投資家として有名な竹田和平氏とさわかみファンドの創立者の澤上篤人氏の共著ということで、期待して読みました。
結果としては、おすすめできない本だと思います。
2回の対談(それに+αとしての付録)を本にまとめたものなのですが、対談は、考え方などを述べあうにはいいものの、そのような考え方の裏にある具体的なデータなどを示すことはむずかしく、実際、本書中にもそういう話はほとんど出てきません。そのため、すらすらと読むことはできますが、それだけで、いくつかのエピソードが記憶に残る程度です。
投資に関する本ではなく、読む必要はないものと思われます。
乙がおもしろいと思ったのは、p.28 から p.30 の澤上氏の発言で、農地解放で「家」が破壊されたマイナス面を指摘しているところでした。戦後の農地解放を「おかしい」としています。以前の地主と小作人の社会でも、地主は小作人のことを考えていたし、持ちつ持たれつで田舎が成り立っていたとしています。それを農地解放で破壊し、小作人が農地のオーナーになり、突然、自分で農業経営をするようにいわれたわけで、これはうまくいかないというわけです。多くの人は自立して農業をやっていく勉強も準備も十分にできておらず、結局役所の規制や保護が行われ、農家がダメになったという見方です。
今でも、日本の農業は問題視されていますが、その発端は農地解放にあったようです。