1ヵ月も前に出たものです。すでに旧聞に属します。たまたま最近気が付いて読んでみました。
p.33 には、100職種別の推定年収ランキングが掲載されています。
推定年収が多いのは、プロ野球選手、Jリーガー、国会議員、競艇選手、都道府県議会議員、プロゴルファーなどですが、これらは、特殊な職業であり、平均年齢も生涯賃金欄も「−」です。平均年齢や生涯賃金を算出しようがない、つまり算出しても無意味だというわけです。短期間しか働けないようだし、変動も大きそうです。これらを省くと、(平均年齢と生涯賃金が記入してあるものに限ると)ランキングは次のようになります。上位7職種を示します。
職種 | 平均年齢(歳) | 推定年収(万円) | 生涯賃金(万円) |
航空機操縦士 | 35.7 | 1,308 | 47,732 |
大学教授 | 56.5 | 1,122 | 27,432 |
勤務医 | 40.0 | 1,104 | 46,595 |
記者 | 37.8 | 895 | 37,842 |
大学講師 | 42.5 | 767 | 28,435 |
電車運転士 | 39.5 | 613 | 24,925 |
航空機客室乗務員 | 33.8 | 602 | 26,832 |
ここまでが年収 600 万円以上ということになります。生涯賃金の記載がないものも含めれば、弁護士、歯科医師、警察官、高等学校教員なども(記者の下ですが)入ってきます。
パイロットや勤務医は、命を預かる仕事で、まあ高給取りでも当然でしょう。
大学教授は、一見、高給取りに見えますが、実は違います。生涯賃金がかなり低い点に注意してください。また、平均年齢が高い点にも注意してください。大学では、若いうちは専任講師や准教授になっています。教授になるころには平均年齢が高くなってしまうのです。平均年齢が 56.5 歳ということは、たとえば、47歳から66歳くらいまでと考えられるでしょう。生涯賃金でいうと、大学講師やキャビンアテンダントとあまり変わらないということです。
こう考えてくると、記者がかなり高給取りに見えてきます。確かに記者には優秀な人が多いように思いますが、ちょっともらいすぎかもしれません。
上の表には入りませんでしたが、獣医師 563 万円などは、特殊な技能を持っている割には給料が低いといえるでしょう。扱うのが動物の命ですから、人間の命を扱う医者より安いのは当然でしょう。カネの出し手(つまり人間)が、家畜やペットに出せる分しか出さないのですから、給料が安くなる傾向があるのでしょう。
雑誌に出ていた表全体を見て、乙は、実に微妙だと思いました。うまくできているのです。特殊な技能を持っている人は給料が高く、そうでない人は低いのです。給料は社会の縮図であり、実に見事です。
個人投資家というのは、資金を投資に回せるだけの生活の余裕があるということですから、けっこう専門的な職業に就いている人が多いのかもしれません。
p.55 には、給料が高い会社50社の一覧が出ています。テレビ局、総合商社が高いんですね。電通や博報堂といった広告代理店も(テレビ局との関連でしょうか)けっこうもらっているようです。
p.59 から、1部上場 1701 社の従業員の平均年収ランキングが載っています。業種別です。
もちろん、雑誌ですから、データだけでなく、給料にまつわる各種の記事も載っています。本号は、日本の現状を「給料」という鏡で映し出しているように思いました。