乙は、1月31日(土)に、みなとみらいのパシフィコ横浜で行われた新春講演会
http://www.rakuten-sec.co.jp/ITS/investment/in03_seminar_study_2009.htmlに参加してきました。
昨年も参加した講演会でした。
2008.1.15
http://otsu.seesaa.net/article/78550074.html 初めに、10:00-10:10 楽天証券 代表取締役社長の楠雄治氏から「新年のご挨拶」がありました。昨年のシステム障害についてお詫びのことばを述べ、これからもさまざまな商品開発をしていくつもりだとのことでした。
次に、10:10-11:10 澤上篤人氏(さわかみ投信 代表取締役社長)「ゆったり長期投資で豊かに生きる」がありました。澤上氏はいつも通りに日本株に強気でした。現状は、不景気でさまざまなものの供給を絞っており、世界各国の中央銀行は金をばらまいており、世界の人口増は続いており、多くの人々の生活がぜいたく化しているというわけで、5年先、10年先を見ればきっと株価は上がるという話です。
アメリカの株価の変動に言及し、1973.11 から 1992.8 まで景気が低迷したが、1982.8 から株価が上がっており、株価の値上がりは景気の先行指標だとのことでした。また、アメリカでは 1978-1984 の不景気のときに新しい企業群が生まれてきたというわけで、いつかミニバブルが起こるだろうと予想していました。ただし、いつ起こるかはわからないというわけです。
乙は15年くらいのスパンで株式投資を考えていますが(本当はもっと先まで継続したいと考えていますが)、それにしても、株価の低迷が何年間も続くとなると、なかなか「我慢」もつらいものがあります。澤上氏は、どうしてこんなにも楽天的になれるのかわかりません。筋金入りの長期投資家であるからでしょうか。乙もさわかみファンドを購入しているため、澤上氏の考え方に賛成の面もありつつ、一方では、もう少し別の考え方もできそうなように思います。
最後の質疑応答のときに、株を売るとき、少し残しておくといいという話は、もっともだと思いました。その株に対する興味が継続しますから。
次が、11:20-12:10 山崎元氏(楽天証券経済研究所 客員研究員)「2009年投資環境と投資戦略」でした。山崎氏は、最初に 2008 年の新春講演会の自分の発言に触れ、2008 年末の株価予測でまずいところがあったと素直に述べました。こういうところは好感が持てます。その上で、現状の株価について、適性株価は 7,000 円を下回るので、今は必ずしも安値ではないこと、為替はさらにドル安・円高になる可能性があることを述べました。また、今は世界的に低金利で、日本と外国の金利差がないので、日本からの対外投資が減り、資金が日本に逆流することがあるという見通しを述べました。オバマ大統領の雇用重視の姿勢は、さらにドル安を導くということです。今回の金融危機は規模が大きいけれども普通のバブルだという見方は新鮮でした。というわけで、2009 年は投資のチャンスだということになります。世界経済の回復のテンポはかつての日本よりも速く、2009 年後半から回復に向かうのではないかという見通しを述べました。
経済評論家のコメントは当たらないことを考えると、山崎氏の講演内容もどこまで当たるか、わからないわけですが、まあ、今の日本の多数派の意見をまとめて述べたような印象を持ちました。
ここまでで午前の部が終わり、12:10-12:50 休憩に入りました。
午後は、12:50-13:50 田嶋智太郎氏(経済アナリスト/株式会社アルフィナンツ代表取締役)「チャートを活用してFXの売買ポイントを見極める。」から始まりましたが、乙はスキップしました。
次が、14:00-14:50 堀古英司氏(ホリコ・キャピタル・マネジメントCEO)「2009年米国経済・株式相場見通し」でした。堀古氏はアメリカのヘッジファンドのマネージャーだったということで、アメリカをよく見ているなあと感じました。今までの講演でも経済動向見通しをよく当ててきたようです。アメリカでは、20% 以上住宅価格が下落すると、大きな問題になります。これは以前からそうだったわけですが、20% の下落が実際上なかったので、問題にならなかったのです。住宅ローンは、一般的に頭金が 20% であり、しかも、ノンリコースローンですから、住宅価格が 20% 以上下落すると、住宅を捨てたほうがいいということになります。そうなると、住宅を担保として受け取った銀行が大変になるというわけです。住宅を処分して債権を回収するには 40% ものコストがかかるという話でした。シティバンクは、MMF で集めた資金を ABS や CDO に投資してきているので、大変な事態になったという説明がありました。アメリカの現状の解説として、納得のいく話でした。
