どうやら若い女性の職場が減っているようだ。【中略】
私がいた会社は、高卒や短大卒の女性を事務職として多数採用していた。だがパソコンが普及するにつれ、総合職が自己完結するようになると、事務職に頼む仕事は激減した。よって以前のように採用しなくなった。このような変化は、方々で起きているに違いない。
結局、何らかの専門性を身につけねばならないということだろう。そして、若者はこの現実に直面しているのではないか。私のように、ぼんやりと進学し、就職できた時代は去った。
こういう話を聞くと、昔、多数採用していた女性の事務職(「女性」と限定してしまうと性差別的に聞こえますが、その昔は実際そういう女性が多かったように思います)は、具体的にどんな仕事をしていたのでしょうか。本当にそれらの仕事がパソコンに置き換わっていったのでしょうか。
それぞれの職場で数十年かけて変化が起きているので、個々の事情と、日本全体を見渡したときの概観がかなりずれている面もあり、実際のところよくわからないように思います。
よろしければ、年配の方の「記憶」をうかがいたいところです。
乙の感覚では、高任氏の認識とだいぶ違います。データに基づいた議論ではなく、単なる感覚にすぎないのですが、……。
昔は、女性の就職というのは、会社側にとって、男性社員の花嫁候補の採用という面が強かったのではないでしょうか。人事部の仕事は、容姿を確認するために面接し、自宅から通える人(親と同居している人)を採用することで、しっかりした(変な男性遍歴がない)花嫁候補を選ぶことができるといったことです。
会社としては、男性社員にちゃんと家庭を持ってもらって、その男性が安定的にバリバリと働けるようにしてもらうということです。そのためには、専業主婦としてちゃんと切り盛りしていける優秀な女性(花嫁候補)を採用する必要がありました。したがって、女性社員を採用しても、これといった仕事は、ほとんど何もなかったりします。お茶くみやコピー取り等の雑用程度です。それでも、当人が若ければ、年功序列制度のもとでは給料が低いですから、アルバイトを雇うのと同じで、あまり人件費もかけずに採用しておくことが可能でした。そして、結婚退社してもらうか、女性は若年定年制で30歳程度で辞めてもらう(この年ではもう花嫁候補にはならない)という仕組みになっていたように思います。社内の規則がそうなっている例が多数ありました。
その後、男女雇用機会均等法などで女性の若年定年制がなくなり、女性が働き続ける例が出てきます。すると、女性の人件費も年齢とともに上がっていくので、簡単な仕事を頼むのでは、コストに合わなくなります。そこで、総合職ということで、女性にも男性並みの仕事をしてもらうようになります。お茶くみやコピー取りは(本当に必要ならば)パートやアルバイトを雇って(彼(女)らは長期雇用ではありませんから)短期的にとっかえひっかえするようになります。こうして、会社の中では総合職とパート・アルバイトの2極化が進行し、女性事務員はいなくなります。
このような解釈では、パソコンが事務職を駆逐するようなことはないということになります。
乙も、仕事上でパソコンを使うことがありますが(というか、それがメインですが)、パソコンを使えば使うほど、補助的な仕事(データの整理等)が必要になります。そのために、人を使うことになりますが、それは総合職に頼む話ではなく、結局、パート・アルバイトに頼むことになります。
こんなことを考えていくと、日本で若い人に非正規雇用者が多く、不安定な立場の人が増えているのは、男女雇用機会均等法のせいだ(いやまあそれだけではないでしょうが)というような議論になってきます。
これからの日本は、一部の優秀な人を総合職の正社員として採用すれば十分であり、そうでない人は非正規雇用しか残されていないように感じています。大変な社会になっていくことが予想されます。