乙が読んだ本です。
タイトル通りの内容です。
著者の山本氏は不動産業界を知り尽くしている人のようです。現在はハワイ在住だそうですが、もしかして日本国内に在住していると、ちょっとやばいところがあるのでしょうか。(失礼な言い方ですが、これは乙の勝手な推測です。)こういう告発本を書く以上、著者の名前はペンネームなのでしょう。
p.11「本書に書かれていることは、すべて「不動産ファンド当事者」から提供された極秘情報をもとにしている。」とあります。こういう言い方は、相当に気になります。第1に、情報が「極秘」ならば、そのことは本に書けないものです。書いてしまったら、提供者に迷惑がかかるのは当然でしょう。そもそも提供者が山本氏に語ったところで「極秘」ではなくなっています。第2に、出典不明の情報は、第三者が確認できないから信頼できないものだといえます。公表されていない情報だから、出典はないとすれば、やはり真偽不詳という扱いをされなければなりません。第3に、極秘情報をもとにして、なぜこういう本を書くのか、著者に何のトクがあるのかという問題です。印税がそんなに大きいとは思えません。本を書くよりも、極秘情報を活かす別のやり方があるように思います。乙は、極秘情報の提供者のかなりの部分が山本氏自身ではないかと思います。つまり、自分の経験した話を書いているように読めます。それくらいにリアルです。
p.108 REIT が私募ファンドの出口になっているという点を指摘しています。p.138- にも同様の記述があります。不動産ファンドで儲けるのは私募型であって、REIT ではないということです。それはそうかもしれません。しかし、REIT には明確な出口戦略がないわけでしょうから、この話は衝撃的です。
p.137 不動産ファンドの実態は不動産転がしだとしています。本来の家賃収入に基づく運用ではないというのです。これは、投機的な動きであり、こういうビジネスが長期的に安定して行われるとは思えません。
p.168 マンションなどの建設反対運動を描いていますが、反対運動にはカネだというのは興味深い事実でした。裏の世界の汚いところですね。まあ、結果的にうまく再開発できればいいのでしょうが。
本書は、不動産ファンドを中心にして、業界の汚いところを詳細にレポートしています。
こういう本を読むと、J-REIT などに投資する気は起こらなくなります。
まあ、もともと乙は J-REIT には、否定的でしたが、
2006.3.27 http://otsu.seesaa.net/article/15545891.html
最近、J-REIT 指数(東証 REIT 指数)を調べてみると、
http://www.ares.or.jp/jreit/k_jreit_001a.html
http://quote.tse.or.jp/tse/quote.cgi?F=histidx/HistIndex&basequote=155&mode=D
いやはやすごいことになっています。一時 2500 ポイントにもなっていたものが、最近は、1400 ポイントを下回るようになっているのですからねえ。
J-REIT には、いよいよ未来がなくなってきたように感じます。
でも、もしかしたら、外国の REIT も同様な問題を抱えているのでしょうか。単に日本の投資家まで情報が届いていないということでしょうか。