次が 15:00-15:25 本田淳一氏(バークレイズ・グローバル・インベスターズ株式会社 証券営業部 営業部長)「海外ETFの魅力とその活用法」です。iShares の「i」は、Index の「i」だそうです。Information や Innovation も兼ねているという解釈もあるそうです。shares は「株」のことです。講演では、米国の株式市場の売買代金の上位10銘柄のうち、8個が ETF であり、2008年12月の売買を見ると、全体の 38% が ETF の売買だったそうです。2008 年全体を通して、ミューチュアルファンドは 1,400 億ドルの資金流出だったのに、ETF は 1,350 億ドルの流入があったということで、アメリカの投資家は急速に ETF にシフトしているということでした。以下、各種 ETF の紹介(宣伝?)がありました。こう言っては申し訳ないけれど、通り一遍の解説といった内容でした。
15:25-15:50 豊島逸夫氏(ワールド ゴールド カウンシル 日韓地域代表)「金市場―ヘッジファンドの売りと年金の買いの構図」は、金市場の現状を解説するものでした。金は、ヘッジファンドが2,3ヵ月ごとに売買しているため乱高下する傾向があるとのことです。しかし、一方では、年金資金が10年くらいの長期投資のスパンで買いに出ているとのことです。金 ETF の売買もどんどん伸びているとのことです。それにしたがって、金の価格が上昇しています。金は掘ってもなかなか出ずに、今は都市鉱山が着目されています。金の産出量が減る傾向もあるので、金はますます値上がりするだろうということでした。
こんなことから金投資を考える人もいるでしょうが、乙は、これこそバブルではないかと思っています。金自体がもともと何かを生み出す性質をもっているわけでもないので、金投資はしないでおきます。
次が 16:00-16:50 福永博之氏(株式会社インベストラスト 代表取締役)「今からでも遅くない。局面別対処法〜個人投資家にできる、最善の方法とは…〜」ということでした。福永氏は IFTA 国際検定テクニカルアナリストだそうで、乙はこんな職があることに驚きました。日本では、個人投資家が自分で投資できる幅広い商品が揃っており、株価の急激な下落のときも、それによって大きく値上がりする金融商品がいろいろある(オプションのプットの買い、ベア投信など)ということを話しました。プロは、他人の資金を運用しなければならないから、なかなか幅広い投資はできないが、個人投資家はそういうしばりがなく、まったく自由なので、好成績が上げられる可能性があるとのことでした。それはそうですが、乙は、株価の値下がりのタイミングを見極めることがきわめてむずかしいし、本業を持って働いている場合、なかなかそういう細かいチェックもできないのではないかと思うので、福永流の投資はできないように思います。
17:00-17:50 大島和隆氏(楽天証券経済研究所 チーフストラテジスト)「2009年投資の着眼点」では、現在を投資対象やテーマが選別しやすいときだとしています。今は世界の中央銀行が(低金利ということで)バルブを開けているときです。ユーロ経済もおかしくなったし、新興国もデカップリング論が成り立たなかったことが明らかです。そこで、アメリカのオバマ大統領に着目すると、自分たちはやれるしやるつもりだということで4点を上げています。だからその4項目に対応する株を買えばいいということです。インフラ関連、科学関連、グリーン・ニューディール、IT・インターネット関連ということで、アメリカのセクター別の ETF を使えば、簡単に投資できるという話でした。
話は簡単ですが、実際、オバマ大統領の演説がその通りに実現されていくのでしょうか。話はそう簡単ではないように感じました。ま、「そういう解釈もあり」というくらいに受け止めておけばいいでしょう。
朝10時から夕方6時まで、長丁場の講演会でした。