2008年11月29日

山田昌弘・白河桃子(2008.3)『「婚活」時代』(ディスカヴァー携書)ディスカヴァー・トゥエンティワン

 乙が読んだ本です。
 投資に関係するかと言われれば、若干違うような気もします。しかし、投資は人生の生き方であるとすると、結婚活動(婚活)も大事な一歩であると思います。乙は既婚者なので、婚活は不要ですが、身近に未婚者がいたりしますから、こういう本も読んでおいて損はありません。
 本書は2人の共著で、各章ごとに執筆者が変わっていますから、半々の割合で関わっているように見えますが、実は、白河氏の書いている部分のほうがかなり多めになっています。山田氏は学者ですが、白河氏はジャーナリストで、それぞれが書いた部分は、ずいぶんと違った書き方です。(乙は山田氏の書いている部分のほうが好きです。)
 p.18 「就職にしろ結婚にしろ、自由化が起これば思い通りにはならなくなる」とあります。とても不思議な感覚でした。結婚における「自由化」とは、結婚年齢がばらついていることを意味しています。以前は自由ではなかった(それなりの年になったら結婚するものだという社会的圧力があった)というわけです。
 このため、p.19 でいうように「婚活」なしでは結婚できない時代になっているというわけです。このことは、p.193(あとがき)でも触れられます。今はそういう時代なのですね。
 p.27 では、丸の内OLについてですが、「年収2倍の法則」というのがあるそうです。丸の内のOLは、結婚相手に自分の年収の2倍の年収を望んでいるのだそうです。万が一、自分が働けなくなっても、2人が生きていくためには、自分の年収の2倍があればいいというわけです。まあ、それはそうですが、(男性の)実態と比較すれば、けっこうな高望みといえるでしょう。
 p.46 では、1980年代までの職場結婚を描いています。総合職の男性と一般職の女性が出会う場として、企業がセッティングする集団見合いの場のようなものだったとしています。乙は「そうだったのか」という気がしました。自分の回りを見渡すと、確かにそういう人も多かったように思います。当時、企業の人事担当者は、女性を採用するとき、数歳年上の男性社員の妻にふさわしいかどうかで採用の可否を決めていた面があったのですね。
 p.108 では、山田氏の記述で「実は、男性というのは、女性が考えているほど、女性を美人度で選んでいるわけではないのです。」という記述があります。一方、pp.74-75 では、白河氏の記述で、お見合いパーティーでの申込みを見ると、男性は若くてきれいな女性に集中的に申し込んでいるとのことです。著者2人の観察は、かなりずれているようです。あえて意見を統一する必要はありませんが、できたら、このあたりを調整して、適切な記述になっていてほしかったところです。
 p.162 では、男性に「流される勇気」がほしいとあります。女の人が迫ってきたら、そのまま流されてもいいというわけで、まあこれも真実の一端かもしれません。おもしろい考え方でした。
 乙が読んでいて、ちょっと意味がわからなかったのは、p.25 でした。2000年と2005年の国勢調査を比べているところですが、「30代前半だった女性たちは30代後半になっていて、未婚率は 26.6→18.6(%)。7割の人が未婚のまま30代後半へ。」とあります。ここの「7割」という数字は違っているのではないでしょうか。2割が正しいのでしょうか。あるいは、30代前半で未婚だった人(26.6%)の7割が30代後半でも未婚だったと読むべきでしょうか。18.6/26.6=0.699 です。比率と比率を比べて比率で示すというのはわかりにくいと思います。
 新書サイズなので、手軽に読み切れます。今の日本社会の一面が書かれており、大変おもしろく読むことができました。


posted by 乙 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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