各私立大学の 2008 年度(2009 年3月までの1年間)の資産運用について書かれていました。
慶応義塾大学は 1,500 億円程度の資金を運用していて、年 3-4% の利回りを実現するために8割を株式や投資信託に振り向けてきたそうで、その結果、269 億円の支出超過(赤字)になったとのことです。記事のトップにある慶応の評価損 535 億円という数字と一致しませんが、評価損は単年度ではなく、過去の合計だろうと思います。
今回の金融危機による株価の下落のレベルを考えれば、1/3 が吹っ飛んだとしても、「そんなものだろう」と思います。
一方、私大で最大規模の運用資産を持つ日本大学は、投資先を預金や日本国債に限定しており、評価損は出ていないとのこと。当然です。記事では、日本大学を「堅実運用」と評しています。
その他の大学も、さまざまな資産運用を行っているようです。
慶応と日大は運用の両極端かもしれません。
個人投資家も、このようなさまざまな態度をとっているわけですが、乙は、もちろん、慶応型でありたいと思います。日大型は「堅実」かもしれないけれど、リターンがほとんどありません。
慶応型は、マイナスになる年もあるけれど、大きなプラスになる年もあります。そういうおいしい経験をしたときは記事にしないでだまっていて(ニュースバリューがないからでしょうね)、損失を出したときだけ大騒ぎをするのが新聞というものです。
今回の記事は、1面に掲載している(つまり重要なニュースであると新聞社が判断している)割には、事実の報道にとどまっていて、リスクの考え方、各大学の方針、私大における資産運用のあるべき姿、など、事実に対する「掘り下げ」がなく(1面で無理ならば、別の面に詳しく載せるのでもいいでしょう)、物足りない気がしました。各大学の資産運用担当者にそれぞれ取材するだけでも、おもしろい記事が書けそうに思います。
今回の話は、駒澤大学が 2008 年10月にデリバティブで 154 億円の損失を出したときと同様です。
新聞記事は、速報性が大事なのではなく、それを読者にわかるようにきちんと分析・解説するところに価値があるのであって、今のような記事を書いていると、読者に嫌われてしまうのではないでしょうか。いや、もうすでに嫌われていると言ってもいいのかもしれません。各新聞の部数減は深刻な段階のようです。
続きを読む