読み始めてすぐの p.16 で、藤巻氏が 2008.10.6 の段階で、持っていた日本株全部と米国株の半分を売却したということが書かれています。そして、p.18 では、10月下旬に日米株を買い戻したとのことです。
日経平均の10月6日の終値は 10,473 円でした。10月31日の終値では 8,577 円でした。その後の経緯を見ても、藤巻氏の判断はなかなか優れていたと思います。
こんなふうに、藤巻氏は積極的に経済の動きを読み、それに対応した戦略で臨んでいます。
現在の状況をどう把握するべきか。そういう見方を知るために、本書はおもしろいと思います。
ところで、こういう本を読んだ人は、藤巻氏と同様の行動をするべきか。乙は、とてもではないけれど、真似できないと思いました。
まずは、日米を中心とした経済の動向を正確に把握することがむずかしいと思います。そのためにはかなりの時間もかかるでしょう。個人投資家がそういう情報収集をおこなうことは、不可能ではないけれど、かなり大変なことです。
そして、さらに重要なのは、判断したら即実行することです。乙は、最近、仕事が忙しくて、投資に割く時間がなくなってきました。持っている株を全部売却するなんて、けっこうな時間がかかり、不可能に近いとさえ思います。
というわけで、藤巻氏はエライと思いますが、多くの投資家は真似できないだろうと思います。乙自身もそうでした。
あとからこういう本を読んで「なるほどなあ」と思うくらいが関の山です。
p.149 あたりでは、今後の日本には資産インフレがやってくると予想しています。乙も同じように考えていますので、このあたりは共感を持ちながら読みました。
本書は、新書サイズで 200 ページほどですから、あまり長くはありません。しかし、12章構成で、各章が見開き左側から始まるようになっていて、章のタイトルだけで1ページとるようになっています。前の章が左側のページで終わると、章のタイトルの右側のページも空白になります。ということで、約 20 ページ分の空白があるようなものです。何か、かなりもったいないような気がしました。