タイトルから判断して、2009 年夏の衆議院選挙のことを書いているのだと即断してしまったのですが、実は、それだけではなくて、2005 年の郵政解散総選挙のあたりからの数年間の政界の動きを扱っています。
菅原氏がいいたいことは、タイトルによく現れています。
我々は、世論を正しく把握することがむずかしく、結果的に、一部批評家などが勘違い発言をしているということです。
本書には、各種統計調査の例が豊富に出てきますし、それぞれの数字の読み方なども丁寧に解説されますので、とても説得力があります。
巻末には、それぞれのデータの出典が書いてあり、自分の説の裏付けが明記してあります。こういう態度は好感が持てます。
新書ということになっていますが、中身は濃いです。論述が詳しいのに加えて、図表もしっかり入っています。それぞれを吟味しながら読むと、かなり時間がかかります。結果的に政治学の一部がわかるような気がします。
それにしても、世論は移ろいやすいものですね。
今後も選挙のたびにさまざまな誤解・曲解が生まれ、メディアに登場してくるでしょう。そういうものを見極める目を養うことが重要なように思いました。
本書を読むことで、過去の流れを整理してとらえることができるようになりました。
それにしても、自民党が大敗して民主党政権が成立したわけですが、その後の経緯を見ると、民主党も信頼できないことが明らかになったように思います。日本はこれからどういう方向を目指せばいいのでしょうか。