内容は、タイトル通りの本で、読んで損はないものと思います。
第1章が株、第2章が投資信託、第3章がデリバティブ、第4章が保険、第5章が債券、第6章が外貨建て商品、第7章が不動産、第8章が預金というわけで、一通りの金融商品を取り上げています。
一読すると、吉本佳生(2007.11)『金融商品にだまされるな!』ダイヤモンド社
2008.4.28 http://otsu.seesaa.net/article/94842594.html
に近い印象を持ちました。
乙が興味深く思ったのは、p.186「個人向け外債はどう作られるか」です。結論は、個人向け外債は買わないということです。個人向け外債がこんな形で作られていることを知ると、なるほど、投資するべきものではないと思います。
乙はちょっとだけ個人向け外債を買っているのですが、今は反省しています。
2009.4.11 http://otsu.seesaa.net/article/117253628.html
もう一つ、こちらは気になったことですが、p.163 で外国為替レートの決まり方を説明しているところで、ゴチックでこう書いてあります。「総合的には、実質金利の高い国の通貨は高くなりやすいと言えます。」
一方、p.165 の図では吹き出しふうの結論のところで「金利の高い通貨に対しては、円高になりやすい」と書いています。円高とは、現地通貨安のことですから、言い換えれば「金利の高い通貨は安くなりやすい」ということで、p.163 の記述と矛盾しています。たった3ページのところで矛盾があるというのはいかがなものでしょうか。
ちなみに、乙は、この問題に対して、p.165 の記述が正しいと考えています。つまり、p.163 の記述は間違いなのですが、短期的には p.163 が成り立つかもしれません。p.165 は長期的に成り立つと思います。
本書は、金融商品に関する真っ当な考え方が述べてあり、全体としては良書だと思います。
ラベル:永野良佑