-2006年10月13日-
ワールドキャピタルは、http://www.worldcapitalinc.com/ が提供している商品になります。当ファンドは、オプション取引に特化した運用を行っており、2004年3月に開設されて以来、非常に堅実な成長をしております。
本来、最小投資額150,000ドルからのご利用ですが、弊社を通じては50,000ドルからのご利用が可能です。マネジメント・フィーは0、インセンティブ・フィーが25%で、実績を見ますとローリスクでありながら、非常に大きなリターンが期待できる商品です。
HPからもご覧いただけますが、過去3年間の実績は、2006年 21.60%、2005年 21.25%、2004年 24.97% となっており、開設以来ファンド全体の成長は84.54%と、過去3年間で2倍に迫る成長をしております。
-2006年12月7日-
【広告】先月より弊社で販売を始めたワールドキャピタル、10 月度の実績は-1.6%でしたが、年初来では19.65%と依然として高い実績をキープしております。投資金額は5万ドルより。
-2007年1月29日-
【広告】ワールドキャピタルの12月度の実績は1.96%でしたが、2006年全体では27.42%と過去3年間で最高の実績でした。5万ドルからのオープンエンド型ですので、いつでも始められ、いつでも償還が可能です。
-2007年3月29日-
【広告】クレジットスプレッドのプットとコールを組み合わせたコンドルを基本戦略とするワールドキャピタルの2月の実績は-4.06%、年初来では-0.67%でした。2004年の運用開始以来、毎年20%台の実績を誇っており、今後の巻き返しが期待されます。
-2007年4月18日-
【広告】ワールドキャピタルはS&P 500のオプションを専門に運用を行います。今年2月、3月はマイナスとなりましたが、2004年からの運用開始以来、毎年20%台の実績でを記録しており、今後の回復が大きく期待されます。
このようなファンドをどのように考えるべきでしょうか。
これについては、SCHWAB Capital Advisors について乙が考えたこと
2008.1.1 http://otsu.seesaa.net/article/75411067.html
とほぼ同じことが当てはまります。
オプション取引は、継続的に好成績を上げているようでも、いつなんどき、成績が大幅に下がってしまうか、わかりません。過去3年間に毎年2割を上回る好成績を上げたとしても、その翌年も同様だとは期待できないのです。
メール類を見ると、2007 年の2〜3月に成績が下がっても、この広告の文面では、(仲介業者が)強気であることが見てとれます。
さて、ワールドキャピタルは、その後どうなったでしょうか。メール広告を見てみましょう。
-2007年12月21日-
Q:ワールドキャピタルのHPが閉鎖状態になっていますが、何かあったのですか。
A:先月後半より取引を見合わせているようで、こちらでも○○(乙注:原文には社名が入っていましたが、伏せました)社経由で問合せてみたところ、本日回答があり、ワールドキャピタルは事実上、運用を停止しました。以後、取引再開の目処はないようです。
おやおや、驚きの結果です。2007年には運用成績がまったくダメになってしまったのです。今はサイトもないというわけです。おそらく潰れたのでしょう。恐い話です。
ワールドキャピタルについて、WWW を検索してみると、
http://blog.livedoor.jp/globalprice/archives/51037807.html
に「2007年10月13日」の日付で、次のような記事があります。
ワールドキャピタルについて
今年前半まで弊社も自信を持ってお勧めしていたワールドキャピタルですが、年初来運用が現在のところ5割のマイナスを計上しています。今年2月末に上海株式市場の急落に端を発した世界同時株安、さらに8月のサブプライムショックへの対応がうまくなく、ビジョン社は自己資金での運用を中止しました。弊社としても、ワールドキャピタルで運用されているお客様には、他の運用先への切替えをご案内してゆく所存です。
このファンドは3年間も好成績をキープしたあと、急激なマイナスになったことがうかがえます。
オプション取引の恐さでしょうね。こんなことがあるのです。
このファンドは5万ドルからの投資ですから、こういうファンドに5万ドルをポンと出せる人は、ファンドが破綻して5万ドルが蒸発してしまっても、それに耐えられる(リスク許容度が高い)人なのでしょう。
逆にいうと、5万ドルの蒸発が恐い人は、手を出してはいけなかったと思います。
乙は、ワールドキャピタルについて、目論見書などを読んだわけではなく、投資のスキームについてもよく知りません。ただ単に某社からのメールを見て、興味を持ち、「どうしようかな」などと考えていたら、1年が経ってしまいました。「そういえば、前に何かメールがきたことがあったな」と思い出して以前のメールを見てみたら、上に示したようなことが書かれていました。
そして、今になって WWW を検索してみたら、直接関連する情報が日本語で書かれていたわけです。
乙は、このファンドを買わなくてよかったと思いました。これがたまたまの結果論なのか、信念を持って「断固買わない」と決めたのかは大きな違いです。残念ながら、乙は前者でした。1年前には「買ってもいいかな」と思っていたのでした。乙の知識が不足していたということもあります。当時は、たまたま投資金額が不足して(5万ドルが工面できずに)、買おうにも買えなかったという面もありました。
ひるがえって考えてみると、SCHWAB Capital Advisors
2008.1.1 http://otsu.seesaa.net/article/75411067.html
も似たような話ではないでしょうか。もちろん、このファンドが破綻するとは限りませんし、好成績をキープすることもあるでしょう。しかし、いつ破綻するかわからないというのも現実なのです。
そして、今の乙は、SCHWAB Capital Advisors について、資料などを調べた上で、信念を持って「自分では買わない」と判断できました。乙は、この1年ほどの間に、自分自身が少しは成長したような気がしています。
ところで、最初の-2006年10月13日-のメールにある「ローリスクでありながら」はどう解釈すればいいのでしょうか。このファンドは、1年もしないうちに、実は大変ハイリスクなファンドであることが証明されました。この仲介業者もハイリスクに気が付いていなかった(過去3年間はローリスクに見えた)のか、仲介業者が(ハイリスクを知っていても)ウソをいっていたのか、どちらなんでしょう。前者であれば、どのくらいのリスクがあるかがほとんどまったく判断できない業者であるということになりますし、後者であれば、ウソをつくような業者であるということになります。いずれにせよ、乙としては、こういう業者とは付き合いたくないという気持です。
この世界では、本質的にローリスク・ハイリターンの金融商品なんて存在し得ないのです。
個人投資家は、自分で考え、自分で判断しなければなりません。何を信じるか、何に頼るかもまた自分で判断するべきことです。投資というのは、真の意味での「自立」が必要な世界なのですね。
いい勉強になりました。