2009年12月19日

週刊ダイヤモンド 2009.12.19 特集「負けない海外投資全指南」

 乙が読んだ雑誌です。「「本当に買っていいETF・投信」完全分析」という副題がついています。
 特集自体は、pp.34-83 ということで、50ページもあります。かなり大部な感じです。
 Part1では、「「世界経済の成長」を買う!」と題して、世界の各国が10年後にどうなっているかを予測しています。
 興味深いのは、p.41 の表です。2020年の各国の株価予測が載っています。これがどうやって計算されたかというと、「注」に書いてありますが、「各国の代表的指数の08年12月1日から09年12月4日までの平均値を算出。門倉氏の予測に基づいてIMFの09年の名目GDPの予測値を1とした場合の、それぞれ15年、20年の名目GDPの水準の倍率を平均値に掛けたもの」となっています。つまり、各国の株価は各国のGDPの成長率に単純に比例するという考え方が基礎になっています。この考え方は、まさにジェレミー・シーゲル氏のいう「成長の罠」そのものであり、シーゲル氏によれば、まったく当てはまらない(むしろ逆の傾向がある)ということになっています。
 乙は、「成長の罠」が当てはまるか当てはまらないか、疑問だと考えていますが、当面、成長率の高い国に投資しても儲かるわけではないと考えています。
2009.12.7 http://otsu.seesaa.net/article/134909389.html
2009.12.5 http://otsu.seesaa.net/article/134738480.html
2009.12.3 http://otsu.seesaa.net/article/134565332.html
2009.12.2 http://otsu.seesaa.net/article/134477485.html
2009.11.30 http://otsu.seesaa.net/article/134292992.html
2009.11.29 http://otsu.seesaa.net/article/134198101.html
2009.11.26 http://otsu.seesaa.net/article/133921112.html
つまり、乙は p.41 の表は、間違いであると考えています。
 Part2は「低コストと分散で負けない!」というものです。
 pp.47-49 の「コストの重みを知る」はとりわけ重要な記事でした。ファンドの信託報酬はまだまだ下げられるという話です。業界の事情の裏側まで書いてあり、個人投資家はぜひこういったところも知っておくべきことでしょう。
 それをデータで検証するかのような p.50 のコラムがあります。中国株、新興国株、インド株のグラフを出して、低コストのETFと高コストの投信の運用成績を比べたグラフです。記事の主張はわかりますが、乙の感覚では、これらのグラフは失敗していると思います。なぜならば、グラフにした期間が3年程度しかないからです。低コストのETFと高コストの投信と言ったって、そのコストの差は1年で1%程度しかありません。新興国株のところは、最低と最高で2%近くの違いがありますが、これは例外です。1年で1%ですから、3年経ってもたかだか3%しか違わないのです。ある日を基準にして100として、それから3年経った場合でも、数本の折れ線のグラフは3程度しか違わないのです。一方で指数の上下のブレはきわめて大きく、中国株などは100から出発して、340を越えるときもあれば、60を下回るときもあるといった調子で、そんなグラフで3程度の違いは見えなくなってしまいます。いや、グラフで確かに違いが見えると主張する人もいるかもしれません。それは、たまたまグラフがそうなったのであって、本来は違うのです。
 つまり、p.50 のようなグラフを書く場合、3年程度では意味がないのです。10年もすれば、1%のコスト差でも結果に大きく響いてきて、10%以上の差がつきますから、100を基準にすれば10程度の差ということで、グラフではっきり違いが確認できるでしょう。しかし、そんなに長期の運用をしているETFなり投信なりがそうそうあるわけではありません。ですから、グラフ化して、目で確認するというのでは不十分であり、むしろ誤解を与えるものなのです。頭でよく考えなければなりません。そうすれば、ちゃんと結論が出ます。
 記事の意気込みは買いますが、空振りしています。
 Part3は「何を買えばいい? 全ガイド」ということで、ETF や投信の一覧が掲載されています。これはなかなかの力作です。こういうのを見ながら相互に比較して、必要なものを買うことができます。
 Part4は「「買い時」はいつ? 大予測」ということで、相場観を掲載しています。週刊誌としては、こういう記事にしておかないと、雑誌自体の売り上げが伸びないのでしょうが、ムダな記事です。実際、記事を見れば、「識者」の相場観が大きくずれていることが見てとれます。仮に一致する場合だって、それが正しい(本当にそうなる)とは限りません。いや、むしろ当たらないのが当たり前と見るべきです。こういう記事を掲載するあたりは、特集の企画者は本当の意味で投資の本質をわかっているわけではないことを示しています。

 なお、乙は、今回の記事で「書いてなかったこと」も気になりました。それは、国内で行う投資だけでなく、海外の証券会社や銀行を通じて行う海外投資のことです。50ページの中で書くことは無理かもしれません。でも、それで「全指南」とは羊頭狗肉的だなあと感じてしまいました。国内の証券会社や銀行の高コスト体質にも切り込んでほしかったです。
 この雑誌の特集に関しては、あちこちの投資ブログで話題になっています。
http://blog.livedoor.jp/tsurao/archives/1251751.html
http://fund.jugem.jp/?eid=1244
http://www.lay-up.net/archives/blog-entry-733-0912142250.html
http://renny.jugem.jp/?eid=1284
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-1259.html
http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/2009/12/1219-f6f8.html
皆さん、高い評価が多いのですが、乙は、そんなに諸手をあげて賛同する気にはなれませんでした。

posted by 乙 at 05:08| Comment(2) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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