日経新聞3月13日朝刊1面に出ていた記事です。
ETF転換権付き株式取得機構債については、すでにブログで述べたことがありますが、
2009.3.8 http://otsu.seesaa.net/article/115307279.html
政府・与党が検討に入ったということで、まだ決まったわけではありません。
記事では、次のように述べていました。「機構は買い取り原資を調達するため、政府が元本を保証した無利息の債券を発行することを検討。投資家は将来、一定価格でETFに転換できるようにする。将来の時価が転換価格を上回っていれば、売却益を手にできる。売却益への税金を軽減することも検討する。」
無利息とはいえ、元本保証であれば、この債券を買う人はたくさんいるでしょう。いや、それどころか、現在上場されている日本株ETFは、存在意義がなくなります。誰だって、元本割れの危険性を負いたくないですからね。
こんな債券が売られている状態で、通常のETFを買う人がいるのでしょうか。いないはずです。それどころか、現在のETFは解約が相次ぐものと思われます。どちらも平均株価に連動し、一方は値下がりの可能性があり、他方はそれがないとすれば、通常のETFを買う人がいないのと同様、すでに保有している人はそれを売却してこちらの債券に乗り換えるでしょう。
そもそも、現在、日本株に投資しようとしている人さえ、ためらわせます。この先どうなるかわからない日本株を直接買うよりも、ちょっと待って元本保証のETFに相当する債券で運用したほうがいいからです。
こうして、資金が集まり、株価が上昇し、ETF価格も上昇し、みんながバンバンザイです。
しかし、話はこれで終わりません。
出口戦略はどうなるのでしょうか。
債券ですから償還期限が決められていると思いますが、それにともなって、どの段階で売却すればいいか、なかなか悩ましい問題になります。特に、この債券に資金が十分すぎるほど集まりすぎると、それがカンフル剤になって株価が上昇しますが、その後債券を売ろうとすると、それだけで株価が下がり、したがってETF価格も下がる可能性があります。大きすぎる株式ファンドと同じ問題です。売ろうにも売れない事態になるわけではないのですが、価格が下がってしまえば、この債券のメリットはなくなってしまいます。
この債券で運用し、ある程度経ったところで、償還日を迎えるよりは前に売却するのが良さそうです。
それにしても、こんな債券が出たら、株式市場へのインパクトは大きなものになるでしょう。それがいいのかどうか、乙にはわかりません。