現在、役員の報酬総額を株主総会で決議するため、株主総会招集通知で役員数や総額を知らせてきます。
しかし、乙は、一個人株主として、そのような決議案を見たとき、賛成も反対も言えないと思っていました。だって、たいていの会社の株主総会では、個々の役員の報酬が示されることはなく、「取締役会の決めた基準に従って報酬を与えることにし、具体的な金額は取締役会に一任する」とかいう文言になっていたからです。誰にいくら払うのか、一切を伏せたままで株主総会で議決するというのは変です。これでは、その報酬が妥当か妥当でないか、判断できません。そこで、乙は、株主総会に出席できない場合に、委任状を書くときに、役員報酬のところはいつも「反対」の意思表示をしていました。わからないのに「賛成」と意思表示するのは変だからです。
乙はいくつかの会社の株主なので、年1回は株主総会の案内が来ますが、議決権を行使するときは、いつも自分の信念に即して、役員報酬に関して「反対」の意思を示してきました。これは、報酬を払うなといっているわけではないのです。具体的な金額を示さなければ判断できない、つまり、払うことに賛成できないので、(賛成か反対かの二択である以上)反対とせざるを得ないのです。
「議案」というのは、これこれしたいという具体案を明示して、賛成/反対を求めるものであるべきです。報酬の具体的な金額を示さないで「議案」とするのは、常識に反すると感じていました。これでは、報酬を払うかどうかだけを議決することになり、それは払わないのはおかしいわけですから、払うことに賛成するでしょう。問題は金額なのです。個々の役員に対してそれぞれの金額が妥当かどうかということが議論・決議されるべきです。金額を明らかにしなければ、議案が妥当かどうか、判断できません。
こんな簡単なことがうやむやにされている日本の会社(さらには会社法のあり方自体?)は、変だと思います。
今回の記事では、2010 年3月期からの有価証券報告書に役員報酬をわかりやすく記載することになりそうです。そうなれば、役員報酬が、株主だけでなく、一般公開されることと同じことですので、望ましい話だと思います。