pp.30-38 で鳥居氏が経験したお金持ちのなり方が書いてあります。おもしろい話です。鳥居氏はこれをそのまま信じているようです。自分の経験したものだから絶対だというわけでしょう。
しかし、それは一個人の経験でしかありません。みんなが同じようにやったら、同じように金持ちになれるかというと、それは違うと思います。なぜ鳥居氏が成功したのかはわかりませんが、この本に書いてあることに加えて、「何か」があったのだろうと思います。それは自分自身では気がつかないものだろう(したがって本に書けるものではない)と思います。
乙が読んだ本の中で、何冊か、お金持ちに関する本がありました。それらは大量のインタビューなどに基づいて書かれています。そのようにしてお金持ちを客観的に見ようとしています。鳥居氏は、そのような見方とは対極に位置します。
本書での記述の中心は、金儲けの話ではなく、お金の使い方です。
第2章では、「見えるモノ」ばかりにお金を使ってはダメで、「見えない価値」にお金をかけることが重要だと説きます。そして、自分を成長させるための「投資」として、3点をあげています。
(1)人と会うことに投資する
(2)学ぶことに投資する
(3)健康に投資する
記述はいずれも具体的でおもしろいものでした。(1)では、各種セミナーへの参加のしかたが参考になります。講師の人への近づき方といったものです。(2)では本や映画、セミナーにお金をかけることを述べています。そして(3)では体形の維持や「歯」に投資することを述べています。新鮮な観点でした。
第3章では「空間」や「時間」にお金を惜しまないことを述べています。ビジネスクラス、グリーン車、一流ホテルのラウンジ、高級レストランなどを使うことの意味が明解に書いてあります。乙はこういう視点を持っていなかったので、新鮮な感覚で読むことができました。
本書の後半は記述がやや抽象的で、ややつまらない感じがします。ビジネスの話は、一般論として述べようとすると抽象論になってしまいます。具体的に書くとおもしろいのですが、やはりいろいろ差し障りがあるのでしょう。
しかし、第3章までの記述だけで充分本書を読む価値があると思います。