http://nippon-credit.com/
OFWというのは、Overseas Filipino Workers、つまり海外で働くフィリピン人のことです。そういう人たちにお金を貸して、その返済金から配当を払うというしくみです。米ドルですが、確定利回り 12% をうたっています。毎月 1% ずつで、1年間に 12% ということです。こういう高配当を見ると、すぐにも飛びつきたくなります。
そこで、上記のホームページから、あちこちたどりながら、一通り見てみました。その結果、少なくとも、この Web の資料から判断する限り、乙は投資しないことにしました。
この金融商品の一番の問題点は、各種リスクについて説明が不十分なところです。
ホームページでは、「低貸し倒れリスク」と言って、3%から4%と書いています。それはいいのですが、海外で働く人に貸し出す以上、勝手に逃げ出してしまうような人がいたら、追いかけるのはむずかしそうです。貸し倒れのリスクは本当にこんな低率なのでしょうか。
為替リスクについては Web 内に書いてありますが、そこの説明は間違っています。Web では次のように書いています。
日本人参加者は為替リクス【乙注:リスクの間違い】を負うことになりますが、3年契約を選択されれば、契約満了時には36%の配当金を受け取ることになるため、36% までの為替損までは相殺できることになります。つまり、1ドル/100円で参加した場合、3年後に1ドル/64円までの円高までは元本割れしないことになります。
これを検算してみましょう。100万円を1万ドルに両替して投資したとします。3年後には 13,600 ドルになります。これが100万円に相当するためには、1,000,000/13,600=73.5 つまり1ドル73.5円の円高までが元本割れしないのであって、64円ではありません。こんなところで間違っていると、Web 内の記事の全部がうさんくさく思えてしまいます。
次に、運営会社の倒産リスクです。これを推定するために、どれくらいの資金を運用して、どれくらいの利益を出しているのかということを数字で知りたいと思います。それによって、会社の安定性などがかなり判断できますが、Web には、この点が何も書かれていません。
フィリピン人に対する貸出利息はどれくらいなのでしょうか。Web の記事では、昔の日本のサラ金並みの 30% くらいの利息を取るようですが、明記されていません。日本のサラ金の問題は、話が別ですが、利息が高いために、借り手がしばしば借金を返せなくなって、多重債務になったり、果ては夜逃げや自殺など、社会問題になったことは記憶に新しいところです。OFWサポート・プログラムでも同様の利率で貸し出すならば、似たようなことが起こらないとはいえません。乙は、サラ金で高金利で他人に金を貸すことが「社会貢献」だとは思いません。
資金をどういう形で出資するのかも問題です。Web の「投資概要」のところには「投資」としか書かれていません。確定利回りなので、債券のようなものと思いますが、会社が潰れたときにどのように扱われるのか、よくわかりません。
11年間の安定した実績があるとのことですが、それは配当金が安定して出せたということに過ぎません。あとから参加してきた人の資金を、前の投資家に回す、いわゆる自転車操業をやっているわけではないことはどうやって確認できるのでしょうか。
「自分でわからないものには手を出すべきでない」という投資の原則があります。乙は、いろいろと疑問に思うところがあるので、投資しないことにしました。
海外のサラ金のようなものというと、以前、乙のブログで書いた「ソウルコスモホールディングス」
2006.5.8 http://otsu.seesaa.net/article/17524604.html
と似たようなものかもしれません。
ちなみに、ネットで検索しても、日本語では何も引っかかってきません。すごくマイナーな金融商品のようです。
英語で「Nippon Credit Co., Inc.」ということで検索すると、いくつか引っかかってきます。しかし、ほとんど情報がありません。
http://www.philcom.ph/serv/nippon/index.html
この会社がほんとうに11年も貸出事業をやってきているのか、17500人
http://nippon-credit.com/index.php?OFW%BB%D9%B1%E7%A5%ED%A1%BC%A5%F3
もの人に貸し出してきたのか、確認できませんでした。
ラベル:OFW サポート・プログラム