2007.6.4 http://otsu.seesaa.net/article/43802021.html
いつも、郵便で運用報告書を送ってくるのですが、めんどうに感じて、あまりまじめに読んでいませんでした。
しかし、せっかくなので、ちょっと目を通してみることにしましょう。
少し前に送ってきたのは、2009 Annual Report to Shareholders というもので、2009.8.31 付けのものです。
ネットでは、
http://us.ishares.com/content/stream.jsp?url=/content/repository/material/annual_report/msci_europe_ar.pdf&mimeType=application/pdf
で見ることができます。
なお、最近、目論見書も改訂されたようです。
http://us.ishares.com/content/stream.jsp?url=/content/repository/material/prospectus/ezu_prospectus.pdf&mimeType=application/pdf
乙のところにメールで連絡がありました。
運用報告書は、英語で132ページにわたって書かれているので、ちょっと読む気が起こりませんが、いくつかのヨーロッパのファンドを一緒にして書いているのでこうなっているだけで、EZU だけを取り出して読む分には、大したことはありません。
p.7 では、市場概況と運用状況が説明されますが、失業率がどうたらこうたら書いてあったりする程度で、あまりおもしろくありません。でも、リターンがマイナスのときは、(19.02)% などと書くのですね。乙はこんなことも知りませんでした。しかし、以下では(日本式に)「-」を付けて表すことにしましょう。
p.8 では、具体的な運用結果が数字(とグラフ)で示されます。1年間だと、NAV が -19.05%、MARKET が -18.31%、INDEX が -19.02% となっています。それぞれがどういう意味かは、グラフの下の小さい活字で説明されています。NAV が正味価値に基づくもので、MARKET が市場価値(ETF なので、市場で売買され、正味とは別の価格になる)に基づくものです。これらは配当金を再投資した場合として計算されていると書いてあります。インデックスは配当金を含まないものです。p.8 の上のほうに、5年間の成績、および設定日からの(約10年の)成績が出ていますが、INDEX が一番成績がいいのに対して、MARKET および NAV はそれを下回っています。とはいえ、まあごくわずかなので、乖離率として心配するほどのことはありません。それでも、設定日以来のところを見ると、インデックスよりも毎年平均 0.3% ほど悪くなっています。信託報酬がかかるとしても、株式の配当が受け取れるのにマイナスになっているというのはコストがそれだけ高いということの現れのように思います。
p.63 は、バランスシートです。乙はこういうことに関しては素人ですから、英語の読み方が間違っているかもしれませんので、ご注意ください。
まず、Total cost of investments ですが、投資した資金総額ということで、$1,061,056,680 です。前期末の数字でしょうか。
Total fair value of investments は現在額です。$746,349,173 しかありません。その下の欄の細かい数字を合わせて、Total Assets(全資産現在額)として $750,386,364 です。
一方、負債(LIABILITIES)は、保険や投資顧問料などで $9,116,474 ありますから、正味資産(NET ASSETS)は、$741,269,890 です。
Paid-in capital は、投資家から払い込まれた資金総額です。$1,171,792,947 です。Total cost of investments の $1,061,056,680 とずれています。その差は、よくわかりません。
11億7千万ドル集めて、10億6千万ドル投資して、現在の資産が7億4千万ドルしかないわけですから、その差額(3億2千万ドル)は株価が下落したことと、資金が逃げ出したことで説明されるのだろうと思います。
株価の下落はほぼ「Net unrealized depreciation on investment」などに該当します。株を売却すれば損失が確定しますが、売却しなければ損失にはなりません。一方、信託報酬などは、すでに運用会社に取られてしまっていますから、その他のコストと合わせて「Accumulated net realized loss」になるのではないでしょうか。
Accumulated net realized loss は -$118,992,008 と書いてあります。これについては、乙は次のようなことかなと思いましたが、間違っているかもしれません。気がついた方がいらしたらご指摘ください。Accumulated net realized loss は現在までの総コストを通算したものではないかと思います。NAV $741,269,890 を基準に考えると、約16%に該当します。運用年数9.4年で割ると、1年あたり 1.7% となります。投資家の投資した資金総額 $1,171,792,947 を基準にすると、約10%に該当します。運用年数9.4年で割ると、1年あたり 1.08% となります。
費用については、p.66 の Statements of Operations に書いてあります。投資顧問料 $3,909,074 と 外国税 $31,782 の合わせて $3,940,856 です。投資顧問料は、NAV の 0.53% に該当し、予定されている信託報酬にほぼ該当します。
今回の運用報告書を読んでいて、何よりも、乙が驚いたのは、p.77 です。そこに過去5年分の推移が書いてあります。資産総額を見てみると、次のようになっています。(千ドル単位です。)
2005.8.31 $547,284
2006.8.31 $1,794,921
2007.8.31 $2,971,565
2008.8.31 $1,291,808
2009.8.31 $741,270
つまり、2007.8.31 の段階で資金量がピークを付け、その後、大半の資金は逃げ出したということです。この期間で、Net asset value はこんなに大きく変動していませんから、解約が多かったということです。
ETF は長期保有のツールとして使うのもいいですが、現実的には、かなり短期的に売買されているようです。皆さん、相場を読むのに慣れているものですねえ。ちゃんと株価が下がる前に逃げ出しているのですから。