2009年11月02日

門倉貴史+賃金クライシス取材班(2008.6)『貧困大国ニッポン』(宝島社新書)宝島社

 乙が読んだ本です。「2割の日本人が年収200万円以下」という副題が付いています。
 たくさんのワーキングプアに取材して、その生き様の具体例をちりばめた本です。大変きびしい生活が赤裸々に描かれます。中でも、pp.70-90 あたりでは、貧しさの故に売春するしかない(地方の)女性が登場します。いやもうどうしようもない感じです。また、男性の例では、pp.127-150 で闇職系若者を取材していますが、犯罪に手を染めるとなると、一線を越えたことになります。今の日本で、売春や犯罪と結びつくほどに、貧困が蔓延しているということです。貧しさ故にこんな人たちがいるのだと知るには、こういうルポ風の本が適していると思います。投稿する証言は全部匿名ですが、きちんと取材した結果だろうと思われます。
 本書では、最低賃金を引き上げることでこうしたワーキングプア問題を解決しようという提案をしていますが、話はそう簡単ではなさそうです。働き方を含め、日本社会のさまざまな事情が絡み合っており、それに対する簡単な解決策はないだろうと思います。
 多数のワーキングプアがいる日本の現状も問題ですが、日本社会の将来を考えると、さらに暗澹たる気持ちにさせられます。
 乙は、どうしたらいいか、まったく見当も付きません。マクロな日本社会の問題もさることながら、ミクロなワーキングプア個人のケースでも悩みは深いものがあります。
 乙の回りにも、働いていない若い人がいたりするのですが、そういう人をどうしたらいいか(どう働きかけをしたらいいか)、考えてもよくわかりません。困ったことだと腕組みするだけで、時間がどんどん流れ、そういう人たちが社会から取り残されていきます。10年、20年と経つと、みんなそれだけ年を取りますから、今のままでは成り立たないのですが、さりとて、展望はまったくありません。

posted by 乙 at 05:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする