115 ページほどの、やや薄い本ですが、タイトルがタイトルだけに、思わず購入してしまいました。
給与所得者の場合でも、払う税金をゼロにしようという主張です。
本書の要点は、p.45 に出てきますが、雑所得を事業所得にすることです。p.60 にあるように、個人事業主と個人は税制上別物となります。この違いが「開業届」の有無だけに基づくというのは知りませんでした。
ともあれ、こうして、事業所得で大きくマイナスになるようにすれば、給与所得と通算することで、所得の全体が小さくなり、したがって無税になるというわけです。なるほど、理屈は通っています。
只野氏は、年収が 500 万円であれば、事業所得の赤字額が 60 万円程度で無税にできるとのことです。
さて、では、乙は只野氏のいうような方法で無税になれるでしょうか。考えてみると、ちょっと無理かなと思いました。
現在、乙の場合、給与所得と雑所得がありますが、雑所得に対しては、すでに必要経費などを算出して毎年確定申告しています。その経験では、雑所得の総額を大きく上回るような「必要経費」を計上することがむずかしいように思えます。
たとえば、遊びで海外旅行をするにしても、それが原稿執筆のための「取材費」で必要経費だと主張することになるのでしょう。
このあたりは、個人ごとの事情の違いが大きいでしょう。
あれこれ計算すると、もしかしたら、乙の場合も、事業所得を大きくマイナスするようなことができるのかもしれませんが、数百万円分の「必要経費」をひねり出すことは、乙には無理のようです。どうがんばったって、日常的にそんなにお金を使っていないのですから、必要経費を膨らませることは「ウソをつく」ことと同じになり、これでは合法的な節税ではなくなります。
乙の場合、60 万円程度の赤字では、払うべき税金が多少は少なくなるかもしれませんが、あまり変わらないように思います。
まずは、日常生活を見直して、支出の全体を把握し、何かの「事業」に対する必要経費として見なせるかどうか、徹底的な洗い出しをしなければなりません。その上で、実行可能だ(かつそれが節税につながる)ということを確認するべきです。この作業は、かなりマメな人でないと、やりきれないような気がします。只野氏は、きっとそういう性格の人なのだろうと想像しました。