2009年02月28日

海外 ETF の国内上場はあるか?

 乙は、海外の ETF に投資しています。
 日本でも、楽天証券や SBI 証券で海外 ETF の取り扱いがあるので、これを利用している個人投資家もたくさんいらっしゃるようです。そして、個人投資家から、アメリカで上場している ETF をそのまま(たとえば)東証に上場して、ETF の品ぞろえを拡充してほしいという声が根強くあるようです。
 乙は、そんなことが可能なのだろうかとかなり疑問に思っており、したがって、海外 ETF を直接購入するようなことをしています。アメリカに上場しているものはアメリカで買い、香港に上場しているものは香港で買うといった具合です。
 では、なぜ日本での ETF の上場がむずかしいのでしょうか。
 それは、ETF の取引形態そのものが理由です。市場に上場することで、株式と同じようにリアルタイムで売買できるようになっているのが ETF の特徴です。だから SPY や QQQQ のようなアメリカ株の ETF は、アメリカで上場していることに意味があるのです。個別株の売買によってそれぞれの価格が決まり、それに基づいて株価指数が計算されるものです。だから、ETF の価格が「本来の価格」よりもはずれてくれば、当然機関投資家などの裁定取引が起こります。したがって、ETF の価格は「本来の価格」とあまり乖離しないようになるわけです。つまり、アメリカ株の ETF は、アメリカの株式市場が開いている時間帯に売買できる必要があるわけです。
 日本は、アメリカとは時差があります。となると、日本でアメリカ株の ETF が上場された場合、正しい値付けができない場合が起こりえます。だって、地球の裏側にある小さな(!)国の株式市場で、微々たる取引をやっていても、そんなことはアメリカの機関投資家から見ればほとんど何の意味もないことで、わざわざ日本市場に参入するなんて考えられません。機関投資家が参入しない市場で、個人投資家がいろいろ右往左往しても、まともな取引にはなりません。
 「時差」は、どうしようもない地球的事実です。時差がある限り、海外(欧米)の ETF を日本で上場することはむずかしいと思います。
 可能性はゼロではありません。世界の企業が日本の株式市場に上場し、日本の株式市場の時価総額がアメリカのそれを何倍も上回って、世界の資金が日本に流れ込むことになれば(そんなことはまずあり得ませんが)、アメリカが世界の僻地であり、日本こそが世界の中心になるというわけです。こうなれば(そんなことはまずあり得ませんが)、各種 ETF の上場も夢ではなくなります。
 あるいは、日本で株の取引が24時間可能になれば(そんなこともまずないでしょうが)深夜の時間帯(アメリカでの日中の時間帯)に ETF の取引が活発化することもあるかもしれません。
 いずれも、今の政府のやり方を見る限りでは実現の可能性はごくわずかで、まあ 100 年くらいはかかるでしょう。それでも実現できないかもしれません。「百年河清を待つ」という心境です。

 そんなわけで、乙は、日本の株式の取引市場に海外 ETF が上場されるという甘い期待をすることはありません。
 いうまでもありませんが、日本株の ETF は、日本市場で買っています。
2006.7.13 http://otsu.seesaa.net/article/20705536.html
すべての金融商品は、現地で買うのが一番コストがかからないものです。

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posted by 乙 at 05:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ETF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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