2008年5月から「ふるさと納税制度」が始まったことを受け、この制度を利用するかどうか、1032人に調査した結果です。ふるさと納税制度を知っているという 675 人の回答は、「利用しない」550 人、「利用したい」116 人、「すでに利用した」9 人という結果でした。利用しない人が大半なのですね。
なぜ、こんなにも「利用しない」人が多いのでしょうか。記事によると、理由の1位は「金銭的余裕がない」だそうですが、これは誤解です。この制度は、ふるさとに寄付をすれば、その金額から 5000 円を引いた金額を所得税・住民税の税額から引きましょうというものですから、これを使う場合と使わない場合ではほとんど差がありません。(5000 円だけ余分に支出することになりますが、大きな問題ではないでしょう。)住民税の控除額は住民税の1割が上限とのことですから、それから計算して、うまく収まる程度の金額を寄付すればいいのです。
さて、乙はどうするか。
乙は、自分の年収の1割を目標にあちこちに寄付をしています。
2007.1.2 http://otsu.seesaa.net/article/30693018.html
その意味では、このような自治体への寄付も十分考えられる選択肢の一つです。
ただし、寄付したお金がその後その自治体のどのようなところに使われるのか、それがはっきりしないところが問題です。記事では「自治体によっては、寄付の使い道を明示しているところもある。」とのことですが、仮にそうしたって、自治体の当初予算から、その使い道に回される金額が寄付分だけ減らされるに過ぎませんから、寄付者の意図は実現しません。これはある意味で寄付した人をだましていることに該当します。結果的に残るのは寄付者の自己満足に過ぎません。つまり、自治体が、寄付者の本当に使いたい方向に使ってくれるとは限らず、当初予算の通りに使うことになるのです。お金には色がありませんから、自治体としては、自治体ごとの税収も、国などからの交付金(補助金)も、寄付も、全部一緒くたにして使うことになります。
というわけで、寄付先の地方自治体が何に使ってもいいと考えられる場合にだけ寄付をするほうがいいでしょう。
では、地方自治体は何に使うでしょうか。乙は、ここがやっぱり問題だと思います。お役人の人件費に使われる分はどれくらいあるのでしょうか。道路予算やハコモノ行政に使われるのはどんな割合でしょうか。地方自治体の予算・決算などをこまかくチェックして、自分で納得できるようにしないと、単に「地方自治体に寄付をする」というだけでは済まないことになります。
そんなことを考えると、ふるさと納税制度は、簡単に始められないように思いました。
なお、新聞記事では「夫婦と子ども2人で年収700万円の世帯が10万円の寄付をすると、税額は計 48,400 円軽くなる。」と書いてありました。寄付した金額だけ所得税・住民税が安くなるという説明ですから、寄付をしたらその分の全額が税額から引かれると思うのですが、そうではありません。ここは、もう少し、税金の計算法などを解説してほしかったです。
ネットでは、たとえば、
http://www.town.fukui-wakasa.lg.jp/town/furusatonozei/keigen.asp
などで、税金のことが詳しく説明されています。このあたり、よく確認して行わないと、予想外に税金が増えてしまう結果になりかねません。
さて、乙はどうするか。今の段階では、「ふるさと納税」制度は使わないことにしようと思っています。