2009年04月03日

タックスヘイブンの規制?

 乙が日経ビジネス ONLINE で読んで、驚いた記事がありました。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090401/190741/
タックスヘイブンへの規制が考えられているとのことです。
 この記事によれば、タックスヘイブンでは 11.5 兆ドル(1100 兆円)の個人資金が運用されているということですから、世界経済に大きな影響を与えることになります。
 記事中にはこんな部分があります。
 EUは貯蓄課税指令を出し、預金者が非居住者である場合、その国の税務当局と預金者情報を共有するなど、透明化に協力しない限り、銀行預金に2005年7月から15%、2008年7月からは20%の源泉税を徴収する。さらに、2011年からは税率が35%に引き上げられる予定だ。

 「2008年7月からは」といっても、すでに 2009 年ですから、この源泉税の徴収は始まっているのでしょうね。乙は知りませんでした。
 15% や 20% というのは、銀行預金の利息に対する税率だと思いますが、しかし、そんなに預金があるとも思えません。預金は、株や債券、さらにはヘッジファンドへの投資などに姿を変えていますから、「預金者情報」を得る程度では、資産運用で儲けが出ていることなどまったくわからないでしょう。そういう多方面の金融商品に一斉に網をかけることが、はたして可能でしょうか。
 また、資金が複雑に流れ、その途中で増えていく場合、どこでそのような資産の増加が把握できるでしょうか。
 手続きとしてもきわめて困難だと思いますが、もしも実行できたとしたら、今度はタックスヘイブンからの資金の流出が問題になるでしょう。端的にいって、イギリスの近隣のタックスヘイブンから資金が逃げ出して、他の地域に移動するだけのように思われます。タックスヘイブンは世界各地にあるのです。そんなことをして、資金が逃げ出したら、これらの地域(そこに住む人、関連企業)は、経済的に大きなダメージをこうむることでしょう。それを「しかたがない」といって受け入れるのでしょうか。
 EU は、全世界のタックスヘイブンに規制の輪を広げようとしているのでしょうか。どのようにすればそれが可能なのでしょうか。

 日経ビジネス ONLINE の記事では、こんな部分もありました。
 米上院議員のカール・レビン(ミシガン州、民主党)は“Stop Tax Haven Abuse Act”(タックスヘイブン乱用防止法)と呼ばれる法案を3月初めに提出した。
 その法案は、脱税のためのタックスヘイブン使用の抑止、オフショア持ち株に関する情報開示をしなかった場合の罰金(最高100万ドル)、経済実体のないお金の移動などを無効にするなど、現在タックスヘイブンで行われている活動のほとんどの部分を対象にしている。

 いかにもアメリカ人が考えそうな話です。アメリカが罰金を取るといったって、いったい誰を対象にして罰金を取るのでしょうか。タックスヘイブンの銀行だとしたら、外国にあるわけで、外国の銀行にアメリカが「罰金」を課すなどということができるとは思えないのですが。
 アメリカは、外国にある銀行の資金移動を止めさせるなどということも考えているわけです。アメリカ財務省は、北朝鮮の資金があるとされたバンコ・デルタ・アジアに対して送金ストップをかけた前例もあるので、この案は実行できそうにも思います。しかし、それにしても、国家間の関係を考えると、他国の主権を侵害しているようにも考えられて、いかにアメリカでも、そう簡単にできないのではないかという気もします。
 ドルが基軸通貨であるといっても、いつまで続くかわかりません。こんな規制をかけるようだと、世界の運用資金が他通貨に流れるようなことも起こり、結果的にドルが基軸通貨でなくなるかもしれません。それはアメリカにとって非常に不利な事態でしょう。
 そんなことはともかく、アメリカとしては、適当に口実を作って(以前は「テロ資金のマネーロンダリングを防ぐために」と言っていましたが)、外国に圧力をかけるのでしょうね。

posted by 乙 at 05:21| Comment(0) | TrackBack(1) | 投資関連の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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