準に3年後→もう少し先」といっているわけではありませんが、いざ、書いてみると、そんなふうに響きますね。
ともあれ、日本の財政の現状をどう見るべきかを考える上で、大いに参考になる本だと思いました。