とはいうものの、実は初めから半分ほどを読んだだけです。途中で読む気をなくしてしまいました。
480ページほどの活字がビッシリ詰まった本です。読むだけでも時間がかかります。
本書では、Forbes 400 を扱います。アメリカの雑誌「フォーブス」が 1982 年以来、資産家トップ 400 人のリストを掲載しているのですが、そのリストに掲載された大富豪が Forbes 400 です。そういう人はどんな人たちなのかを記述しています。
本書中には、Forbes 400 に基づいた大富豪たちの成功の過程、生活のしかたなどが描かれています。図表もたくさんあって、興味深いものがあります。
では、乙はなぜこの本をおもしろいと思わなかったのか。
大富豪たちを概観して、図表に基づいて「これこれの人が多い」というような形で記述してあれば、記述量はずっと少なくて済みますし、わかりやすかったはずです。しかし、そうはなりませんでした。大富豪たちは個性豊かで、さまざまな経歴を持ち、考え方もまちまち、富の源泉も違っています。したがって、安易に一括りにして「大富豪は○○だ」といえないのです。そのために、本書の記述は、固有名詞を挙げながら、この人の場合がどうだったか、どのような人生をたどってきたか、細かい具体的な記述が続きます。そういうスタイルしか取れなかったのでしょうが、そういう記述を延々と読まされると、飽きてきます。
もちろん、アメリカの本ですから、登場するのはアメリカ人です。乙が名前を聞いたことないような人もたくさんいます。こういう話は、アメリカ人の常識であっても、日本人にはそうではありません。そういう人について延々語られても、どうにも興味がわかなかった(興味が持続できなかった)ということです。
これだけのことを調べて本書をまとめたということは、著者の大変な努力のたまものだったでしょう。どんな調査を行ったのか、考えてみると、とても自分ではできないように思います。しかし、そのことと、最終的にできあがった本がおもしろいかということは別です。
p.124 で、ウォルマートが低賃金であること、労働組合がないことなどが語られます。p.126 では、ナイキの奴隷的低賃金が出てきます。経営者として考えると、そんなやり方もあるのかと思いました。そういう個々の記述は興味深いものがあるのですが、全体を概観する視点のようなものは、残念ながらうまく読み取れませんでした。
乙は、張志雄・高田雄巳『中国株式市場の真実』
2008.5.15 http://otsu.seesaa.net/article/96756811.html
を連想してしまいました。固有名詞がバンバン出てきて、事細かに何が起きたかを語っていく態度は両方に相通じるところがあります。しかし、読み通すのはなかなか困難です。
張志雄・高田雄巳『中国株式市場の真実』は、自分で買ったので、長期にわたって少しずつ読み進めるようなこともできたのですが、本書は、図書館で借りて読もうとしたので、貸出期限があります。その期限内に読み終えることが苦痛に感じられたということです。
本を読むのは、楽しいからであって、苦痛を感じながら読み進めるのは邪道だと思います。そんなことを考えて、乙は途中で読むのを放棄しました。というわけで、今回の記事は本書の全体を伝えるものではありませんので、ご注意ください。