乙が日経新聞 2009.4.30 の5面で見かけた記事です。
大きな見出しでは「送金 24時間可能に」とあり、小さな見出しでは「銀行以外へ来年にも業務開放」と「手数料下げ期待も」とありました。
この記事はネットでは見られないようです。
概要は、以下の通りです。
(1) 銀行以外の事業者にも送金業務を開放する「資金決済に関する法律案」が今国会で成立する見通しだ。
(2) 銀行の営業時間内にしか振り込みなどができなかったお金のやりとりが、2010 年にも大きく変わり、24時間可能になる。
(3) 送金手数料が下がるだろう。
(4) ただし、1件あたりの送金の上限額は50万〜100万円になるだろう。
今までは送金が不便で、2010 年からは便利になるという記事なのです。今、何が不便かというと以下のような点が指摘されています。
(a) 海外に送金するとき、5000 円程度の少額送金でも送金手数料が 5000 円もかかってしまう。
今後、ペイパルなどの送金サービスが本格参入すれば、5000 円の送金は、手数料 200 円程度で済むようになるだろう。
(b) 日本の送金可能時間は、9:00-15:00 に限定されている。
今後は、24時間可能になるだろう。
(c) 携帯電話によるモバイルバンキングは、手続きが煩雑で、普及していない。
今後は、携帯電話で、銀行の口座番号を知らなくても、相手の携帯番号を知っていれば送金できるようになる。
(d) 受け手のクレジットカード番号を知っていれば、小売店の店頭経由でそこに送金できるようになる。
銀行まで出向かなくても、身近な小売店で送金ができる。
乙は、今の送金システムにあまり不便を感じていないので、記事が指摘することにも素直にうなずけませんでした。
(a) の他人宛の海外送金の問題はその通りです。今後、少額送金の海外送金の手数料が安くなるのはありがたいです。ただし、ある程度の金額を送金しようとすると、為替(両替)手数料が高いという問題があり、こちらが解決されないと事実上意味がありません。投資の場合は、むしろこちらの問題が大きいと思います。
(b) ですが、今でも、ネットバンキングで送金すると、送金手続き自体は24時間可能な場合がほとんどです。実際の送金は、9:00-15:00 に限定されますが、個人レベルでは、ほとんど問題にならないと思います。
(c) は、モバイルバンキング自体の問題で、ケータイの狭い画面で送金するのは、かなり非実用的にならざるを得ません。パソコン経由で行うネットバンキングで十分ではないでしょうか。
口座番号を知らなくても、送金できると便利だという話ですが、イーバンク銀行では「メルマネ」という仕組みがあり、相手のメールアドレスと名前だけで送金できるようになっています。
http://www.ebank.co.jp/kojin/service/mailmoney/ メルマネは、携帯電話で送金・受取ができます。
この仕組みがあれば、現状で、特に問題だとは思いません。
(d) は、記事中にも指摘がありますが、相手にクレジットカードの番号を教える方がよっぽど危険ではないでしょうか。クレジットカードのセキュリティはかなり低いので、カードの番号がわかると、あとは有効期限の情報を得て、無断で買物がされてしまうかもしれません。有効期限情報は、種類がそんなに多くないので、一つ一つ確かめるようなことでもばれてしまいそうです。
それに比べて、銀行の口座番号を教える方がはるかに安全です。口座番号だけがわかっても、悪意のある人間がそこからお金を引き出すのはかなりむずかしいと思います。
また、銀行に出向くのと小売店に出向くのは、同じく外出であり、めんどうです。ネットバンキングのほうがはるかに便利ですし、すでに実用的に使われています。
というわけで、乙は今回の記事には満足できませんでした。
だんだん日本も国際化してきています(海外在住の日本人が増えてきています)ので、海外送金手数料(および為替手数料)が高いという問題が早く解決されることを期待しています。
乙は、老後を海外で過ごす可能性があると思いますので、この問題には非常に興味があります。