乙が読んだ本です。「海外で半分遊んで半分働く豊かな暮らし」という副題が付いています。
著者の滝沢氏は、カナダに長く(9年ほど)住んでいらっしゃる方です。
乙は老後に海外での生活を考えているのですが(実現するかどうかわかりませんが)、そのための本としてもおもしろいかと思って読んでみました。
読んだ後では、乙の期待とちょっと(というかだいぶ)ずれているように思いました。この本は、基本的に海外起業の本なのです。
ただ、多くの人(や本)と違うのは、がむしゃらに働く本ではなく、働きながらも、ゴルフやスキーを楽しもうとしているところです。セミリタイアというのはそういう生き方のことです。
著者の滝沢氏は、カナダのワインを日本に輸出することや、自分の住んでいる町に日本人に来てもらおうとすることなど、おもしろい発想で仕事に取り組んでいることもわかります。
p.2 で書かれているように、滝沢氏は初めからサラリーマンをやる気はなく、「父の事業」を手伝うところからスタートしています。つまり、もともと起業家に向いていた人なのです。ですから、本書に書かれていることをそのまま他の人がやっても、起業に成功するとは限りません。むしろ、著者の真意は、自分はこれこれでうまくやったので、みなさんは(人と同じことをするのではなく)それぞれ別のアイディアで取り組んでもらいたいということでしょう。
本書中には、乙が違和感を感じる記述もありました。
pp.10- では、占い師の言葉を信じているという話が出てきます。乙は、占い師はまったく信じていませんので、自分の人生の選択肢に「占い師」は出てきません。単なる「きっかけ」に過ぎないのかもしれませんが、乙だったらこういう本には一切「占い」のことは記述しないでしょう。
p.120 では、自分のホームページを充実させて、「営業マン」とみなしている話が出てきます。それはいいのですが、「肝心な部分は絶対にホームページに載せません。なぜならば、それを載せてしまえば私が持つ情報に価値がなくなるからです。」としています。企業秘密ということで、こうお書きなのかもしれませんが、乙だったら、こういう考え方はしないと思います。滝沢氏の想定している範囲よりもさらに広い範囲の情報をホームページに載せてしまうでしょう。そうすることによって、さらに優れた情報が集まってくるからです。インターネットのすごいところはそういうところだと思います。何もかもさらけだすことがいいことだとは思いませんが。
本書には、海外生活を送るにあたって、ためになる助言もいろいろ書いてあります。
pp.195- では、(カナダでは)不動産投資がいいという話です。そうかもしれません。カナダは、日本と状況が違いますから乙には信じられませんが、カナダ生活が長い滝沢氏は、自分の実感としてそう思っていらっしゃることでしょう。現地で住むことになったら、不動産投資を考えてもいいかもしれません。
ちなみに、乙は、カナダのランドバンキングに投資しています。
2006.8.7 http://otsu.seesaa.net/article/22025403.html
こんなことも意外といいのかななどと思いました。
p.244 には、海外生活では、物価安だけを追い求めるなということが書いてあります。p.256 では高級エリアに住むことをすすめています。なぜそうなのかについては、本書をお読みください。こんな話は、さまざまな経験をした人しかいえないことでしょう。
ともあれ、カナダは、自然に恵まれているだけでなく、税金を初めとする社会の仕組みが好ましい方向にあるように感じます。本書を読んだ後では、乙は、あこがれに似た気持ちを持ちました。カナダでは英語が通じるのもいいですねえ。アジアに住むとかして新しい外国語を覚えるとなると(特に年をとってからは)大変ですからね。
滝沢氏のホームページは
http://www.ogtcanada.com/
にあります。本書を読んだ後にこちらを見てみるとおもしろいです。