2008年07月25日

副島隆彦(2008.3)『連鎖する大暴落』徳間書店

 乙が読んだ本です。「静かに恐慌化する世界」という副題が付いています。
 内容は過激です。読み始めてすぐの p.13 に本書の要約が出ています。ドル・円相場は、2008年末には100円割れを確定し、2009年は80円代、2010年は60円台になるということです。ニューヨークの株式は、1万ドル台を割って6000ドル台まで落ちていくそうです。一方、金(きん)は、東京市場でいうと、1グラムあたり今の3300円前後が倍の6000円を目指すというわけです。したがって、投資をする立場からいえば、アメリカからは逃げ出すべきで、金にシフトするのが正解だということになります。ついでにいえば、(pp.18-19 参照)日本株もアメリカ株の大暴落にあわせて下落していくとのことです。
 さて、こんな本を読んだ後、副島氏を信じてアメリカから逃げ出すべきでしょうか。
 p.17 では、前著『ドル覇権の崩壊』(2007.8.3 刊行)で、2007.8.17 の大暴落をあてたという自慢話が出てきます。「日本の株価はあまり下げない」と書いた点だけがはずしたというわけです。乙は、こういう話は、あまり信じないほうがいいと思います。本当に副島氏がアメリカ株の下落を予想しているならば、それに対して自己資金を投入すればいいのです。たとえば、
http://www.doblog.com/weblog/myblog/31550/2619819#2619819
にあるように、
Ultra Short Dow 30 (DXD)
Ultra Short S&P 500 (SDS)
Ultra Short QQQ (QID)
あたりを買えばいいのです。
 ドルの価値がなくなること(ドル安)を予想しているときに、ドル建て資産を持つなんてできないというならば、FX(外国為替証拠金取引)を利用して、ドルの売りポジションを取ればいいのです。FXならば、レバレッジを効かせることも簡単ですから、20倍とか(業者によりますが)100倍とかのレバレッジが可能です。
 1500円の本を書いて、1万部売れたとすると、印税は(普通 10% ですから)150万円です。FXで100万円預けて、レバレッジ20倍で1ドル100円でドルを売れば、20万ドル相当になりますから、1ドルが60円になれば、20万ドル分で800万円の儲けが出ます。本を書くよりもはるかに大きな儲けが期待されます。
 予言者は、予言本を書くよりも、自分で実行するべきです。それが予言を金に換える方法です。
 こんな有利な話がころがっているのに、なぜ副島氏はそういう戦略をとらないで、手間暇をかけて本を書いたりするのでしょうか。この点は乙が理解できないことです。
 p.209 では、資金がなくて借金したお金で「売り」をしてはいけないと書かれています。レバレッジを効かせることも「借金」の一種ですから、副島氏はFXはやらないのでしょうかね。それにしてももったいないことです。
 p.38 では、アメリカの株式大暴落について、4月15日、7月15日、10月15日、2009年1月15日と3ヵ月ごとに起こるとしています。これはすばらしい! 1年後に検証してみたいと思います。
 乙は、こういう検証(しかるべき時間が経った後の検証)が大好きです。たとえば、
2006.12.13 http://otsu.seesaa.net/article/29525783.html
などに書きました。
 p.80 では、アメリカの借金について、40兆ドルと断定的に述べています。しかし、その根拠は一切示されません。
 pp.96-97 アメリカの株価は、数年後には3000ドル台まで下がるとしています。p.13 では、アメリカ株の大暴落について、時期が明示されませんでしたが、この記述から、6000ドル台になるのは「数年後」よりも早いということになります。
 pp.210-214 ドルが60円台になり、ニューヨークダウが3000ドル台になる根拠について書かれています。何と「波」だそうです。コンドラチェフの波やクズネッツの波などを挙げています。こういう「波」は、今までの周期が繰り返されるという点で、テクニカル分析と同じことです。信じる・信じないは個人の自由ですが、こういうものを根拠にして、こんなにも断定的にものを言ってしまっていいものでしょうか。

 本書は、全体に、断定的な語り口が気になります。ロックフェラー流の陰謀だという話や、オバマ次期大統領が公共投資に走るということなど、話としてはおもしろいのですが、乙は、そういう話には「根拠」が必要だと思います。スパッと社会を切って見せて、「自分の見方で世の中を見れば、これこの通りなんだ」というのは簡単でしょう。結果的にそれが「あたる」こともあるでしょう。しかし、投資のように将来(かなり遠い未来)にかけるような話のときは、そういう「話」だけではあまりにも不確実です。乙は、多くのインデックス投資本のように、データ(根拠)を示して、こういう投資法が良いと述べてあるものが望ましいと思えます。
 さて、こんな本を読んだ後、副島氏を信じてアメリカから逃げ出すべきでしょうか。乙は逃げ出しません。


ラベル:大暴落 副島隆彦
posted by 乙 at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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