http://www.iima.or.jp/
が主催する第16回 国際金融シンポジウム「サブプライム危機と国際金融の新局面 〜危機の教訓とこれからの国際金融・通貨体制の展望〜」
http://cos.congre.co.jp/iima2008/j/
に参加しました。サブプライム・ローン問題を取り上げたシンポジウムでした。
東京會舘で行われました。参加者は 300 名ほどだったでしょうか。
最初に、行天豊雄氏による挨拶がありました(17:00-17:15)。挨拶といっても 15 分もあるもので、ちょっとした講演並みです。しかし、中身はあまりなく、すでに知られているようなことに過ぎませんでした。
挨拶が始まると、会場にいた参加者たちが一斉にペンと紙を取り出しメモを書き始めたことに驚きました。不思議な感覚でした。
次に竹中正治氏の基調講演(17:15-17:36)がありました。
内容は、Web でも(PDF ファイルで)見ることができます。
http://www.iima.or.jp/pdf/200803-2.pdf
当日はこれがパワーポイントで示されました。
米国は景気後退になっており、今年の後半にならないと回復しないだろうということでした。
続いて、ロバート・A・フェルドマン氏の講演(17:36-18:00)でした。
資料は Web にありますが、
http://www.iima.or.jp/pdf/20080305-f.pdf
実際は、その4ページ目を主として示しながら、いろいろな話が進みました。
サブプライム・ローン問題では、債務者も債権者も監督者もそれぞれの立場で間違いを犯しているという主張でした。倫理が欠如し、解決まで時間がかかるだろうということが印象的でした。
それから、パネルディスカッションになり、小島明氏(18:00-18:13)に続いて、榊原英資氏(18:13-18:20)が話しました。現状を金融バブルの崩壊ととらえ、金融収縮が起こっている以上、まだまだ問題は拡大し、日本も深刻化するということでした。
そのあとで、司会者を含め5人によるディスカッションになりました。榊原氏は、為替に関して話題が振られ、円安バブルの崩壊だとし、1年〜1年半は円高になり、株も下がるだろうという見通しを述べました。フェルドマン氏は、G7という枠組みを古い仕組みだと指摘し、中国やインドなどをくわえるべきだとしました。行天氏は、アメリカの経常収支赤字額の対GDP比は下がるだろうとし、円もドルも安いがどちらかというとドルがさらに安くなるという見方を示しました。
為替は、きわめてむずかしいものなので、これらのパネリストがきちんと予想できるとは思いません。まあこういう意見もあるという程度で十分でしょう。
その他、一次産品の価格上昇の問題、SWFの問題、サブプライム・ローン問題の今後の見通しなど、いろいろな話題に関して話が展開しました。19:03 に終了しました。
全体としての感想ですが、日本の現状の把握、今後の経済見通しとしては、すでにあちこちで言われていることを再確認する意味合いが強く、新しい解釈とかが聞けたとも思えません。シンポジウムとしては、まあこんなものかなという感じです。
ついでに言えば、榊原氏はマイクの使い方が下手で、前を見て話すだけでなく、ときおり左右にいるパネリストを見ながら話すために、マイクと口との距離が大きく変わり、スピーカーを通して聞くと音量の変化が大きくなり、しばしば聞こえにくくなってしまいました。また、マイクの前でガハハと笑うので、その笑い声が会場に大きく響き、その間の他の発言者の声が聞き取りにくくなりました。マスコミ慣れしているはずの人なのに、意外な側面がありました。
19:10 からレセプションがありました。乙は、会場に来ている人たちがどんな人なのか、よくわからなかったので、参加者の一人 I さんに声をかけてみました。I さんは、某銀行のリテール関連部門に所属しているということで、乙が個人投資家であることを言うと、ラップ口座などを勧められてしまいましたが(笑)、乙は、ラップ口座には手を出さないと決めているので、
2006.10.11 http://otsu.seesaa.net/article/25246641.html
I さんの営業活動は不発に終わりました。
それはともかく、シンポジウムにはこういう銀行関係者などが聞きに来ているのだなあと思いました。
乙は、単に日経BPの関連サイトで見かけて、申し込んだだけですが、シンポジウムを聞いて、レセプションにも参加できる(しかも全部無料)というのはありがたい話でした。こういうシンポジウムを毎年1回行っているとのことなので、次回も参加してもいいかなと思いました。
財団法人 国際通貨研究所は、三菱東京UFJ銀行の日本橋別館の12階にあるとのことですから、三菱東京UFJ銀行の系列の組織なのでしょう。今回の国際通貨研究所関係者でシンポジウム登壇者のプロフィールを見ても、旧東京銀行の関係者が多いようです。
ラベル:国際金融シンポジウム 国際通貨研究所