第1期運用報告書についてはブログでも書いたことがあります。
2008.7.1 http://otsu.seesaa.net/article/101911656.html
最近、第2期の運用報告書(2007.10-2008.9)が送られてきたので、ちょっと見てみました。
もっとも、こんな古い報告書を読んでもしかたがないと思う人もいるでしょう。アイザワ証券のサイトには、4月末日現在のマンスリー・レポート
http://www.aizawa.co.jp/beginner/info/pdf/113-3.pdf
がありますから、そちらのほうが最新です。
なお、実際の運用報告書は、2009.1 までの純資産の推移などが掲載されていますので、2008.9 までの報告というだけではありません。では、なぜ、2008.9 までの運用が終わってからすぐに運用報告書を出さないのでしょうか。乙にはわかりません。
p.1 では、当期のベトナム VN 指数が現地通貨ベースで -56.4% もの下落を示したことが書いてあります。208.10 以降、さらに下落が続くのですから、投資家としてはたまったものではありません。
ベトナムはインフレ率もすごいようで、2008年8月には前年比ベース 28.3% に達したということですから、まともな経済的コントロールがなされているとは思えません。基準金利は 14% にも達したというのです。
p.2 では、オフショア・マーケットや非合法市場では、ベトナム・ドンは公式の固定レートより低い価格で取引されているという話です。スタンダード・アンド・プアーズはベトナムの信用格付けを安定的からネガティブに引き下げたということですから、ベトナム経済の今後の見通しは暗いということになります。
p.3 の「ファンドの運用経過および戦略」には、当期のファンドのリターンは、米ドルベースで -34.54%(実績報酬控除前)だったことが示されます。こんなにも下げているときに「実績報酬」をとるのでしょうか。まさか、取れるはずはありません。だとしたら、こんな書き方は変です。
ベトナム VN 指数が下落するに従って、ファンドのベトナム上場株組入比率を増やしたとのことで、その判断は正しいと思います。それでも、73.70% ですから、依然として、かなり低い比率だと思います。乙は、現金・預金の比率が高すぎるように思います。
また、当面の間、株式市場の冷え込みは続く可能性があると述べています。だとしたら、ベトナム株の比率を上げてはいけないのではありませんか。もう少し現金のままで置いておき、さらに冷え込んだ時点で資金を投入すればいいと思います。言っていることがちぐはぐな感じを受けます。
さらに、p.3 には「長期におけるベンチマークの絶対リターンを、持続的にアウトパフォームする自信があります。」と述べていますが、こんな「自信」を述べられてもどうしようもありません。上記のマンスリー・レポートを見てみると、トップのところに「ベンチマークは定めず、絶対リターンを目指した運用を行います。」とあります。となると、この p.3 の記述は実に変なことになります。
p.10 では、当期の販売および買い戻しの実績が書いてありますが、販売口数 120,229 に対して、買い戻し口数は 207,697 ですから、投資家は「解約」の方向に走っていることが見てとれます。この点からも、このファンドの将来性は悲観的にならざるを得ません。
運用報告書の末尾(p.40)の署名の問題(会社名を「署名」している)は相変わらずです。こんな署名を平気でする会社は信用できません。
というようなわけで、このファンドは解約してもいいと思います。
もっとも、現在解約すると、乙の場合、購入したときの金額と比べて時価は円換算で約半額になっていますから、正直なところ、損切りはしにくいです。まあ、購入時の価格まで戻るには何年もかかるでしょうから、それまで塩漬けにするのがせいぜいでしょうか。あるいは、損を承知で、こんな変なファンドからは逃げ出すべきでしょうか。