2008年04月23日

浅川夏樹(2008.2)『グローバル化時代の資産運用』パンローリング

 乙が読んだ本です。「ハッピーリタイアメントを目指して」という副題が付いています。
 海外投資に関する非常に詳しい1冊です。ご本人は「銀座ホステス」と名乗っていますが、そこいらのホステスが書ける内容ではありません。たとえば巻末には以下のような記事があります。
付録A ニュースサイト一覧(ヘッジファンド一覧を含む。URL付き)
付録B オフショアファンド会社一覧(URL付き)
付録D 参考文献・投資で読んで役に立った本
 これらを見るだけで、著者の勉強ぶりがうかがえます。すごい人です。
 目次を掲載しておきましょう。

第1章 グローバル化時代の投資思考
第2章 グローバル化時代の投資戦略
第3章 多種多様な海外の金融商品
第4章 グローバル企業への投資
第5章 エマージング諸国への投資
第6章 資源・環境技術への投資
第7章 ヘッジファンドへの投資
第8章 グローバル化時代の資産管理

 第3章ではオフショアファンドや海外 ETF に目を向けます。第8章でもオフショアファンドを扱いますが、それ以外にラップ口座やプライベートバンクにも言及しています。このように、本書は、幅広く海外での投資を見渡したものです。
 p.46 に著者のポートフォリオが載っています。興味深いものがあります。ちょっと債券が少ないように思いますが、それが著者の考え方なのでしょう。本書を通読した後では、一体著者の資産はいくらあるのだろうと思ってしまいました。数億円レベルでしょうか。10億円を越えるのでしょうか。ともあれ、著者のポートフォリオは、それなりの金額を投資している人のものだし、本書の記述内容が、そういう背景で書かれているように思いました。
 pp.47-48 に考えられる資産配分の例が出てきます。ヘッジファンドを一部(15-20%)組み込むのが浅川流です。
 p.49 左側のグラフ、パーセンテージを足しても 100 になりません。ミスです。
 p.83 「マザーファンドとベビーファンドの違い」と題した表を載せていますが、表の本体は「国内ファンドとオフショアファドの違い」を示しています。国内ファンドがベビーファンド、オフショアファンドはマザーファンドということなのでしょうか。ちょっと違うような気もしますが、……。
 p.87 最後の4行の説明がおもしろかったです。「米国は世界のお金を集め、その資金を世界各地に投資する「世界の投資銀行」であり、中国は「世界の工場」であり、次第に「世界のリスク投資家」になりつつあります。日本は低金利の円を世界に貸し出し、微々たる手数料を稼ぐ「世界のATM」です。オフショアは、こうしたグローバルな資金の金庫であり、資本を蓄積する「世界の地下銀行」といえるかもしれません。」
 たったこの4行で、世界の動きをピタリと説明してしまいました。
 p.114 空売り ETF の一覧表が掲載されています。こんなにたくさんあるとは知りませんでした。
 p.189 金 ETF に関する議論ですが、最後の4行が乙には理解できませんでした。「そして、日本の金ETFにはもう一つ問題があります。それは円建てであることです。価格は金現物価格の国際的な指標であるロンドンの現物取引の価格に連動するため、大証の金ETFは国内で円建て金現物に投資するのと同じ効果があると思います。ただし、金の国際取引は基本的にドル建てです。つまり、円建てでは現物価格よりも為替相場の変動に影響を受けやすくなってしまうのです。」金を円建てで購入していることは、ドル建て価格+為替変動で金を持っていることと同じです。だとしたら、円建てで持っていても何も問題はないように思います。海外でドル建てで金を持っていても、(円で考える限りは)為替相場に影響されるわけです。円建てと何も変わらないのではありませんか。
 p.222 a(エイ)→α(アルファ) 2箇所ありますから、ミスプリではなく、著者の勘違いです。
 p.259 デビッドカード→デビットカード 2箇所ありますから、ミスプリではなく、著者の勘違いです。
 ちなみに、
http://www.business-i.jp/news/for-page/asakawa/200804200001o.nwc
の記事にも「デビッドカード」という表記がありますから、浅川氏がこの単語を間違えて記憶していることが確認されます。
 p.287 海外投資の運用アドバイザーは相談料が1時間あたり1万円だと書いてあります。こういうのも貴重な情報でした。この1万円を気楽に出せる人は、やはり資産総額が1億円以上ある人でしょう。資産1千万円の人の場合、1万円は 0.1% にあたりますから、ちょっと気になる金額ですし、それ以下の資産の人は、1万円を払う気がしないでしょう。

 本書は、海外投資をしようという人に対して、一つの立場(浅川氏が実際に経験したこと)からアドバイスする形になっています。著者のさまざまなうんちくが聞けるだけでも有意義だと思いました。
 ただし、本書の記述は資産がかなり(数億円程度?)ある人向けのように受け止めました。そこで、浅川氏自身がそのような資産をお持ちなのだろうと推測したわけです。


ラベル:浅川夏樹
posted by 乙 at 03:53| Comment(1) | TrackBack(1) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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