乙は、最近も年金の本を読んだために、年金について考えることが多くなりました。
その途中で考えたのですが、子供を産んで育てた人と、子供を育てなかった人が同じ金額の年金をもらうのは不合理ではないでしょうか。
子供を一人育てるのに、かかる費用はさまざまでしょうが、ざっとマンション1戸分くらいという言い方があります。二人を育てれば、マンション2戸分が消えてしまいます。
年金は、賦課方式が基本で(積立方式にするべきだという議論もわかりますが)現役世代が高齢者を支える形になっています。だとすると、子供をもうけた人は、年金保険料を払って高齢者を実質的に支えてくれる現役世代の育成に貢献しており、子供をもうけなかった人は、そういう貢献をしてこなかったということになります。
一方、子供を育てた人は、そのために数千万円を消費してしまったのに対し、子供を育てなかった人は、その分を預貯金(あるいは投資)に回して老後資金を多めに確保できるわけです。
どうも不公平ではないでしょうか。
そこで、子供がいない人の年金は支給額を減額するということにしたらいかがでしょうか。
どれくらい減額するといいかはむずかしいのですが、ちょっともらえる年金の額について計算してみましょう。
まずは厚生年金の場合ですが、
http://www.nenkinzatugaku.com/column2.htmlによると、平均 200 万円くらいもらえるとのことです。65歳の人の平均余命は
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/20th/p02.htmlによると男性が18年、女性が23年とのことです。すると、65歳から年金をもらうとして、男性の場合で、3,600 万円、女性の場合で 4,600 万円となります。
国民年金は平均 60 万円くらいもらえるようです。
http://allabout.co.jp/finance/gc/12085/とすると、同じく65歳から年金をもらうとして、男性の場合で、1,080 万円、女性の場合で 1,380 万円となります。
もらえる年金は、意外に少ないのですね。
こう考えてくると、子供を育てなかった人は、年金ゼロでもいいかもしれません。それでは生活できないという人もいるかもしれないし、年金保険料を25年以上も払って1円ももらえないというのもおかしいと思いますので、ざっと概算で、年金を半額にするというところでいかがでしょうか。
これでいくつかのいい影響がありそうです。
第1に、年金の積立金不足がかなり解消できるでしょう。
第2に、少しは、少子化対策になるかもしれません。子供をもうける方がトクということになります。年金をもらうために子供をもうけるというのも変な話ですが、誰も子供を産まなければ、年金の支え手(保険料の支払者)がいなくなるというのも事実です。
一方、この制度の設計上、問題になりそうなこともあります。
第1に、こういう制度にすると、年金を受領し始めるときの資格認定として子供がいることの証明が必要になります。しかし、これは戸籍でわかります。子供が先に死んでいる場合でも(除籍されてはいるものの)記録は残っています。離婚してもOKです。
第2に、子供が(病気その他で)働けない場合、どうするかという問題もあります。しかし、それは問わないことにしましょう。子供が外国に行ってしまって、日本に年金保険料を納めていないケースも出てくるでしょうが、それも問わないことにしましょう。
第3に、子供の数による減額の多少の問題です。子供の数が1人か、2人かで子育ての負担が変わってきますが、子供の人数による違いは無視してもいいでしょう。子供が増えても、子育ての負担は人数に比例倍するわけではなく、少し増えるだけです。
第4に、子どもを産んだあと育児放棄した人などをどう扱うかという問題もあります。しかし、これも、施設などで育てて、そういう子供が大きくなれば働くようになる(そして年金保険料を払う)と考えれば、それはそれでいいでしょう。
第5に、養子の問題もあるかもしれません。が、とりあえず、養子も実子も区別しないことでいいのではないでしょうか。
第6に、国民年金の未納率がさらに高くなる問題があります。子供がいない人は、年金をもらう意味がいよいよ少なくなりますから、払ってもムダだという感覚になるでしょう。それを防ぐためには、国民年金の保険料を消費税でまかなうことが必要でしょう。
第7に、ニセの出生届が大量に出される(かもしれない)という問題があります。さすがにそれはないと思いますが、わかりません。
第8に、子供を産んで、戸籍に記載したら、あとは捨ててしまう(病院や福祉施設に置き去りとか)例が増えるかもしれません。
この方式で、何か他に乙が気づいていない欠陥があれば、ご指摘ください。
ちょっと考えてみると、デメリットもあるけれど、メリットが大きいように思えてきました。