2010年10月28日

この不動産ファンドには投資しません

 たまたまネットで見かけたのですが、「みんなで○○さん」
http://www.minnadeooyasan.com/lp/lp19
というのがあります。
 不動産(倉庫)に投資して、年利回り6%というのですから、ちょっと投資心をくすぐられます。この投資話は、100万円で申し込めて、申込手数料無料、いつでも解約可能、運用期間は3年で、年6回分配があり、その合計で約6%の利回りが達成されるという話です。こういうのを聞くと、食指が動きます。過去3年間の実績で、分配金はだいたい年6%相当分くらい払われています。
 資料でも請求して、検討しようかなと思ったのですが、やっぱりやめようと思い直しました。
 何が問題だと思ったのか。ちょっと乙の考え方を書いておきましょう。
 投資では、ローリスク・ハイリターンということはあり得ません。安定的・定期的に一定の利回りを達成するのはローリスクですが、そういう状態で6%のハイリターンは得られないものです。逆にいうと、この投資はハイリスクであるに違いないのです。さもなければ(本当にローリスク・ハイリターンならば)、投資先に困っている都市銀行などが大量の資金を投入してくるはずです。
 では、どのようにしてハイリスクなのか。上記の文書ではここがまったく説明されていないので、よくわかりません。
 以下、乙の推測も含め、勝手なことを書きます。間違っている可能性が高いですから、あまり信用しないでください。
 乙の一番の心配は、投資先の倉庫の不動産としての価格です。
 倉庫の賃料収入を分配するという仕組みですが、それだけを考えれば6%の分配は可能かもしれません。しかし、その間に、倉庫の価格は下がると思うのです。これは不動産の宿命のようなものです。それについて、上記文書では、「変動しにくい賃貸利益で元本評価をしています。」としていますが、こんな説明が妥当なのでしょうか。不動産の価格を決めるのは、なかなかむずかしい面がありますが、一般には、類似の物件の価格を参考にして決めるか、賃貸料収入を基準にして決めるかでしょう。上記の文書では、後者を主張していますが、それは、この投資スキームを組み立てた側の論理であって、売却先が同じ判断をするとは限りません。実際にこの倉庫を売買するときは、不動産である以上、売買の取引先があるわけで、そちらが価格をどう判断するかによっては、(きわめて低価格でしか処分できないことになって)大きな損失をこうむることがあるように思います。
 Q&Aのところには、「Q 3年後(償還時)はどうなるの?」に対して「A 最終的な元本評価(3年間の年平均賃貸利益)に基づき、満期日より2カ月以内に出資金の償還を行います。」とありますが、元本評価が平均賃貸収益だけでできるというのが理解できません。不動産投資は、賃貸料収入を得るために、当該物件を買い取り所有者になるのではないでしょうか。所有者だからこそ賃貸料を受け取ることができると思います。だとすれば、元本を評価するときは、当該物件を売却して精算しなければならないはずです。
 上記文書中には、「営業者が保有している不動産の安定した賃料を分配するしくみです。」という文言があります。これもよくわかりません。営業者がすでに保有(所有ではない?)しているならば、そのままの状態で、営業者に賃貸料が入るはずです。だとしたら、新たに集めた匿名組合の資金(出資者が出資した出資金)はどこに流れて何に使われているのでしょうか。
 もしかして、営業者がこの物件を所有しておらず、たとえば第三者から賃貸しているというケースも考えられます。それを又貸しのようにしてテナントに貸し出して賃借料を得て、その一部を貸し手の第三者に支払う(その差額が営業者の儲けになる)ということなのかもしれません。しかし、この場合、匿名組合で資金を集める意味はまったくないことになります。賃貸するときの頭金に充てるとかいうことなんでしょうか。
 もう一つの疑問点は、これと関連するのですが、匿名組合全体の資金規模について言及がまったくないことです。仮に倉庫を買い取るとすれば、いくらで買い取るのでしょうか。それはだいたいはっきりしているはずで、それに合わせて匿名組合の出資者を募集し、その資金でこのスキームが動き始めます。それが示されなくて、大丈夫でしょうか。
 不動産投資の場合は、当該物件の価格が下落するリスクがいつもあるのですが、それを誰が負担するのか、はっきりしません。乙は、(匿名組合が当該物件を買うことになると思うので)匿名組合(つまり出資者)だと思いますが、だとすると、そのリスク(の大きさ)をどう見込むかが重要なポイントになってきます。
 こんなことで、この仕組みには疑問を感じました。
 詳しい資料を読めば、書いてあるのかもしれませんが、まあわからないものには手を出さないほうがよさそうに思いました。

 乙は、上記のページを一読しただけですので、思い込みやら何やらがあって、乙の判断は不正確かもしれません。他の人にこの投資をすすめない(投資するなと呼びかける)というわけでもありません。単に自分は投資しないというだけです。
posted by 乙 at 05:22| Comment(15) | TrackBack(0) | 不動産 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする