2009.3.3 http://otsu.seesaa.net/article/115064924.html
の続きです。
後半はファイナンシャル・プランナーの神戸孝(かんべ たかし)氏でした。乙は、神戸氏の本(『幸せな老後を呼びこむ ほんとうに真っ当な資産運用』)もかつて読んだことがありましたので、
2006.6.24 http://otsu.seesaa.net/article/19747132.html
これまた著者の素顔を拝見した形になりました。
「豊かなセカンドライフのための資産運用〜ハッピーリタイアメントに向けて〜」というタイトルで90分ほどの講演でした。
こちらもパワーポイントの資料が別途印刷されて配布されました。
神戸氏は、話し方を聞いていると、頭のよい方だとわかります。そういう話し方をします。ホワイトボードにいろいろ書きながら熱弁を振るいました。
講演の内容は資産運用に関する正統派の考え方を紹介するものでした。
まずは、ライフプランの話から入りました。ライフプランは、医者にたとえれば、診断→処方箋→治療に当たるものだという話でしたが、この比喩はわかりやすかったです。ですから、ファイナンシャル・プランナーに「今何を買えば儲かりますか」と尋ねてもダメだというわけです。それは、診断もしないで「薬は何が効きますか」と尋ねるようなものだということです。まずは、現状を認識し、ゴールを設定し、どのようにしてそのゴールにたどり着くかを考えるという手順が大切です。
退職後のライフスタイルを明確化するという話もおもしろかったです。24時間時計で退職後の理想の1日の時間の使い方を夫婦のそれぞれに書かせると、まったく違ったものになるとのことで、いかにもたくさんの相談をこなされた方の話でした。
資産運用に関しては、投資と投機の違いを説明し、株式売買に3つのスタンスがあるという話でした。
[1] 長期投資:5年(10年)以上保有を前提として銘柄選別、成長株中心
[2] 中期投資:半年〜1・2年、割安株中心
[3] 短期売買(投機):1週間〜1ヵ月、モーメンタム重視(順張り)
そして、長期投資は企業を買う、中期投資は株価を買う、短期投資は勢いを買うという話でした。実にうまい言い方です。
また、1000 円で買った株が 800 円に下がった場合、3つのスタンスのそれぞれで対処は違ってくるといいます。長期投資なら、バーゲンセールだということで、買い増すことになります。中期投資なら、割安だと思ったけれど、そうでもないということなので、当面は様子見です。短期投資なら、そもそも順張りで上がることを前提に買っているのですから、800 円になる前に、900 円あるいは 950 円の段階で損切りするというわけです。乙はなるほどと思いました。株式投資のスタンスの違いをズバリ指摘されたような感じでした。
さらに、個人投資家は時間が最大の武器だということで、複利効果の話がありました。
1000万円を4年間運用して、A さんは、+10%, +20%, -20%, +10% の運用をし、B さんは4年とも +5% の運用をします。利回りを単純に足せば、どちらも +20% です。結果的には、A さんは、1161.6万円になり、B さんは1215.5万円になります。A さんは、B さんに3勝1敗なのですが、それでも負けてしまいます。ここで大事なことは、いかに勝つか(高いリターンをねらうか)ではなく、いかに負けないか(マイナスにしないか)ということです。言われてみれば当然ですが、我々は、どうも、A さん的な考え方をしがちなように思います。自戒しなければなりません。
あとは、分散投資の考え方の説明でした。乙がおもしろいと思ったのは、2点ありました。
第1に、退職金が出たとき、一気に投資するようなことではダメで、半年ずつ3回に分けて1年でポートフォリオを作るようにするといいという話です。時間の分散は、なかなかむずかしいのですよね。
第2に、日本と外国の株式と債券に分散投資する場合、外国株は新興国株がおすすめ(今後の成長に期待する)で、外国債券は先進国がおすすめ(安定した利回りを期待する)ということでした。確かに、この考え方も一理あります。新興国株を重視する考え方は、カン・チュンドさんの主張
2008.12.29 http://otsu.seesaa.net/article/111858818.html
とも一致します。しかし、乙は、先進国にも新興国にも株式と債券に投資しようと考えています。比率は適当に考えなければなりませんが。
ともあれ、充実したお話を2件聞くことができて、ありがたい機会でした。
無料セミナーということで、三菱UFJ信託銀行には感謝しています。
ラベル:セカンドライフセミナー 神戸孝