2010.5.24 http://otsu.seesaa.net/article/150866987.html
Yさんに返事を書くつもりで記事にします。
さて、まずYさんのおたずねで気になるところですが、いくつかの話がごっちゃになっているように思います。これらを分けて考えるべきでしょう。
乙がYさんからのメールを読んだ限りでは、どうも以下の4点があるようです。
[1] 海外に資産を移すことの是非
日本の銀行に預けておいても危ないと感じている。
[2] フィリピンの物件を所有し、賃貸して、高利回りが得られるか
[3] フィリピンの物件を所有し、賃貸する場合、仲介者に手数料 1% の支払いは妥当か
[4] 老後はフィリピンに(当該物件に)住むことはどうか
今日は、[1] についてコメントします。
Yさんが、「円がいつか紙くず同様になる」と考え、だったらやはり海外に預金を移した方がいいと考えるならば、そうなさるほうがいいでしょう。
しかし、その前に(それと同時に)日本を脱出するべきです。日本に住む限りにおいて、「円」という日本の通貨を使わざるを得ないし、いくぶんかは所有しておかなければ暮らしていけません。「円」を所有し、それを使いつつ日本で生活しながら、一方では「円」が信頼できないと考え、海外に(外貨で)預金しておこうというのは、考え方として矛盾していると思います。「円」への信頼がまったくないならば、外国で暮らし、「円」を使わないことです。日本の不動産などは全部売り払いましょう。すべての資産は今すぐに外貨に両替し、外国を目指しましょう。
でも、ちょっと考えてみてください。
「円」はそんなに「危ない」ですか。「円」が紙くずにならなければ、「円」を使いながら日本で生活してもいいのではありませんか。
ここで話は「円」が紙くずになる確率の問題になってきます。確実に紙くずになるならば、さっさと日本を脱出するのがいいし、確実に紙くずにならないならば、無理に日本を脱出することは不必要で、今の生活を継続させればいいはずです。実際は、両方の中間でしょう。どちらになるか、わからないというのがホントのところでしょう。
では、「円」が紙くずになる確率は高いのでしょうか、低いのでしょうか。そもそも、今後何年くらいを考えておけばいいのでしょうか。自分が死ぬまでに「円」が紙くずにならなければ、その後そうなったとしても自分の人生にはほとんど影響はありません。
このあたりの予測は、個人の主観の域を出ません。
Yさんは、乙と同年代ですから、たぶん今後30〜40年くらいは生きるとしましょうか。40年以内に「円」が紙くずになるでしょうか。これはホントにわかりません。
今の民主党政権のような国債の大量発行、バラマキ政策を続けていけば、日本の財政は10年程度しか持たないかもしれません。しかし、政府もバカではありませんから、今のやり方ではダメだというような主張が現れて、国債の発行が縮小し、(したがって増税がなされ)バラマキをやめるかもしれません。このあたりは何とも予想ができません。
乙は、基本的にそのような自浄作用に期待しています。
つまり、日本の政策変更で、「円」が紙くずにならないように努力がなされると思います。「円」が紙くずになる事態となれば、経済は大混乱になり、ほぼ全国民が不幸になります。それは避けるべきだし、政府がそう考えれば避けられるものです。
そのため、日本の財政破綻の確率は、さほど高くないのではないかと思っています。
いうまでもなく、個人の主観ですし、予想できないことをあえて予想しているという点に注意してください。
では、なぜ、一部の人はすぐにでも日本が破綻するようなことを主張するのでしょうか。今すぐにも、預金封鎖やそれにともなう新円切り替えがあるかのごとき主張をするのでしょうか。
それは、そうやって人々を怖がらせて、自分たちは金儲けをしようとたくらんでいるからだと思います。
海外に銀行口座を作り、そこに資金を入れておくことは誰でもできます。資金を増やすためにいろいろ投資することもできます。手数料はさほどかかりません。しかし、海外口座をすすめる人たちは、自分たちが口添えしてあげよう、口座開設を手伝ってあげようといって、手数料を受け取ります。つまり、そういう人たちは、人々を怖がらせることで金儲けをしているのです。
そういう「おどし」を真に受けてはいけません。冷静に考えるべきです。
なお、海外に資産を移すことと、海外で不動産を購入することは、まったく別のことだと思います。