どんなところが無料化されるのかなと思って国土交通省の資料を見てみると、
http://www.mlit.go.jp/common/000057575.pdf
合計 1,626km(約18%)と書いてあります。
初年度だから、こんなものかもしれません。では、具体的にどこが無料化されるのかと思って、この記事の末尾のほうの路線図を見てみると、何とびっくり。東京近辺の無料化区間はほとんどありません。
それだけでなく、どうでもいいような路線を適当にピックアップした感じになっています。長さでいえば、全体の 18% かもしれないけれど、実質的には、数%以下ではないかと感じます。
なるほど、「無料化社会実験」なんですね。しかし、こんな実験をして、一体何になるのでしょうか。
休日上限 1,000 円による渋滞実績のグラフを見ても、東京近辺の渋滞ぶりはすごいものです。
同じ「高速道路」と言っても、都市のそれと地方のそれはずいぶん違ったもののようです。乙が走った経験でも(そんなに全国を走り回っているわけではありませんが)、地方のがら空き具合は、経営が心配になるくらいのレベルでした。
今回の社会実験で、地方の高速道路の無料化の影響はある程度わかると思いますが、都市部の場合はわからないというべきです。ということは、つまりは無料化の影響はわからないと言っていることと同じです。高速道路の利用者は都市部に多いわけですから。「実験」してもあまり意味はありません。
まあ、1,000 億円だけの予算でお茶を濁そうとすると、こんなことになるのでしょうかね。
高速道路を無料化する(つまりは税金で維持する)べきか、有料化のままにする(つまりは利用者の負担で維持する)べきか、それは少しくらいの社会実験でわかるものではなく、基本は政治的判断だろうと思います。
今の民主党政権に(自民党政権でも同じく)そういうビジョンはないし、判断するリーダーシップを取れる人もいないようです。
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2009.4.15 休日の高速道路の利用料 1000 円
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2008.12.18 松下文洋(2005.5)『道路の経済学』(講談社現代新書)講談社
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2008.6.14 山崎養世(2008.3)『道路問題を解く』ダイヤモンド社
http://otsu.seesaa.net/article/100455602.html