とてもおもしろい本でした。
インデックス投資をどう行うか、その具体論を書いたものです。考え方から具体的な手順まで、細かく書いてあり、大いに参考になりました。
p.88 には、日本の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がまとめた2007年まで35年間の実績の数字に基づいた表が出てきます。
期待リターン | リスク | 相関係数 | ||||
日本株式 | 日本債券 | 外国株式 | 外国債券 | |||
日本株式 | 7.00% | 22.15% | 1.000 | - | - | - |
日本債券 | 2.00% | 5.40% | 0.160 | 1.000 | - | - |
外国株式 | 8.00% | 19.59% | 0.270 | -0.050 | 1.000 | - |
外国債券 | 3.00% | 13.25% | -0.250 | -0.060 | 0.560 | 1.000 |
この表で、外国株式は MSCI コクサイですが、外国株式それ自体が分散投資になっているので、日本株式よりもリスクが小さくなっているところがおもしろいところです。これはプロの常識だそうですが、乙は知りませんでした。いわれてみればなるほどといったところです。
この表では、外国株式と外国債券の相関係数が 0.560 とかなり高いことが気になりました。もともとの指数は、円建てで計算しているわけではなく、それぞれの国の通貨別に計算してそれを合成しているはずですから、(円との)為替レートの動きを反映しているわけではないと思います。相関がある程度高いと予想される日本株式と外国株式でさえ 0.270 なのですから、ここだけいやに相関係数が大きいということになります。
p.18 にあるように、株式と債券は異なる値動きをします。日本株式と日本債券の相関係数は 0.160 とかなり低いわけです。だったら、外国株式と外国債券の相関係数も、0.560 というよりは、もっとずっと低くなってほしいところです。
なぜ、こういう結果になるのか、乙にはわかりません。
p.128 では、ETF がインデックス投信に負けることがあると述べています。ETF は、1日の間でも値動きがあるから、変に高値で買って安値で売るようなことをすれば、インデックス投信に負けてしまうということです。ETF 投資で注意するべき点でしょう。
p.133 では、米国上場の ETF の理論価格を調べる方法が示されます。
http://finance.yahoo.com/
にアクセスして、GET QUOTES のところに、ETF のコード番号+「.iv」(たとえば「tok.iv」)を指定するだけです。これまた乙は知りませんでした。米国は進んでいますね。投資家はこれで計算して、理論価格をもとに売買をするとのことです。証券取引所はこういうところまできちんとやらないといけません。東証の ETF は、それに比べたら、はるかに劣ります。
pp.135-136 では、新興国株式に投資するためには、バンガード・エマージング・マーケット ETF を勧めています。それはそれでわかるのですが、細かいことですが「VWO」というコード番号を入れておくほうがいいのではないかと思いました。乙もこれを購入していますが、
2007.4.25 http://otsu.seesaa.net/article/39977369.html
確かに、新興国投資ではこれを使うのがよさそうです。
pp.184-185 では、購買力平価を基に、ドルとユーロの為替レートが円高か円安かを見る方法が示されます。
http://www.iima.or.jp/research_gaibu.html
を見ればいいのですね。こんなことも乙は知りませんでした。外貨投資を考える際には大変参考になります。
もっとも、円安だから外貨投資を控えようなどと判断するのもむずかしそうです。為替レートの上下は誰にも予測できないし、インデックス投資の考え方からすれば、為替レートが高かろうが安かろうが、余裕資金ができたらしかるべき比率で投資するのがよさそうで、円安だから日本株に投資する(円高だから外国株に投資する)というのは変な考え方のように思います。まあ、投資先を考える上で少し参考にする程度がいいのかもしれません。
ともあれ、1冊読んで、乙は大いに満足しました。良書です。
モンチさんもオススメの本です。
http://m0nch1.blog.shinobi.jp/Entry/598/