ネットカフェ難民がどんな生活を送っているのか、ネットカフェ難民自身が書いた本ということになります。いろいろと興味深い「生活の知恵」が出てくるので、これからネットカフェ難民になろうとする人には必読書でしょう。初めからそう思う人はいないと思いますが、結果的にネットカフェ難民にならなければならない人はいそうです。
p.38 では新聞紙の使い方が開陳されます。応用の広さに驚きます。
p.59 では、ネットカフェでの寝方(寝るときの姿勢)が論じられます。ここにもいろいろな工夫があります。
p.88 では、シャワーの使い方です。びっくりするような使い方も書いてあります。
p.144 では、オナニーの話まで赤裸々に描かれます。
p.158 は、洗濯のしかたです。コインランドリーを使うよりも、シャワーを浴びる際に一緒に洗濯してしまうというようなやり方が説明されます。
たしかに「ドキュメント」かもしれません。まあ、ネットカフェ難民はこんな生活をしているのでしょう。
こういう生活でも充分成り立ちます。自分(若い男性?)がひとりで生きていくには充分かもしれません。
しかし、多数の人は、そういう生活をしていません。自分ひとりで食べていくなら、ちょっとアルバイトすれば生きていけるのは事実です。しかし、結婚しようとか、さらに子供をもうけようとすると、自分ひとりが生きていくのとは違った費用がかかるものです。子育てには住宅が必要です。お金は、自分自身で食べていくためではなく、妻や子どもを食べさせるために、さらには、子どもに教育を受けさせるためにこそ必要になってきます。つまり、ネットカフェ難民では、子どもがもうけられないのです。
著者の川崎氏は、ネットカフェ難民の実態を描いていますが、乙には、自分の能力(妻や子どもまでを養っていけるだけの力)があるのに、それを発揮せずに、何となく非生産的で怠惰なライフパターンを選んでいるだけのように見えます。本書中に書いてあることが事実ならば、「もう少し他にやるべきことがあるだろうに」と思います。
最近は、こういう生活を選ぶ若者が増えているようで(自分から主体的に選んでいるのか、他人から強制されるのか、知りませんが)、こんなことでは、日本全体がどうなっていくのか、将来が本当に心配になってしまいます。
ラベル:川崎昌平