2010年11月23日

日本の技術が中国へ流出

 乙は DIAMOND ONLINE で読んだのですが、
http://diamond.jp/articles/-/10139
本来はNHK「追跡! AtoZ」取材班の執筆によるものです。「技術立国・ニッポンに赤信号? リストラされた日本人技術者が作る「高品質のメイド・イン・チャイナ」」という題名の記事ですが、驚きの技術流出が描かれていました。乙が驚いたことは二つありました。
 第1に、50代のリストラされた日本人技術者が中国に行って、現地の企業の指導にあたっているという話です。日本の中では、リストラされた中高年技術者を新たに雇ってくれるところがないというのはその通りでしょう。技術者の側からすれば、食っていくためには働く必要があるし、そうなれば、中国でもどこでも働ければいいというのは理解できます。ただし、こうして、中国企業が日本の技術を盗み(ちょっと言い過ぎました。「導入し」くらいが穏当な表現でしょう)、それを利用して日本企業を打ち負かしていくのは、何ともやりきれない気がします。
 こうして、ハイアールなどの中国企業は日本人向けの高品質の製品を安く大量に作って日本に輸出してくるのですから、迎え撃つ日本企業は非常に厳しいことになります。
 とはいえ、中国企業の「技術開発力」も、一皮むけば、そこには日本人ありということですから、大したことないのかもしれません。しかし、こういう経営戦略を作り、実行し、成果を上げていく経営者のセンスはなかなかのものであり、あなどれないように思いました。
 そして第2に、求職者の選考方法ですが、面接ではなく、レポートによる試験ということで、1週間以内に、ヒット商品を生むノウハウをまとめて提出するよう言われたとのことです。乙は、さらにうなってしまいました。実は日本人技術者さえも不要なのです。中国企業は無料で技術者からノウハウを手に入れることができるのです。
 まあ、レポートだけでうまくいくとは限りませんから、たぶん中国企業は日本人技術者を採用するだろうと思います。しかし、契約期間は1年ごとの更新制だそうですから、中国企業としては、しばらく技術者を使ってみて、その人のもつノウハウを充分吸収し尽くしたと思ったら、その時点で技術者を放り出せばいいというわけです。これでは、技術者側としては、いくら給料が高くても、安心して働くことはできません。いや、それでも、国内に仕事がなければ、中国に行くしかないという現状が嘆かわしいわけです。

 日本企業の海外流出に加えて、技術者の海外流出も無視できない状態になっています。
 日本人投資家たちも、すでに日本企業だけが投資先でないと考えるようになってきています。資金も海外に流出しているというわけです。
 この傾向が続くとき、日本に残るものは一体何だろうということになります。
 日本の未来は、ますます暗いものにならざるを得ないように思えてきました。
posted by 乙 at 05:24| Comment(7) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする