ヘッジファンド苦戦
日本対象の昨年度 残高1兆2000億円減
株式を中心に日本の資産に投資するヘッジファンドが苦戦している。2007年度の運用成績は年度べースで過去最悪を大幅に更新した。成績悪化を嫌気した顧客の解約もかさみ、年度末の運用資産は一年前に比べ約1兆2千億円減ったもようだ。足元では資金流出に歯止めが掛かりつつあるが、本格的な資金流入に転じるには運用成績の安定が条件になる。
調査会杜のユーリカヘッジ(シンガポール)が、日本の資産だけを組み込んだ約260本のヘッジファンドを集計した。投資対象の約9割が株式で、割安株を買い、割高株を空売りする「ロング・ショート」と呼ばれる運用方式が大半を占める。
07年度の運用成績はマイナス8.6%となり、同杜が調査を始めた00年度以降では最悪だった。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の深刻化で、年度後半に株式相場が急落したことが響いた。サブプライムローン問題の余波で投資家のリスク回避姿勢も強まり、解約も相次いだ。ファンドに資金を貸し付けていた金融機関の資金引き揚げも起きたようだ。
この結果、07年度末の運用資産は226億5千万jと一年前に比べ107億6千万j減った。年問の平均為替レート(1j=114円)で換算すると、約1兆2千億円減ったことになる。減少は二年連続だが、減少額は06年度に比べ1.5倍強に膨らんだ。
株式市場ではヘッジファンドの解約に伴う換金売りが、昨年後半以降、株価の上値を抑えてきた。ただ、3月下旬以降の相場回復で「換金目的とみられる売りは止まった」(欧州系証券トレーダー)との指摘もある。安定運用志向が強い国内の年金基金はまだ日本株ヘッジファンド投資に及び腰だが、運用成績がプラス基調になれば再び投資に動く可能性もある。
ロング・ショート戦略といいつつ、運用成績が -8.6% になったという点が気になりました。
もしも、割安株を買う戦略に資金の半分を、割高株を売る戦略に資金の半分を割り当てれば、株価が上がろうと下がろうと、儲けが出るはずで、それがロング・ショート戦略の基本です。しかし、運用成績が現実にはマイナスになったということは、ロング・ショート戦略といっていても、資金を半々に割り当てているわけではなく、割安株を買うほうに多めに割り当てているということです。
最後のパラグラフでも、同様のことが読み取れます。「ヘッジファンドの解約に伴う換金売りが、昨年後半以降、株価の上値を抑えてきた」ということは、「割安株を買う」ほうに大量の資金を割り当てているということです。
ヘッジファンドは、インデックスほどには値下がりしていないからいいという考え方もあるでしょうが、しかし、一般論でいえば、ヘッジファンドはインデックス投資と違う戦略をとるからこそ、存在意義があるわけで、インデックス投資をするためにヘッジファンドが存在するわけではありません。投資家の立場でいえば、インデックス投資に資金の大部分をあてて、一部の資金でヘッジファンドに投資するのであって、だからこそ、ヘッジファンドはヘッジファンドらしく、独自の(それぞれのファンドごとの)戦略で市場に立ち向かっていくべきだと思います。
今回の日経新聞の記事は、ヘッジファンドが、自分なりの戦略をうたっていても、実はその戦略だけを真正面に据えて中心的に投資しているわけではないことを明らかにしてくれたように思います。「なあんだ、そういうことなのか」という感じでした。
ヘッジファンドといっても、大部分のファンドは大したことをしていないように思えます。
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ラベル:ヘッジファンド ロング・ショート戦略