乙が読んだ本です。「コスト削減の真実」という副題が付いています。題名に引かれて、読むことにしました。
乙は、A4のコピー用紙(実はプリンタ用)で不要になったものは、1/4 にカットしてダブルクリップで綴じてメモ用紙にすることはありますが、そのままの再利用はしません。しかし、妻がプリンタに裏紙を入れているのです。しばしばどちらが表(必要な情報)なのかわからなくなっていて、混乱しています。そこで、妻にこういう本を読ませて、裏紙を使わないようにさせたいと思いました。不純な動機ですね。
しかし、本書を読み始めると、コピー用紙の裏を使う話は p.48 以降の2ページほどで終わってしまいます。本書全体は、コスト削減の話だったのです。著者の村井氏はコスト削減総合研究所代表取締役社長だそうです。道理でコスト削減の話がメインになっているわけです。
では、コスト削減という面から見て、この本はおもしろかったでしょうか。乙の感覚では、あまりおもしろくありませんでした。もちろん、それぞれの企業でコスト削減の余地があり、そういうことを意識するべきだという主張は理解できます。問題は、具体的なコスト削減のやり方です。
村井氏は、コンサルタントとしていろいろな企業でのコスト削減に取り組み、その現実を知っているのでしょう。本当におもしろいのは、そういう具体的な取り組みを(数値を示して)詳細に記述することです。しかし、本書では、そこまで詳しく書いてありません。紙幅の問題でしょうか。あるいは、詳しく書くとその企業が特定されて、問題になるのでしょうか。結果的に、本書は多数の企業に通用する一般原則を並べるスタイルになるのですが、そうやってみると、一般原則はみな当たり前の言いぐさにしか聞こえません。それぞれはもっともだと思いますが、「だからどうなの? その先は?」といった感じです。妙に中途半端な読後感を持ちました。
ところどころ、具体的な数字が出てくるところもありますが、そのような記述はあまり多くありません。コスト削減といっても、電気代・ガス代・水道代あたりがメインの話です。似たような話が繰り返されるような印象がありました。
最近は、書籍の内容をまとめるような題名を付けずに、一部の章や節の記述内容をそのまま書名にする命名法が盛んです。目を引いて、注目されやすいのは事実ですが、読んだ後に悪い印象を持つのでは、逆効果ではないかと思います。