2009年04月22日

竹中正治(2008.12)『今こそ知りたい資産運用のセオリー』光文社

 乙が読んだ本です。「まず「投資の魔物」を退治しよう」という副題がついています。
 著者は、(財)国際通貨研究所 経済調査部長というエコノミストです。
 出版の時期が時期だけに、資産運用を独自の観点から語っています。全体におもしろく読めました。
 第2章「「投資のプロ」には任せるな」で、インデックス投資をすすめています。pp.46-49 で、相場の予想がなぜ当たらないかを説明しています。その中で、ある人の(「ある手法の」でも同じですが)予想が当たるとすれば、市場参加者はその人の予想に従って売買をするので、結果的に予想が外れるという例を示しています。わかりやすい説明です。
 p.68 では、アクティブ投信は、投資のプロがプロどうしの狭義の市場では持続的に勝ち越すことができないので、個人投資家層を相手に、手数料を頂戴するという形で「継続的に出し抜く」仕組みであると述べています。なるほど、投信の手数料が高いのは、こういう理由だったんですね。
 第3章は「ギャンブルの誘惑とリスク・リターン」です。p.98 と p.99 に興味深いグラフが掲載されています。日本の TOPIX と米国の S&P500 の60年以上の値動きを示したものですが、単純に金額で表示すると、最近の株価が大きく変動するようすが見てとれます。しかし、それを対数で表示すると、あら不思議。わずかに上下しつつも、大まかには安定して上昇しているではありませんか。どちらが大事かと言えば、やはり対数でしょう。我々の見方は、つい単純な「価格」で見てしまいますが、それではまずいことがわかります。
 第4章は「高金利外貨投資の罠を見破る」です。p.131 では、高金利通貨の金利差は長期的には為替の下落で相殺されると述べています。この点については、乙も最近そのような趣旨のブログ記事を書いたので、
2009.4.11 http://otsu.seesaa.net/article/117253628.html
納得しながら読みました。
 また、p.137 では1996年から2006年までの主要国の米国との経済成長率格差と対ドル為替相場の変化を示しています。そして、結論として、「低成長だから為替安」とはいえないと述べています。日本経済の今後が、少子高齢化で長期にわたって低成長が続くとしても、それがすなわち円安になるということではないのです。つまり、それを理由にした外貨投資はアヤシイということになります。これまたおもしろい指摘でした。
 p.144 では、「1980 年以降、ドル円相場は年率平均3%で下落してきた。」とあります。これについても、乙は関連する記事を書きましたので、
2009.4.16 http://otsu.seesaa.net/article/117541364.html
話が意を得たりと思いました。つまり、1980 年以降の10年ものの米国債の利回りの平均が 7.5% だったとしても、3% くらいは為替でマイナスになるので、4.5% 程度の利回りになるということで、同時期の10年ものの日本国債の利回りの平均 4.2% とあまり変わらないということです。
 pp.153-155 の米国凋落論議の落とし穴というコラムもおもしろかったです。米国はダメになるという話は過去に何回もあったけれど、それで投資しなかったならば、投資機会を逃がしてしまっていたことになるというわけです。乙の感覚では、今後数十年くらいは米国の凋落はないものと思います。根拠のない単なる予想で、外れるかもしれませんが。
 第5章はFXの話、第6章は不動産投資の話で、具体的ではありましたが、乙はあまり興味がないので、いい加減に読んでしまいました。
 第7章「「新金融仕組み商品」に手を出してはいけない」は、当然のことですが、タイトルだけを読んで意味がわかってしまいそうです。
 通読してみて、興味深い本だと思いました。初心者向きではないような気もしますが、インデックス投資の本などを読んだ後くらいに読むといいのではないでしょうか。

参考記事:
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20081226/181418/


posted by 乙 at 06:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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