http://www.lay-up.net/archives/blog-entry-805-1005252128.html
期待リターンとリスクについて、いくつかの値を示しています。(相関係数も示されていますが、ここでは省略します。)
乙なりに並べてみると、以下のようになります。
期待リターン
GPIF (1973年-2007年) | KKR (2000年-2009年) | ニッセイ (1987年-2006年) | みずほ (2010年4月現在) | |
国内債券 | 2.8% | 1.2% | 4.6% | 3.5% |
国内株式 | 5.3% | 4.2% | 5.5% | 6.0% |
外国債券 | 3.4% | 1.1% | 6.1% | 3.5% |
外国株式 | 6.0% | 4.2% | 10.8% | 6.0% |
短期資金 | 2.1% | 0.1% | 2.3% | 2.5% |
リスク
GPIF (1973年-2007年) | KKR (2000年-2009年) | ニッセイ (1987年-2006年) | みずほ (2010年4月現在) | |
国内債券 | 5.4% | 2.0% | 3.6% | 3.7% |
国内株式 | 22.15% | 18.4% | 19.5% | 21.6% |
外国債券 | 13.25% | 10.0% | 10.6% | 12.6% |
外国株式 | 19.59% | 19.5% | 17.5% | 20.2% |
短期資金 | 3.72% | 0.1% | 0.7% | 3.5% |
何がおもしろいと言って、期待リターンでは、4種類の資料で数値が大きく違っていることです。(短期資金は別として)大きなところから小さいところまで、数倍程度の違いがあります。
一方、リスクは、そんなに大きく違っていないようです。(国内債券はかなり違いがありますが。)
その先のアセットアロケーションの決め方などで科学的に計算したとしても、その基になる数値でこれだけ大きな差があっては、一体どれを信頼してよいものやら、困ってしまいます。
もちろん、4種類の数値は、算出の基になった期間の違いが大きいはずですが、しかし、個人投資家から見たら、そんなことはほとんど無意味です。重要なのは、「これからどうなるか」であり、それを推定するために過去の記録を見ているだけです。では、一番長期の GPIF の数値を信用するべきなのでしょうか。これもよくわかりません。
これからの長期投資を目指して、(自分は死んでしまうけれど、子供が引き継いでくれると考えて)100年程度を考えるというのであれば、過去数百年のデータがほしいところです。一方、そんな長期のデータはないし、あったとしても、この間に政治体制がまったく変わっており、そんな長期データは今後の参考にならないというのも説得力があります。
長期データが必ずしも適確に未来を予測するわけでもないと思います。日本のことを考えるだけでも、1973 年といえば、オイルショックがあったときでトイレットペーパーがなくなったりしたころです。日本は基本的には高度成長を続けていたころでした。1987年には、日本経済が大いに発展し、(一方ではバブル化しており、)海外に進出する企業も多く、未来はバラ色でした。2000年といえば、日本では失われた10年を経験して、どうにもならない閉塞感がただよっていました。そのときどきでちがった様相を見せていました。世界を見渡しても同様でしょう。
過去の出発点としてどの時点を取るかは簡単に判断できる問題ではありません。
大きな傾向として、現在は、過去20年くらいの延長上にありそうで、今後の日本経済の見通しもあまり明るいものではなさそうです。少子高齢化はこれからも進んでいき、経済的には縮小して行かざるを得ません。これから数十年を見通すとき、1973 年以来のデータがそれを反映しているかといえば、まったくそうは思えません。2000年以来のデータではどうかといわれれば、まあ当てはまりそうな気がします。しかし、過去10年の傾向がこれからずっと続くだろうというのも変な話で、ここいらへんで日本のあり方を大きく変えようということになるかもしれません(ならないかもしれません)。
というわけで、一見科学的な投資理論もありますが、実際はヤマカンが支配している面もかなりあります。